民事訴訟法

【留意点・知識】

●まずは訴訟物を把握(重要)。
必ず原則(処分権主義・弁論主義・既判力の限界、別訴であること等)から書く。定義から書く。
●参考:事実認定について。問題文に答えがあり、書き方だけの問題。だれの主張か、を意識。書証の成立の真正が認められない場合、事実認定に使用しない。重要な事実から認定する(刑事と同じ。)。主張事実から書き、反対事実の指摘(軽く)及び反論は後に。
●信義則(2条)は、既判力の趣旨に反する場合に使うが、権利失効の原則(蒸し返し禁止)、禁反言等にブレイクダウンして。●26条:①要急行為でない行為後に忌避事由不存在の裁判が確定した場合、公平な裁判を担保する本文の趣旨に反せず、無条件で有効。②要急行為後に忌避の裁判が確定した場合、公平な裁判の要請よりも迅速な裁判を優先させる但書の趣旨に反せず、有効。となると解される。
●「本人訴訟」であることは、信義則(2条)適用に際し考慮されうる。
●信義則(2条)を論じる場合、主張する側に落ち度・できたこと等がないか、も検討が必要。●司法平成28年
●「請求の縮減」概念
●間接反証
●証拠の構造的偏在
●司法平成28年:最後の問題。独立当事者参加(47条)もありえたか。
●注意:「代表」とあれば、37条
●仮執行宣言(259条)。執行遅延による勝訴者の不利益、上訴審での取消の蓋然性等を考慮して判断。金銭給付判決で多い。取り返しがつくので。注意すべきは。意思表示を命じる判決(登記申請等)については、判決確定により意思表示が擬制され(民執法177条1項本文)、仮執行宣言を付することができない。

管轄

分類

●管轄:法定管轄:職分管轄(審級の話)、事物管轄(8条)(主に一審が地裁か簡裁かの話)、土地管轄、指定管轄(10条)、合意管轄(11条)、応訴管轄(12条)
●移送(3条文が特に重要。合意管轄(11条)を例に):①管轄違い(16条);管轄合意無効、②遅滞を避ける等のための移送(17条)、③必要的移送(19条)(②③につき、合意が専属的か・付加的かは問題ではない(20条1項かっこ書き)
●参考:簡易裁判所の裁量移送(18条)、専属管轄の場合の制限(20条・20条の2)

☆当事者

第三章 当事者
第一節 当事者能力及び訴訟能力
(原則)
第二十八条 当事者能力、訴訟能力及び訴訟無能力者の法定代理は、この法律に特別の定めがある場合を除き、民法(明治二十九年法律第八十九号)その他の法令に従う。訴訟行為をするのに必要な授権についても、同様とする。

(法人でない社団等の当事者能力)
第二十九条 法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において訴え、又は訴えられることができる。

当事者(確定基準)

●問題:既判力の主観的範囲(115条1項1号)を画する等、重要な基準となる。
●理由:訴え提起時における基準(4条等)の明確性を主眼に、手続保障や手続の安定等の要請を踏まえ、
●結論:訴状における、当事者の記載(134条2項1号)を中心に、請求の趣旨・原因等の一切の表示を合理的に解釈して決される。
●補足:具体的問題については、手続の安定の要請を踏まえて検討すると理解が進む。●認識:実質的には規範分類説が妥当、と言いうる。

氏名冒用訴訟

●事例:冒用者が訴状受領し全請求原因を自白(判決なし)
●前提:当事者(確定基準)→当事者は被冒用者
●展開:訴状送達(138条1項)すら完了していない場合、訴訟係属が生じていない。
●結論:冒用者による自白は無効
●対応:冒用者を排除し、訴状送達(138条1項)・呼び出し(139条)。
●展開:被冒用者の訴訟追行意思:ない場合;訴えの取下げ(261条)に準じ訴訟終了。ある場合;訴訟続行(冒用者の行為は無権代理行為に準じ、追認対象(34条2項))。
;
●事例:冒用者が訴状受領し全請求原因を自白し請求認容判決確定まで
●前提:当事者(確定基準)→当事者は被冒用者
●展開:訴状送達(138条1項)すら完了していないが、判決まで出ていることから、手続の安定が必要。
●展開:確定判決の効力は被冒用者に及ぶ。
●対応:①控訴の追完(97条1項)、②再審(338条1項3号)●補足:②の判例(最判平成4年9月10日)は「類推」と言っておらずママ
●検討:③別訴提起(事例次第では、信義則(2条)上、既判力が及ばず。例:原告・冒用者通謀により債務名義騙取(最判昭和43年2月27日))もあるが、当初から訴訟係属なしが自然。ただ、手続の安定の要請から、この判例(表示説の例外)で良い。
●補足:判決が確定していなければ、上訴(312条2項4号)。
●検討:乙が「甲」と名乗って訴訟提起、は、冒用ではなく、「甲こと乙」が当事者、だろう。

死者を当事者とする訴訟

●前提:当事者(確定基準)
●原則:当事者不存在のため、(補正(137条)できないなら)訴え却下(140条)か、任意的当事者変更
●例外①:しかし、相続人が被告人の名で応訴している場合、手続保障は及んでいる。
●結論:よって、相続人は、信義則(2条)上、自己に当事者同様の判決効が及ぶことを否定できない。
●例外②:さらに、訴え提起後、訴状送達(訴訟係属)前に被告が死亡した場合、相続人の応訴(被告名)により、潜在的な訴訟係属が認められる。
●結論:そこで、相続人が当事者になると解される(124条1項1号類推)。
●対応:その場合、判決の更正(257条)で対応すれば足りる。
●認識:原告死亡(訴訟提起の打ち合わせ直後に死亡したが訴訟代理人は知らずに提訴)でも被告死亡でも同様。

●問題:当事者不在のまま判決まで下された場合
●理由:判決の外観は存在することから、手続の安定を重視し、
●結論:上訴(312条1項4号)・再審(338条1項3号)
●補足:被相続人が、信義則上(2条)、判決効を甘受すべき場合がある。●私見:任意的当事者変更がされなかった場合

●補足:相続人が被相続人であるかのように応訴した等の場合、任意的当事者変更による。●私見
●補足:当事者の死亡(訴訟代理人(124条2項)なし):中断(124条1項1号)の場合、(弁論が終結していれば)判決言渡し可能(132条1項)だが、控訴期間等は進行停止(同条2項前段)。

当事者能力(組合)

●前提:①業務執行組合員は当事者ではない。②選定当事者(30条)は選定手続きの負担あり。
●問題:「社団」(29条)ではない。
●趣旨:29条は、実効的・簡明な紛争解決のため、社団に当事者能力を認める趣旨。
●理由:代表者の定め・独立した財産等の社会的実体があれば、趣旨妥当。また、実際上、社団と組合の区別は困難。
●結論:原則として、組合も「社団」に準じて当事者能力が認められる(判例)。
●補足:権利能力なき社団(例:入会)は、当事者能力あり(29条)。組合同様、代表者による明文なき任意的訴訟担当。必要な授権を欠く場合も被告となること可能(32条1項類推適用)。原告の便宜。

任意的訴訟担当(明文なし)

●事例:民法組合の業務執行者、権能なき社団の代表者(不動産登記名義人)、債権の譲渡人(譲受人に替わり)等等
●問題:前提:①業務執行組合員は当事者ではない。②選定当事者(30条)は(特に組合員多数の場合)個別的な選定手続き(訴訟追行権の授権)が負担。
●実益:当事者能力があっても、給付判決の効力は組合員の個人財産には及ばない。訴訟担当の場合、敗訴判決の効力は組合員(無限責任)に及ぶ。●確認
●趣旨:非弁活動により当事者の利益が害されることを防止し、司法の健全な運営を図る点にある。
●結論:原則として禁止
●理由:当事者の便宜。訴訟手続の簡明化。
●要件:①合理的必要性があり、②弁護士代理の原則(54条1項本文)や訴訟信託禁止(信託法10条)の趣旨を潜脱するおそれがなければ、
●結論:肯定
●あてはめ:組合の場合:①当事者能力はあるも具体的遂行者は存在しない●検討、②(例えば規約上)実体法上の管理権・業務執行権を有し、そのために必要な知識・経験等も有している。OK。
●判例:最大判昭和45年11月11日
●補足:業務執行組合員死亡の場合、同じ任意的訴訟担当(明文あり)の選定当事者の関する規定(124条1項6号(及び2項))を類推適用。
●判例:最判平成6年5月31日:法定訴訟担当(多数説):①権利能力なき社団を当事者とする訴訟の性質について。②一部構成員が、相手方として行動していた場合も判決効が及ぶ。規約により多数の同意の下、訴訟提起されており。相手方となった者にも及ぶ。●問題意識:代替的手続き保障がないのでは?反対の立場なので。だが。
●注意:115条1項2号の存在を忘れない。
●注意:団体の代表者が訴訟追行する場合、授権が必要。しかし、法定訴訟担当であれば、授権不要。●判例:最判平成6年5月31日
●小論点:弁護士資格のない訴訟代理人による訴訟行為●一応検討

訴訟能力

●問題:訴訟無能力が控訴
●結論:有効
●理由:無効とすると訴訟無能力を看過した第一審が確定するため、制度趣旨に反する。

●問題:第一審が本案判決を下した場合
●結論:第一審を取り消し、原審に差し戻す(308条1項)。
●理由:第一審における補正(34条1項)の機会付与
●参考:第一審を取り消し、自ら訴え却下説

●問題:第一審が訴訟判決を下した場合
●結論:理由なしとして控訴棄却。訴訟能力ありと判断したなら、第一審に差し戻し(307条)。

●考慮要素:審級の利益・無能力者の保護●私見:Case by Case(バランス論)

法人代表と表見代理

●前提:代表権の有無は、職権調査事項・職権探知事項
●条文:法人の場合、代表者が訴訟を追行する(37条、28条(●参照:会社法349条4項))。
●原則:無効
●問題:類推適用は?
●結論:否定(最判昭和45年12月15日)
●理由:訴訟手続きの安定。及び、民法109条・会社法354条等は、取引安全保護規定であり、安定性を重んじる訴訟を想定していない。
●展開:被告を誤った原告に対し、補正命令(37条、34条1項)としての訴状(134条2項1号)の補正命令(137条1項)。応じなければ、訴え却下(140条)。
●補足:真の代表者の追認(37条、34条2項)はありえる。なお、当初から関与ある等の場合、信義則(2条)上、追認拒絶不可。
●補足:法312条2項4号

☆訴訟要件

総説

●民事実務(送達):原則:交付送達(101)cf.その他諸々。例外:①付郵便送達(107)、②公示(110)
●公示送達:訴状記載事実のみ主張可(161条3項、規則53条3項)。擬制自白不成立(法159条3項但書)。顕著な事実(179条)以外の請求を基礎付ける事実(規則53条1項)全ての証拠調べ。

●送達:「相当のわきまえのある者」(106条1項)。事実上の対立関係があるに過ぎない場合(比較:民法108条)も含む。再審の場合、別途実質的な手続保障の有無(338条1項3号該当性)検討。
●訴訟要件が調査未了の間に本案請求棄却の結論が出た場合(棄却判決可?)●定義:本案判決の要件。●原則:できない。●例外:請求棄却判決の場合において、被告自身の応訴の負担が解消されるときや無益な訴訟を排除し訴訟経済に適う場合には、むしろ被告の保護・訴訟経済に適う。●結論:可能

1.申立て
(1)原則:職権調査事項(理由:訴訟要件は、裁判所が下す本案判決の要件であり、一般的には公益性が高い。)具体例:法人の代表者の代表権の有無
(2)例外:抗弁事項(理由:専ら当事者の利益保護。)具体例:不起訴の合意、仲裁合意等
(3)当事者適格:原則が妥当(理由:一方当事者の利益保護のための要件ではなく、有効な紛争解決のための要件なので。)
2.判断資料の収集
(1)原則:職権探知主義(理由:職権調査事項については、その公益性に照らし、裁判所が主導する必要性が高い。)具体例:法人の代表者の代表権の有無
(2)例外:弁論主義(理由:抗弁事項、又は必ずしも公益性が高くない職権調査事項。)具体例:合意管轄、訴えの利益等。
(3)当事者適格:例外が妥当(理由:私法上の訴訟物との関係において個別具体的に決せられる要件であり、公益性は必ずしも高くない。)

境界確定の訴え

●問題:境界には公的性質あり
●理由:①土地は課税等の単位であり、私的自治になじまない。②要件・効果が不明確
●結論:非訟の一種たる形式的形成訴訟
●結論:最も密接な利害関係を持つ各相隣土地所有者に当事者適格あり。
●結論:共有の場合、密接な利害関係を合一的に確定すべきであり、固有必要的共同訴訟
●展開:一方当事者が土地の全部を時効取得した場合には、当事者適格は失われる(最高裁判例)。
●参考:共有物分割の訴えも形式的形成訴訟
●参考:不動産登記法上、「筆界の確定を求める訴え」(不登法132条1項6号・148条等)だが、裁判実務上は「境界」。

(重複する訴えの提起の禁止)
第百四十二条 裁判所に係属する事件については、当事者は、更に訴えを提起することができない。

二重起訴の禁止

●趣旨:矛盾判断の防止、被告応訴の煩の回避、訴訟経済
●要件:そこで、当事者の同一性(原告・被告が入れ替わりを含む)、審判対象の同一性(原則として、訴訟物の同一性)で判断(通説)。●参考:主要な争点を共通にする場合も含む説あるも。
●展開:訴訟物が異なっても、既判力の主観的範囲・客観的範囲(矛盾関係・先決関係等)内であれば、趣旨が妥当する。
●事例:債務不存在確認訴訟に対し、当該債務に係る債権の請求訴訟を別訴提起した場合、訴訟物が同じなので(●確認)禁止。
●効果:後訴は、不適法却下(通説)。
●補足:債務名義を得る必要性はあり、反訴の場合には趣旨に反しないため、裁判所は求釈明すべきと解される(別の裁判所に係属中の訴えは併合は不可)。反訴提起した場合、債務不存在確認訴訟の訴えの利益(方法選択の適切性)消滅。反訴原告による訴え取下げは、例外的に許されるかに思われる(261条2項本文)。しかし、その趣旨は、自発的に本訴取下げした原告に対する同意権付与が不公平であるため(●認識:禁反言ではない)。よって、原告が訴えの利益消滅ゆえ自発的にではなく取下げした場合、原則通り、相手方の同意要(同項本文(趣旨:被告が本訴本案判決を受ける利益の保護)。●検討
●認識:二重起訴の禁止(2つは×)と訴えの客観的併合(1つに!)の趣旨は裏表の関係。

相殺の抗弁と二重起訴の禁止(抗弁先行型)

●問題:抗弁は「事件」ではないため、文言上禁止されない。相殺の抗弁の既判力(114条2項)あり。
●理由:相殺の抗弁の判断は訴訟の終盤で行われるため、判断されるか否かが不明確。
●結論:禁止されない。
●裁判例(東京高判平成8年4月8日(近時有力。らしい)。最高裁判例なし。):142条の趣旨(3つ)から禁止。訴訟係属中は消滅時効進行せず。弁論併合も将来の分離可能性あり。●認識:上記は通説?
●検討:趣旨との関係:既判力が矛盾しても、相手方は再審で争える?被告応訴の煩については、原告の権利実現に関する不利益を被告の手間よりも厚く保護。訴訟不経済についても、同様。
●参考:併合すれば良い(実務?)。再度分離される可能性はあるも。も1つの考え。●検討:反訴を提起すれば良い?

相殺の抗弁と二重起訴の禁止(抗弁後行型)

●問題:抗弁は「訴え」ではないため、文言上禁止されない。相殺の抗弁の既判力(114条2項)あり。
●理由:基本的には判決等が下されるので、趣旨が妥当。
●結論:禁止される(類推適用)。
●判例:最判平成3年12月17日
●参考:併合すればよい(実務?)。
●私見:禁止されない。取下げ可能なので矛盾しない(相手方の不同意は信義則(民法●確認1条2項)違反。相手方無資力の場合。

本訴・反訴の係属中に相殺の抗弁を提出

●問題:反訴原告が、反訴債権を本訴における相殺の抗弁に供する
●結論:可能
●理由:反訴原告が異なる意思表示をしない限り予備的反訴(本訴で相殺の抗弁につき判断されればその部分については反訴請求しない旨の)と解される。●認識:超過部分は反訴となる。
●判例:最高裁平成18年4月14日
●参考:予備的反訴については分離不可なので、実害なし。なお、審判対象に変更なく、反訴被告の利益も損なわないので、書面・被告の同意不要(平成18年判例)。

●問題:本訴原告が、本訴債権を反訴における相殺の抗弁に供する
●結論:不可
●理由:停止条件付き取下げ(解除条件付訴え提起)と解したとしても、法的不安定。

●参照:相殺の抗弁に対する相殺の抗弁(反訴なし)は別問題。

(将来の給付の訴え)
第百三十五条 将来の給付を求める訴えは、あらかじめその請求をする必要がある場合に限り、提起することができる。

将来給付の訴えの利益

●問題:「あらかじめその請求をする必要がある場合」(135条)
●観点:原告の利益と招来の強制執行に対し請求異議の訴え(民執法35条1項)を提起しなければならない被告の不利益との調和
●考慮要素:義務者の態度(例:支払い拒否)、給付義務の目的・性質(例:反復・継続する給付)などを考慮して、
●規範:将来給付判決による紛争解決の必要性・実効性があるか否かを吟味
●具体例:代償請求権(参考:執行不能時の請求権なので、本来的請求とは単純併合の関係にある。予備的併合ではない。)
●検討:訴えの利益の話

継続的不法行為における将来給付の請求適格

●判例:最高裁昭和56年12月16日
●理由:起訴の負担の公平な分担のため
●要件:①請求の基礎となる事実・法律関係が存在し、②請求権の存否・内容につき、債務者に有利な将来の事情変動が明確に予想しえ、③当該変動を請求異議の訴え(民執法35条1項)において立証する負担を債務者に課しても不当とはいえない場合
●結論:請求適格あり。
●展開:敷金返還請求:問題点:明渡を停止条件として残存債務額控除後の額について発生し、債権の存否・額が変動しうる。よって、判例の射程が及ぶか、問題となる。

確認の訴えの利益

●事例:「確認」とあれば注意(請求訴訟等と並列記載の場合、飛ばしがち)。「訴えの利益」とあれば注意(確認、に限定せず考えがち)。
●問題:対象の無限定。判決に執力なく、紛争の抜本的解決にならず。よって、紛争解決として迂遠。制限の必要性。
●結論:抜本的な紛争解決に資する場合に限定。
●考慮要素:①方法選択の適否、②対象選択の適否(「自己の」「現在の」「権利・法律関係」の「積極的」確認。直接的・抜本的な紛争解決に資するなら、例外あり。)、③即時確定の利益(危険が現実的か)
●判例:訴訟代理人の代理権の存否(最判昭和28年12月24日):一般的には、方法選択の適否の問題。●参照:司法平成28年。訴訟代理権と代表権との違いが特殊性

●問題:債務不存在確認訴訟
●結論:①債務者にとり(給付・形成いずれの訴えも認められず)唯一の方法ゆえ〇、②不存在が確認されれば紛争の抜本的解決ゆえ〇、③弁済期日が経過している等の場合、原告の地位が不安定ゆえ〇
●実務:被告から、請求訴訟が提起されれば、訴えの利益を失う。よって、原告は、速やかに訴えを取り下げるのが通常。

●問題:遺言無効確認の訴え(生存中)
●理由:受贈者の地位は事実上の期待を有する地位(民法985条1項・1022条等)
●結論:対象選択の適切性を欠く。
●展開:遺言者が心神喪失であっても、上記期待が高まる程度。よって、同様。

●問題:敷金返還請求権存在確認請求
●理由:①一種の停止条件付き権利なので、現在の問題と言え、対象選択の適切性あり。②賃貸人が敷金交付なく返還債務もないと主張している場合、即時確定の利益あり。③方法選択の適否:現在の権利であれば、特段の事情がない限り、給付の訴えによるのが原則。しかし、敷金返還請求権の給付の訴えは認められず、例外的に肯定。
●結論:肯定
●判例:最判平成11年1月21日:現在の法律関係の確認、と位置付けている。

将来の権利・法律関係の確認

●要件:侵害の発生する危険が、確実視される程度の現実化。侵害の具体的発生を待っていたのでは、回復困難な不利益をもたらす。

当事者適格

●原則:訴訟物たる権利・法律関係について管理処分権を有する主体が有する。
●論点:法人の内部紛争と当事者適格:法人・代表役員(との主張者)のいずれを被告とすべきか。法人を被告とすれば、判決効が及び、かつ対世効も認められるため、紛争の抜本的解決になる。よって、法人に当事者適格が認められる。
●判例:最判昭和44年7月10日

訴訟担当

●原則:当事者(115条1号)
●条文:115条2号
●趣旨:①紛争の蒸し返し防止、②代替的手続保障あり。●検討:①は既判力自体の趣旨なので、ここで趣旨とするのは不適当か。
●具体例:債権者代位訴訟(民法423条)

債権者代位訴訟

●結論:独立当事者参加(47)した場合、必要的共同訴訟となるから(47条4項、40条)、弊害なく適法。
●検討:新債権法により二重起訴の話は消滅?

遺言執行者の被告適格

●問題:実体法上、相続人の代理人(民1015)⇔相続人から独立して遺言執行(民1012条1項、1013)
●結論:代理人(法28)ではなく、法廷訴訟担当として独立の当事者
●展開:既に受贈者宛てに所有権移転登記等がされている場合。受贈者が被告。執行終了により権利帰属。遺言執行者の任務終結による解放。

控訴(訴え却下判決に対する被告の控訴の利益の有無)

●結論:可能
●理由:請求棄却を申し立てていた場合、本案判決を受ける被告の利益あり

☆訴訟物

(判決事項)
第二百四十六条 裁判所は、当事者が申し立てていない事項について、判決をすることができない。

処分権主義(246条)

●定義:当事者が、訴訟の開始・範囲・終了等につき、自由に決定できることをいう。
●趣旨:当事者の意思尊重。当事者への不意打ち防止。●認識:反訴等も視野に、一応「当事者」と。
●帰結:一部認容判決も、①原告の合理的意思に反せず、②被告に対する不意打ちにならない限り、認められると解される。

訴訟物理論

●結論:実体法上、当事者が有する請求権を単位とする(旧訴訟物理論)。
●理由:実体法との調和。基準の明確性。
●批判:紛争の一回的解決に反する。
●参考:訴訟物特定の趣旨(①裁判所に対し審判対象を明示、②被告に対し防御範囲を明示)
●注意:建物収去土地明渡請求と建物退去土地明渡請求とは、共に訴訟物は土地所有権(民法206条)であり収去か退去かは、執行方法の明示に過ぎない。

訴訟物の特定

●趣旨:訴訟物特定の趣旨(①裁判所に対し審判対象を明示、②被告に対し防御範囲を明示)

債務不存在確認の訴え

●問題:訴訟物が不特定?訴状における請求の趣旨及び原因(134条2項2号、規則53条1項)の記載が不十分なため不適法となるのでは?
●趣旨:訴訟物の特定
●理由:請求の趣旨・原因・一件記録を考慮することにより特定可能(最高裁判例)。趣旨妥当。
●結論:適法

●問題:被告たる債権者は証明責任を負担。よって、証拠の準備が。よって、即時確定の利益は厳格に。
●問題:主張責任は原告。両者分離は例外。●検討

●問題:反訴が提起された場合
●理由:債務不存在確認請求訴訟が請求棄却されても、執行力がなく、紛争解決の実効性は弱い。
●結論:そこで、反訴が提起された場合、方法選択として不適切となり、確認の利益が失われると解される。

金銭債務の一部不存在確認の訴え

●問題:訴訟物は?(債務の上限明示ある場合)
●理由:確認訴訟であり、原告・被告の立場は逆となる点において、給付訴訟の反対形相である。
●結論:そこで、給付訴訟同様、債務全額から自認額を控除した残債務の不存在が訴訟物であると解される。
●参考:上限額まで全額、とする説もあるが。

●問題:債務の上限明示ない場合
●原則:明示は必要。訴訟物なので特定が必要。
●理由:しかし、請求の趣旨・原因、及び一件記録から上限が判断できれば問題ない。訴訟物特定の趣旨妥当。
●結論:その場合、可

●問題:(上限明示ない場合)一部判決(具体例:130万円は超えては存在しないことの確認に対し、200万円…と認定)●認識:確認:上限ある場合は争いなし。
●趣旨:処分権主義(246条)の範囲内
●理由:原告にとり請求棄却よりは有利、また単に請求棄却すると、数額を巡る別訴を誘発しかねず(●認識:被告応訴の煩)。
●あてはめ:原告・被告
●結論:適法
●補足:上記場合において、(200ではなく)100万円のときは、違法。
●展開:当然無効ではなく、上訴による取消しへ。

●問題:自認額と既判力
●理由:訴訟物は残額の存否・範囲。後訴において、先行認諾として、信義則(2条)により主張制限すれば足りる。
●結論:否定
●展開:場合により後訴での主張は禁反言による信義則(2条)違反。

一部認容判決

●結論:処分権主義(246条)に反しないか。
●趣旨:処分権主義の趣旨から。
●要件:原告の合理的意思に反しない。被告への不意打ちにもならない。
●結論:可能
●展開:(現在の訴えに対する)将来給付を命じる判決も、(●検討:実質的に?)趣旨妥当。135条の要件を充足する限り問題ない。
●補足:引換給付判決主文中、「…と引き換えに」という部分に既判力は生じず。訴訟物ではない(債権者が反対給付・提供の証明をした場合に限り強制執行可能と明らかにする趣旨(民執法31条1項))ので。但し、信義則(2条)ありえる。
●補足:判決主文においては、「その余の請求は棄却する。」との記載を失念しないようにする。
●注意:一部請求、と区別。
●検討:給付訴訟では、一部判決をしないで、とは言えず(のはず?)。不存在確認訴訟においても、一部判決をしないで(額は別訴で)とは言えず。被告応訴の煩回避のため、らしい。

一部請求後の残部請求

●問題:前訴の訴訟物次第で、後訴は既判力に抵触することになる。そこで、前訴の訴訟物が問題となる。
●理由:①処分権主義(246条)に照らし、原告の意思を尊重しつつ、②前訴が全部請求であると認識していた被告への不意打ちを防止する。
●要件:前訴で一部請求である旨を明示
●結論:前訴の訴訟物は当該一部であり、既判力は当該一部についてのみ及び、後訴での残部請求可能
●判例:最判平成10年6月12日:当該一部の全部棄却(例:因果関係なし。但し、この点に既判力なし。)又は一部認容(即ち一部棄却)の場合、特段の事情がない限り後訴は信義則(2条)に反し訴え却下。一個の金銭債権の数量的一部請求は、特定の一部請求ではない。前訴で当該債権全体につき弁論を尽くした結果と理解するのが合理的。紛争の蒸し返しとなり、被告に二重応訴を強いる
●事例:貸金100万円のうち40万円の弁済を受けたので残額60万円を請求する場合、弁済受領は誤認だったと請求を100万円に拡張。訴えの変更(143条)の問題。請求の放棄・裁判上の自白の問題ではない。40万円は訴訟物ではない。
●事例: 貸金100万円のうち40万円の弁済を受けたので残額60万円を請求する場合、弁済受領は誤認だったと、 請求棄却判決確定後に40万円を請求する訴えを提起。原則:訴訟物ではないので適法。しかし、矛盾挙動にあたり信義則(2条)上、控訴は不適法。●認識:請求棄却なので、という上記判例の話ではなく、弁済受領により消滅したとの表示により、例えば被告が残部の債務不存在確認の反訴提起する機会を奪っているという問題。

一部請求と相手方による(過失)相殺

●前提:裁判所による過失の認定が適法であること(弁論主義の第一テーゼとの関係)
●前提:一部が訴訟物である(最判昭和37年8月10日)と認定
●問題:過失相殺の具体的方法(●検討:按分説に言及してもOK)
●理由:過失相殺の抗弁を想定して一部請求をしているのが原告の合理的意思。原告の残部請求を予防し、紛争を抜本的(一回的)に解決。
●結論:外側説(最判昭和48年4月5日等):請求の基礎たる債権総額から自働債権額を控除し、その残額について認容判決をすべき。
●補足:過失相殺後の金額が、一部請求金額よりも低い場合、処分権主義(246条)に反しない(最判昭和24年8月2日)とも簡単には論じる。
●参考:内側説(外側から算出した金額を請求額から控除する。被告の意思を考慮。)・按分説(両方請求額ベース。請求額たる一部を訴訟物とする考え方と整合的。●認識:理論上あり得るも、実務上☓)

一部請求と別訴における残部による相殺

●問題:二重起訴の禁止(142条)に反する?
●結論:特段の事情のない限り、許される。
●理由:訴訟物は別であり、既判力の抵触は生じない。相殺による総合的な紛争解決機能を重視。

後遺症による損害賠償請求

●問題:紛争の蒸し返し?
●理由:①前訴における残部請求が期待できず、②当事者も審判対象として想定していなかった場合において、③判決もそれを前提に下されている場合、事実真の口頭弁終結時までに生じた損害に限定するとの明示があったと同視できる。
●結論:一部請求(判例)
●批判:明示はありえず、同視できない。
●参考:既判力の時的限界(有力)
●参考:117条類推

一部請求と時効の完成猶予・更新の範囲

●問題:明示なし
●結論:全体につき生じる。
●原則:請求権自体の存否が攻防対象とされ、判決理由中で判断される。

●問題:明示あり
●要件:特段の事情のない限り(最高裁判例)
●結論:訴訟物についてのみ生じる。
●理由:残部請求についても権利行使の意思があるのが通常
●留保:ただし、承認あり?援用なし?等は別問題。

控訴(一部請求後の残部請求の可否)

●問題:請求の拡張と共に上訴

●問題:明示あり
●結論:確定したとしても、後訴において、残部請求可能(訴訟物が別なので
●理由:控訴の利益なし。
●補足:同様の論理により、例えば売買代金支払請求権が認められた場合、支払期限後の遅延損害金支払請求権についても、控訴の利益なし。

●問題:明示なし
●結論:①確定すると別訴で残部請求不可、②請求の拡張と同様であり、訴訟資料も利用可能で、被告の不利益は大きくない。
●理由:控訴の利益あり。

●参考:相殺の抗弁(114条2項)についても同様に認められる。自己の申立てに係るものではなく自己責任ではない。

☆口頭弁論

総説

●期日の呼出し(94条)
●弁論の併合(152条):例:自動車衝突事故において、原告(所有者・運転者)から、被告(運転者・妻)に訴訟提起。所有者・夫は反訴不可(被告でない)。そこで、別訴提起し、弁論併合を求める。
●欠席の場合の擬制自白(159条3項本文。なお、但書に注意。)。陳述擬制(158条)と区別する!
●原則として弁論の分離・併合(152条1項)は裁判所の裁量である点に適宜言及。しかし、例外として、それが許されない場合が(義務付けられる場合も?)ある等。
●条文:訴え提起(134条)、①公開主義(憲法82条)、②双方審尋主義(124条以下)、③口答主義(87条1項本文)、④直接主義(249条1項)、職権進行主義(93条等)、随時提出主義(156条)
●弁論の分離前の証拠調べの結果は、援用なくとも併合後の証拠資料となるか。●司法平成18年。●認識:なる。
●(仮定的抗弁としての)相殺の抗弁:原則(114条1項)は先に審理可。しかし例外(114条2項)。そこで予備的抗弁と解される。
●釈明権(149条)による味付け。●認識:厳密には、裁判所が「求釈明」(「釈明権」に基づく「釈明処分」)をし、当事者・参加人等が「釈明」をする。

弁論主義

●定義:訴訟資料の収集・提出を当事者の権能・責任とする建前
●趣旨:当事者の意思尊重。不意打ち防止。
●主題:①裁判所は当事者の主張しない事実を判決の資料として採用してはならない(主張責任。人事訴訟法20条前段反対解釈)●訴訟資料と証拠資料(例:当事者尋問中の発言等)の峻別に注意
②裁判所は当事者間に争いのない事実はそのまま判決の資料として採用しなければならない(審判排除効。179条)。これを前提に、当事者間でも撤回制限効が生じる。●理由:相手方の有利な立場を一方的に奪う。禁反言(2条)。
③当事者間に争いのある事実を認定する際には、原則として(●私見)、当事者の申し出た証拠によらなければならない(職権証拠調べの原則禁止)
●範囲:主要事実に限られる。
●理由:①紛争解決にはそれで十分。②証拠と同様に機能する間接事実・補助事実等にまで認めると自由心証主義(247)を害する。
●展開:①過失等の不特定概念の主要事実は、それに該当する具体的事実。当事者への不意打ち防止等から。②具体的事実の主張さえあれば、相殺自体の主張はなくとも、公益的側面(当事者の公平を図る)も加わるため、裁判所が過失相殺を認めても弁論主義に反しない(●判例(最判平成20年3月27日等)は、可、とも解される。)。●確認:事実抗弁(「過失があったとき」(民法722条2項))であり、権利抗弁(民法506条1項、540条1項等、意思表示によらしめている)ではない。なお、直近過失論によると同一の過失(例:赤信号で飛び出しに見えても、更なる原因において信号無視か整備不良によるブレーキ不能か等は異なる。ケースバイケースで深入りする。)③公序良俗違反はなおさら。よって、具体的事実の主張すら不要。
●展開:権利抗弁(訴訟上の権利行使がなければ判決の基礎とすることはできない。主要事実にあたる。●確認。)建物買取請求権は私法上の形成権であり、権利抗弁にあたらない。留置権は権利抗弁。
●論点:代理人による契約締結●百選で詰める。頻出。
●論点:既判力の(遮断効の)縮減●司法令和4年
●論点:所有権・持分権の関係と既判力●司法令和4年

自白の拘束力

●定義:口頭弁論又は弁論準備手続期日における、①相手方の主張と一致する、②自己の不利益な、③事実の陳述
●参考:擬制自白(159条1項本文、170条5項)には、口頭弁論終結時の判断となるため、不可撤回効生じず。●確認:本当?●補足:欠席の場合(159条3項本文)、公示催告の場合(同但書)

●条文:原則:審判排除効(弁論主義の第2テーゼ)(●裁判所))→不要証効(179条)(●相手方)→不可撤回効(2条)(●自白した者))
●結論:主要事実限定
●理由:間接事実や補助事実は、主要事実を推認させる点において証拠と同様。そこまでの適用は自由心証(247条)を害する。そうである以上、当事者間でも限定。
●展開:事実の撤回制限効力も同様。

●問題:撤回
●結論:相手方の既得的立場保護・禁反言から、原則不可。
●理由:趣旨に反しない場合(●認識:相手方メインだが、裁判所の審判計画に支障をきたす等、訴訟経済・迅速性等の観点もあり)、又はその趣旨よりも認める必要性が大きい場合には、
●結論:可能
●具体例:①相手方の同意がある場合、②刑事上罰すべき他人の行為による場合(大判大正4年9月29日。338条1項5号参照)、③反真実かつ錯誤による場合(最判昭和25年7月11日)。反真実が立証されれば錯誤が推定される。●認識:②については、条文のそのものは再審事由なので、「参照」と。
●要件事実:●自白の撤回については、反真実であれば錯誤が推定される絵ため、(1)撤回する側が反真実を立証すれば、(2)相手方が錯誤がなかったことを立証することとなる。
●参考:③については、いずれか一方のみ、とする学説もあるらしい。また、信義則(禁反言)(2条)等による撤回可もありえないことではない。
●検討:③について、重過失、反対に相手方の善意・無重過失は問わないのか?①(特に)②との対比から、それらの観点も織り込むのがバランスか。

●判例:「自己に不利益な事実」とは、相手方が証明責任を負う事実(大判昭和11年6月9日)。
●理由:①自己が証明責任を負う事実の存在を主張しつつ、その不存在を自白することは、首尾一貫しない主張であり、撤回を認める必要性が高い。②基準の明確性
●展開:続けて、証明責任の分配の論点に軽く触れる。
●反対説:敗訴可能性説
●実益:自説では、自己の証明責任がる事実を否認しても拘束力なし。反対説だと拘束力あり。

●参考:159条1項・2項

●擬制自白(159条1項本文)については、全要件事実について沈黙、の場合は勿論、一部は自白し、その他については沈黙、の場合も。当然ながら。

権利自白

●事例:所有権の存在(●注意:訴訟物(所有権に基づく返還請求権)ではない。訴訟物なら、請求の放棄・認諾)●検討:形成・確認の放棄・認諾ある?
●問題:権利自白に審判排除効ひいては撤回制限効が生じるか。
●原則:法の解釈・適用は裁判所の専権事項。
●結論:否定。
●理由:所有権の特殊性(①取得原因事実全ての立証は困難。②日常的な概念として事実に類似。)
●結論:裁判上の自白としての拘束力が認められると解される。

補助事実の自白

●問題:文書の成立の真正を推定する前提事実(補助事実)についての自白(例:「署名したことを認める」旨の陳述)の拘束力
●理由:文書の実質的証拠力の判断は自由心証主義(247条)によるところ、その一過程における形式的証拠力の判断についても自由心証を認めなければ、不合理な事実認定を強いることになりかねない。
●結論:審判排除効なし(判例)。
●展開:不可撤回効も発生せず。
●確認:不要証効が発生する点に争いなし、との記述があった。しかし、他の2つの効力が認められない以上、誤解では?撤回・異なった審判があるまでは立証活動不要、という意味では正しいのだろうが。それらの可能性がある以上、証明できるようにしておく備えは最低限必要。そうすると、実質的には同じ。
●補足:補助事実の自白は他にもあるので、一例だが、代表例。
●参考:処分文書が主要事実の直接証拠である場合等において、主要事実の自白同様だと、或いはほぼ問題なく証明力が認められる等から、肯定する説もある。らしい。その他、証書真否確認の訴え(134条の2)では認諾可能なこととの均衡も根拠となるらしい。●確認:違い。

訴訟契約

●問題:意思表示の規定の適用
●原則:適用なし。
●理由:手続の安定性
●例外:適宜検討(処分権主義・弁論主義のもとは当事者の意思であることを原則として。弊害が無ければ。)

明文なき訴訟契約

●具体例:不起訴、訴え取下げ、自白、不控訴(上告権を留保しないもの)
●前提:明文あり(11条、93条3項但書、 281条1項但書(上告権を留保)等)
●理由:私的自治の原則に基づく実際上の必要性と任意訴訟禁止による訴訟の適正・経済等との調和の見地から。
●要件:処分権主義(246条)・弁論主義(●条文確認)の妥当する範囲内であり、かつ合意の法的効果が明確に予測可能であれば、
●結論:有効
●性質:私法契約(判例)として、実体法上の作為・不作為義務が生じるのみ。
●理由:あくまで訴訟外で締結された契約なので(●認識:私法契約説)。
●展開:抗弁事項かつ弁論主義が妥当する。
●帰結:契約違反については、訴え却下・証拠能力を欠くとして申出却下等となる(●補足:訴訟法上の効力を生じる。)。

●問題:訴訟上の形成権の行使(相殺等)が157等により却下。訴訟法上は消滅しないが行使不可。既判力により争えなくなる。実体法上は消滅。
●結論:裁判所により審理判断されるという停止条件付私法行為
●理由:①趣旨(当事者の合理的意思・相手方の地位を不安定にする等の弊害なし)、②実体法上の効果がないまま裁判の基礎とすると既判力により争えず、かつ実体法上も請求できなくなるが不当。
●展開:取消・解除・建物買取請求権等の有利なものについては、合理的な意思として実体法上の効果も生じる。

訴訟行為と表見法理

●問題:訴訟上の和解
●結論:肯定
●理由:①私法上の和解同様、②その後の積み重ねがない。③私法上有効なので結局別訴提起可能。

(証明することを要しない事実)
第百七十九条 裁判所において当事者が自白した事実及び顕著な事実は、証明することを要しない。

「自白」(179条)

●問題:不利益(●確認:自白の定義)
●結論:相手方が証明責任を負うこと(証明責任説)
●理由:基準の明確性

(釈明権等)
第百四十九条 裁判長は、口頭弁論の期日又は期日外において、訴訟関係を明瞭にするため、事実上及び法律上の事項に関し、当事者に対して問いを発し、又は立証を促すことができる
2 陪席裁判官は、裁判長に告げて、前項に規定する処置をすることができる。
3 当事者は、口頭弁論の期日又は期日外において、裁判長に対して必要な発問を求めることができる。
4 裁判長又は陪席裁判官が、口頭弁論の期日外において、攻撃又は防御の方法に重要な変更を生じ得る事項について第一項又は第二項の規定による処置をしたときは、その内容を相手方に通知しなければならない。

釈明権(149条1項)

●場面:弁論主義ではカバーできない場面
●前提:消極的釈明は可能。積極的釈明は?
●理由:当事者の公平。裁判所への国民の信頼。
●要件:①訴訟資料から当該主張をすることが可能であり、かつ②その主張をしないことが当事者の不注意等によることが明確な場合。
●結論:行使可能。
●検討:法的観点指摘義務?

(自由心証主義)
第二百四十七条 裁判所は、判決をするに当たり、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果をしん酌して、自由な心証により、事実についての主張を真実と認めるべきか否かを判断する。

●自由心証主義(247条)

証明責任

●結論:法律効果の発生を求める者がその要件事実について立証責任を負う(法律要件分類説)。
●理由:①実体法との調和、②基準の明確性
●修正:当事者間の公平、立証の難易度等

準消費貸借(民法588条)の証明責任の分配

●事例:貸金返還請求訴訟において、証拠調べの結果、準消費貸借であったことが判明した。
●前提:訴訟物理論→両者は別の訴訟物→訴えの変更(143条)が必要→あてはめ
●問題:準消費貸借の場合の証明責任の分配
●前提:証明責任(一般論)
●要件:(1)旧債務の発生原因事実、(2)準消費貸借の合意(●確認:以上?)
●理由:準消費貸借においては、重要証拠たる借用書等が債務者に返還されている場合等も多く、債権者たる原告に立証の負担をさせるのは不公平。
●結論:そこで、(1)旧債務の発生原因事実については、債務者側で、その不存在の証明を負担すると解される。
●判例:最判S43.2.16
●検討:「不存在」の証明も重い負担では?(2)が証明されれば、更に追加的に金銭の授受まで(要件事実ではないが?)証明されれば、実質的には「存在」が証明されているに近いのであろう。したがって、そうではない、と言わせても不公平ではないように思われる。

☆証拠

(文書提出義務)
第二百二十条 次に掲げる場合には、文書の所持者は、その提出を拒むことができない。
一 当事者が訴訟において引用した文書を自ら所持するとき。
二 挙証者が文書の所持者に対しその引渡し又は閲覧を求めることができるとき。
三 文書が挙証者の利益のために作成され、又は挙証者と文書の所持者との間の法律関係について作成されたとき。
四 前三号に掲げる場合のほか、文書が次に掲げるもののいずれにも該当しないとき。
イ 文書の所持者又は文書の所持者と第百九十六条各号に掲げる関係を有する者についての同条に規定する事項が記載されている文書
ロ 公務員の職務上の秘密に関する文書でその提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの
ハ 第百九十七条第一項第二号に規定する事実又は同項第三号に規定する事項で、黙秘の義務が免除されていないものが記載されている文書
ニ 専ら文書の所持者の利用に供するための文書(国又は地方公共団体が所持する文書にあっては、公務員が組織的に用いるものを除く。)
ホ 刑事事件に係る訴訟に関する書類若しくは少年の保護事件の記録又はこれらの事件において押収されている文書

文書提出義務

●定義:利益文書(3号前段):客観的に決まる(反対説もある)。
●定義:法律関係文書(3号後段)
●文書送付嘱託(226条):文書提出義務(220条)を前提としないため制裁なし。cf.224条

「公務員の職務上の秘密」(220条4号ロ前段)

●趣旨:私人の秘密開示→私人との信頼関係破壊→公務の公正・円滑を害する

「その提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるもの」(220条4号ロ後半)

●注意:具体的おそれでないと不可。

「技術又は職業の秘密」(220条4号ハ、197条1項3号)

●結論:客観的にみて、公開されると当該職業に深刻な影響。以後の遂行が困難になるもの。
●補足:保護されるのは情報の主体(保持者ではない)。情報の主体が開示義務を負う場合、金融機関に独自の利益がない限り、要開示。
●判例:最決H20.11.25

「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」(220条4号二)

●趣旨:文書作成者の自由な意見表明・意思形成等を妨げないため。
●要件:①専ら内部者の利用目的で作成。②開示されると所持者側に看過し難い不利益が生ずるおそれ。③特段の事情がない限り。

●判例:1号から3号は4号とは別の規定(4号の例示ではない)。
●補足;4号(ハ・)二にあたる場合、3号にはあたらない。

●判例:最決H11.11.12

(当事者が文書提出命令に従わない場合等の効果)
第二百二十四条 当事者が文書提出命令に従わないときは、裁判所は、当該文書の記載に関する相手方の主張を真実と認めることができる。
2 当事者が相手方の使用を妨げる目的で提出の義務がある文書を滅失させ、その他これを使用することができないようにしたときも、前項と同様とする。
3 前二項に規定する場合において、相手方が、当該文書の記載に関して具体的な主張をすること及び当該文書により証明すべき事実を他の証拠により証明することが著しく困難であるときは、裁判所は、その事実に関する相手方の主張を真実と認めることができる。

(文書の成立)
第二百二十八条 文書は、その成立が真正であることを証明しなければならない。
2 文書は、その方式及び趣旨により公務員が職務上作成したものと認めるべきときは、真正に成立した公文書と推定する。
3 公文書の成立の真否について疑いがあるときは、裁判所は、職権で、当該官庁又は公署に照会をすることができる。
4 私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する。
5 第二項及び第三項の規定は、外国の官庁又は公署の作成に係るものと認めるべき文書について準用する。

二段の推定

●二段の推定:(1)通常は厳重管理される印章を使用し第三者が押印することは容易ではないという経験則から、文書に本人の印章の印影があれば、その意思に基づく押印が事実上推定され、次に、(2)「署名」同様、文書の成立の真正が推定される(228条4項)。
(1)の推定は事実上の推定に過ぎないから、推定事実について合理的な疑いを生じさせる(認識:厳密には「高度の蓋然性につき疑いを生じさせる」)程度の反証をすれば足りる。

①本人の印章の印影(立証:本人の印章ではない。印影が異なる。)
↓(反証:紛失・盗難(盗用型)。預託印章の流用・悪用(冒用型)。文書作成自体が不自然。等。)
②本人の意思に基づく押印(立証:一段目の推定事実の反対事実・不存在)
↓(反証:白紙に押印。他書類と誤認し押印。他人による完成。押印後の偽造・変造。)
③文書の成立の真正(立証:二段目の推定事実の反対事実・不存在)=契約成立自体の反証でもある。

契約成立

☆訴訟の終了

第六章 裁判によらない訴訟の完結

(訴えの取下げ)
第二百六十一条 訴えは、判決が確定するまで、その全部又は一部を取り下げることができる。
2 訴えの取下げは、相手方が本案について準備書面を提出し、弁論準備手続において申述をし、又は口頭弁論をした後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。ただし、本訴の取下げがあった場合における反訴の取下げについては、この限りでない。
3 訴えの取下げは、書面でしなければならない。ただし、口頭弁論、弁論準備手続又は和解の期日(以下この章において「口頭弁論等の期日」という。)においては、口頭ですることを妨げない。
4 第二項本文の場合において、訴えの取下げが書面でされたときはその書面を、訴えの取下げが口頭弁論等の期日において口頭でされたとき(相手方がその期日に出頭したときを除く。)はその期日の調書の謄本を相手方に送達しなければならない。
5 訴えの取下げの書面の送達を受けた日から二週間以内に相手方が異議を述べないときは、訴えの取下げに同意したものとみなす。訴えの取下げが口頭弁論等の期日において口頭でされた場合において、相手方がその期日に出頭したときは訴えの取下げがあった日から、相手方がその期日に出頭しなかったときは前項の謄本の送達があった日から二週間以内に相手方が異議を述べないときも、同様とする。

(訴えの取下げの効果)
第二百六十二条 訴訟は、訴えの取下げがあった部分については、初めから係属していなかったものとみなす。
2 本案について終局判決があった後に訴えを取り下げた者は、同一の訴えを提起することができない。

(訴えの取下げの擬制)
第二百六十三条 当事者双方が、口頭弁論若しくは弁論準備手続の期日に出頭せず、又は弁論若しくは弁論準備手続における申述をしないで退廷若しくは退席をした場合において、一月以内に期日指定の申立てをしないときは、訴えの取下げがあったものとみなす。当事者双方が、連続して二回、口頭弁論若しくは弁論準備手続の期日に出頭せず、又は弁論若しくは弁論準備手続における申述をしないで退廷若しくは退席をしたときも、同様とする。

訴えの取下げ(261条)

●趣旨:処分権主義●確認
●要件:判決確定前、相手方の同意、書面●確認
●効果:再訴禁止効●確認

再訴禁止効(262条2項)

●問題:「同一の訴え」(262条2項)の意義
●趣旨:再訴禁止の趣旨(「裁判を徒労に帰せしめたことに対する制裁」(最判S52.7.19))
●結論:①当事者、②訴訟物の他、③訴えの利益についても同一であることを指す(判例)。
●展開:取下げ後の事情変化により、新たな利益・必要性が生じた場合は非該当(③から)。
●事例:錯誤等に基づき訴えの取下げをした場合、この問題の後に、(しかし別訴では訴訟資料流用できない。本訴(●確認)では勝訴判決を得ている等の不都合性を示した上で)訴訟行為と民法の意思表示規定の適用(訴えの取下げの取消し(民法95条1項2号類推)等)についても論じる。

(請求の放棄又は認諾)
第二百六十六条 請求の放棄又は認諾は、口頭弁論等の期日においてする。
2 請求の放棄又は認諾をする旨の書面を提出した当事者が口頭弁論等の期日に出頭しないときは、裁判所又は受命裁判官若しくは受託裁判官は、その旨の陳述をしたものとみなすことができる。

(和解調書等の効力)
第二百六十七条 和解又は請求の放棄若しくは認諾を調書に記載したときは、その記載は、確定判決と同一の効力を有する。

意思表示の瑕疵に関する民法の適用

●結論:否定(判例)
●理由:公的な陳述・手続の安定
●例外:刑事上罰すべき他人の行為(詐欺・脅迫)による場合のみ無効(●取消しうるではなく)
●理由:「338条5号の法意に照らし」(最判S46.6.25)●判断:「類推」で良い。
●補足:無効となれば、期日指定の申立て(93条1項)へ。
●参考:有罪判決確定(338条2項)は不要と解されている。●確認済み
●注意:例の3つは自白の撤回の話
●補足(学説):(●問題意識:錯誤の場合の原告保護)訴えの取下げについては、①裁判所の関与なく実体法上の権利を放棄する側面が大きく、原告保護の必要性が高い。また、②訴えの取下げ後に手続きが積み重ならず、手続の安定を害さない。よって、民法の意思表示の規定を類推適用し(●効果としては(取消しうるではなく)全て無効とするのが多数説らしい。)できると解される。●ケース次第では。●認識:放棄・認諾・和解も。●認識:いずれも再訴禁止効・既判力等があり、認めない不利益は大きい。
●認識:訴訟前・外は当然適用あり(管轄合意、代理権授与、証拠契約等)

請求の放棄・認諾(266条)

●問題:訴訟要件具備の要否
●結論:必要
●理由:既判力を生じる以上は。
●認識:一応争いあるも、文言通り、でOK。
●展開:意思に瑕疵ある場合は別問題。論じた上で期日指定(93条1項)等で良い。
●確認:和解は不要

訴訟上の和解:「確定判決と同一の効力」(267条)

●問題:和解に既判力が認められれば、再審によらない限り無効主張できない。
●理由:①文言。②裁判所の関与あり。③当事者の意思重視する制度趣旨。
●結論:制限的既判力説(判例)
●内実:既判力を肯定。意思表示の瑕疵があれば、無効・取消し。●方針:請求の放棄・認諾も同様でOK
●批判:既判力の(外で判決の効力を否定される点で)趣旨に反する。

●問題:無効・取消しの主張方法
●結論:①期日指定申立て(93条1項)、②別訴(和解無効確認・請求異議の訴え等)提起を任意に選択できるものと解される(判例)
●理由:①は、訴訟終了について旧訴の訴訟資料等の流用による訴訟経済・公平に適う。②は、互譲による別個の紛争として、審級の利益が確保されることから。いずれとも決し難く。当事者の便宜を図るのが妥当。●認識:執行手続き開始の場合、請求異議によるしかない、という事情もある。
●展開:別途提起で和解無効が確定した場合、旧訴が復活し、従前の手続が再開する。

●問題:解除
●結論:別訴提起(判例)
●理由:和解後に生じた不履行という新事由に関する別の紛争。
●展開:旧訴は復活しない以上、新訴の提起によっても二重起訴とはならない。
●参考:期日指定説もある(遡及的無効。具体的事件の状況次第。等から)

●問題:訴訟要件具備の要否
●結論:不要
●理由:①起訴前和解(275条)もありえる。②放棄・認諾と比し自主性が高い。

●補足:和解の勧試は、口頭弁論ではなく、そこでで得た情報は、事実認定の資料にできない。が、影響を与えうる可能性があり。特に交互面接方式の場合、手続保障上の懸念あり。

☆判決の効力

第五節 裁判

(既判力の範囲)
第百十四条 確定判決は、主文に包含するものに限り、既判力を有する。
2 相殺のために主張した請求の成立又は不成立の判断は、相殺をもって対抗した額について既判力を有する。

(確定判決等の効力が及ぶ者の範囲)
第百十五条 確定判決は、次に掲げる者に対してその効力を有する。
 一 当事者
 二 当事者が他人のために原告又は被告となった場合のその他人
 三 前二号に掲げる者の口頭弁論終結後の承継人
 四 前三号に掲げる者のために請求の目的物を所持する者
2 前項の規定は、仮執行の宣言について準用する。

既判力

●定義:前訴確定判決の判断内容の後訴における通用力・拘束力
●趣旨:①紛争解決の実効性確保(紛争の蒸し返し防止)(必要性)。②手続保障(裁判資料の提出等が出来たか)に基づく自己責任(許容性)。
●注意:既判力の問題が出た場合、まず、問題となっている後訴の当事者間に既判力が及ぶのか、を確認(前訴の「当事者」(115条1項1号)ではない、と。)。●認識:通常、及ばないから問題となる。
●形成判決・訴訟判決についても、既判力は生じると解される。趣旨妥当。
●確定判決の不正取得(損害賠償請求):確定判決の既判力に反し、原則不可。例外として、著しく正義に反し、容認し得ない特別の事情がある場合。具体的には、①害意、②不正行為、③あり得べからざる内容の判決、④損害発生を要件に、再審によらず可(最判昭和44年7月8日)。
●検討:既判力の拡張・縮減
●争点効:否定。明文なし。基準が不明確。審理の硬直化を招く。中間確認の訴え(145条)で必要十分。信義則(2条)あり。信義則は、矛盾挙動の禁止・権利失効の原則等、一定の類型化されたものに限定すべき。
●反射効:否定。具体例:主債務者勝訴(前訴)→保証人が主張(後訴)。115条のいずれにも該当しないことを確認。明文なし。手続の安定を害する。しかし、既判力は制度趣旨及ぶ者には及ぼすことが(必要かつ)可能。よって問題なし。

既判力(主観的範囲)

●原則:「当事者」(115条1項1号)
●例外:2号~4号。趣旨(①紛争の実効的解決、②代替的手続保障)●補足:同居妻子(4号)
●展開:①紛争の実効的解決に必要であり、かつ②第三者の手続保障を害さなければ。●検討:信義則(2条)ではないか?
●結論:信義則(2条)上、拘束力を認めうる。
●参考:民執法35条2項(請求異議の訴え)●検討:時的のみ?
●注意:不動産明渡請求訴訟で勝訴した被告から目的物を譲り受けた者等に有利に及ぶ等もある。
●補足:保証人・主債務者は各号に該当しない。各々に対する訴訟につき、債権者の勝訴・敗訴に分けて、事案毎に趣旨から検討。●反射効は否定
●注意:保証人に対する訴訟で債権者敗訴の場合は客観的範囲の問題(●検討:勝訴の場合も?)。●争点効は否定。
●検討:信義則(2条)は別主体に対しても生じるのか?
●検討:主債務者・保証人の具体的関係性次第では、代替的手続保障が及ぶ場合もあるか?
●判例:最判S51.10.21●検討:複雑な(興味深い)事案

訴訟判決の既判力

●結論:原則として、却下理由たる個々の訴訟要件の不充足について生じる(判例(最判H22.7.16)・通説)
●根拠:趣旨
●例外:否定(訴訟能力・当事者適格・代理権の欠缺)
●理由:行為自体の有効要件
●認識:訴えを却下する主文(「当事者適格がない」旨)とは異なり、(例えば債権者代位訴訟における債権者の債権不存在等の)理由中の判断には既判力は生じない。●認識:棄却説もある模様だが。

既判力(時的限界)

●問題:私法関係は時間と共に変動するため、既判力の基準時が問題となる。
●理由:趣旨(訴訟資料を提出できる間は手続保障が及んでいる)
●原則:それができなくなる事実審の口頭弁論終結時・遮断効(民事執行法35条2項参照)
●例外:趣旨から考える。
●整理:①紛争の蒸し返しか否か(必要性)。主張可なら、許容性は問題なし。(理論的には主張不可なら、実際上は併せて)②手続保障があったか否かまで検討。
●整理:①紛争の蒸し返しか否かに際して、権利の別個独立性(内在・付着しない)(例:取消し×(権利自体に付着)、解除☓(権利自体に内在)、相殺○、建物買取(請求異議訴訟で行使)(内在する瑕疵等によるものではなく別個独立)○等)、酷か?(例:取消し(気付いていれば行使を期待できる)×、相殺○(反対債権を犠牲にする予備的抗弁であり(●確認:そうでない場合もあるが)実質敗訴)、建物買取○(土地明渡しを伴う予備的抗弁であり(●確認)であり実質的な敗訴))
●整理:その他の視点(建物買取(社会経済上の利益)、取消し(無効すら遮断)等)
●判例:取消権☓(最判S55.10.23)、相殺兼〇(最判S40.4.2)、建物買取請求権(借地借家法13条1項)〇(最判H7.12.15)
●注意:建物買取請求権は、名称に関わらず、形成権(意思表示到達により売買契約成立)。
●認識:実質的な敗訴、という場合には、例外的に既判力も生じる(114条2項)から、とまで。

既判力(客観的範囲)

●結論:「主文」に包含するもの(訴訟物)に限り(原則)(114条1項)
●理由:趣旨(手続保障の基づく自己責任)からは十分+柔軟な審理(例:仮定的抗弁から審理する等)可能
●具体例:同一矛盾(所有権の存否。●検討:請求権さえ別なら、所有権は理由中の判断では?物権的請求権の場合、一体として考える?信義則(1条2項)では?)、先決。●検討:「等」?
●展開:判決理由中の判断
●展開:相殺の抗弁(114条2項)
●認識:既判力(前訴確定判決の後訴裁判所に対する通用力・拘束力)の作用は、訴訟要件・本案審理の一方又は双方に働きうる。例:勝訴した者が(強制執行できるにも関わらず)同じ訴えを提起しても、訴えの利益がないと認められる等、必ずしも本案審理内での主張が遮断される場合に限らない。
●展開:「主文に包含するもの」の範囲(例:引換給付判決)に注意。また、まず、前訴・控訴の各訴訟物を指摘する。

限定承認

●問題:限定承認の場合の既判力の客観的範囲
●原則:訴訟物(相続債務の存在・範囲)につき、既判力が発生(114条1項)。
●理由:給付訴訟は、将来の執行による実現可能性を固有の機能とする。限定承認についても審理されている。判断され主文にも明示。
●結論:限定承認の存在および効力(執行可能範囲(責任の範囲))についても、「既判力に準ずる効力」(●認識:判例の表現)発生。
●判例:最判S49.4.26

●事例:限定承認につき主張があり、認められた。
●前提:執行対象財産の限定を外すため、(前訴で限定承認の点以外につき勝訴していても)改めての訴えの利益は認められる。
●問題:客観的範囲
●原則:訴訟物(相続債務の存在・範囲)ではない。
●理由:債務と責任とは性質上の密接関連性あり。訴訟物に準じる。
●結論:既判力は及ぶ。
●問題:債権者による限定承認の無効事由主張(時的限界)
●原則:遮断効(民事執行法35条2項参照)維持。趣旨から。
●理由:債権者にとり数少ない重大な関心事。隠匿等は外部から知り得る(●私見:微妙だが言い切る。判例の表現ではない模様。)。
●判例:最判S49.4.26も結論は同旨。

●事例:限定承認につき主張がなかった。
●問題:債務者による限定承認の主張(時的限界)
●原則:遮断効(民事執行法35条2項参照)維持。趣旨から。
●理由:相続債務の存在を前提とするので、限定承認は実質的な敗訴となる。
しかし、①家庭裁判所の申述受理証明書により簡単に証明可能、前訴で主張可能。
②別個債権は犠牲にならないこと、および
③単に責任範囲を限定するのみなので(独自の訴訟物にならず)。
●歯止:但し、当事者が相手方を害する意図にて妨害行為・不正行為をした場合には、再審の訴え提起が可能であっても、独立に損害賠償請求は可能。
●判例:最判S44.7.8(限定承認に限った判例ではない模様)
●認識:上記「歯止め」はまずない。「限定承認があった事実を認識しながら確定判決を得て強制執行までした!」(旧司H12.2)では足りず。

引換給付判決

●前提:同時履行の抗弁権(民法533条)に応じる場合であり、その点を認定してから書く。●司法:平成29年
●結論:反対給付に既判力なし。
●理由:①主文には記載されるが、強制執行開始要件(民執法31条)に過ぎず。②限定承認のような債務と責任との密接関連性なし。
●判例:最判S49.4.26(限定承認に関し)「訴訟物に準ずるものとして審理判断される…主文において明示される…前訴の判断には『既判力に準ずる効力』」が認めらえる。●認識:争点効は否定。信義則(2条)は最後の手段。そこで、判例の表現を使用する。
●参考:反対説もありえるが。

相殺の抗弁

●問題:「相殺をもって対抗した額について」の意義
●事例:相殺の抗弁が認められた限度で請求棄却判決がされた場合
●理由:①既判力の趣旨に照らし、それで必要(蒸し返し防止)・十分(手続保障あり)、②文言(114条2項)●「成立又は不成立の判断」意義確認
●結論:(相殺によって消滅した)反対債権の不存在(事実審の口頭弁論終結時)
●補足:相殺の抗弁に係る自働債権が既に消滅していると判断され請求認容判決がされた場合は当然。
●参考:原告から、「反対債権は初めから不存在だった」とする不当利返還請求訴訟があっても、それは前訴の訴求債権の存在を前提とするものであるから、その不存在の既判力(114条1項)により遮断される。
●補足:なお、被告から、「訴求債権は別の理由で存在しなかった」とする不当利得返還請求についても、反対債権の不存在の既判力(114条2項)により排斥される(争いなし)。この点、通説は、反対債権の存否が当該不当利得請求の先決問題であることを理由とする。それに対し、訴求債権・反対債権が共に存在し相殺により共に消滅した点に既判力があることを理由とする説がある(あった?)。しかし、基準時前の権利状態に既判力を及ぼすことは概念矛盾との批判あり。

●問題:相殺の抗弁に対する相殺の再抗弁(最判H10.4.30)
●理由:仮定の上に仮定が積み重なり当事者間の法律関係を不安定にし、審理を複雑にする。追加的変更・別訴提起可能。114条2項は例外規定。制限的に。
●結論:許されない。
●補足:判例は、「訴訟外において相殺の意思表示がされた場合には、相殺の要件を満たしている限り、これにより確定的に相殺の効果が発生するから、これを再抗弁として主張することは妨げられない」として許されるとする。●認識:紛争の蒸し返し防止というメリットもあるらしい。●認識:相殺の抗弁を訴訟上も主張したと解される場合がほとんどでは?
(それに対し、「訴訟上の相殺の意思表示は、(●認識:逆に)相殺の意思表示がされたことにより確定的にその効果を生ずるものではなく、当該訴訟において裁判所により相殺の判断がされることを条件として実体法上の相殺の効果を生ずるものであるから」許されないと。)●検討:審理内容は同じでは?裁判所の審理順序を拘束しかねずダメ、か。
●展開:相殺に対する相殺に供した自働債権については既判力は生じるのか?否定。例外たる114条2項は限定的に。後訴における主張は信義則(2条)で遮断可能。●上記判例の(明言ないが)解釈、の模様。(●検討:任意)●認識:この場合も、114条2項類推により既判力を及ぼす説がある(それでもOK)。

既判力(主観的範囲)

●結論:当事者(原則)115条1項1号
●理由:趣旨妥当+当事者に及ぼせば必要十分
●補足:48条(●●●)・会社法838条(画一的処理の要請)もある。

訴訟担当(115条1項2号)

●具体例:債権者代位訴訟
●理由:趣旨妥当(手続保障あり)、及び管理処分権を基礎にした当事者適格あり。
●結論:無条件肯定説
●判例:大判昭和15年3月15日
●参考:反対説(片面的拡張説):有利な場合のみ拡張。理由:利害対立の場合あり。批判:相手方の再応訴の煩。訴訟経済に反する。

口頭弁論終結後の承継人(115条1項3号)

●前提:訴訟物たる権利・義務を譲り受けた者については争いなし。●確認
●問題:「承継人」(包括承継は問題なし。特定承継の問題(●認識:しかも、結論にほぼ争いなく。主に理論構成の問題。))
●理由:①趣旨(蒸し返し防止・代替的手続き保障)妥当、②訴訟物・当事者適格が同一でない場合においても紛争解決の実効性を確保する。
●結論:(権利関係の承継に限らず)紛争主体たる地位を承継した者。●認識:近時有力(v.s.適格承継説(旧通説)・依存関係説(有力)●認識:いずれも訴訟物重視)
●補足:旧訴訟物理論によれば、物権的請求権(承継○)、債権的請求権(承継×)が、原則。●認識:判例は問題としておらず。
●確認:「生成中の既判力」
●注意:(勝訴した被告の)「承継人」なので、既判力が及び、原告の訴えは既判力に反する、という方向も勿論ある。

●問題:固有の抗弁を有する場合(例:民法94条2項、177条)
●結論:あたらず(実質説・判例)
●理由:①前主とは依存関係なし。趣旨妥当せず。②実体法に合致した明確な基準
●参考:形式説(多数説):あたるが、基準時後の事由として後訴で。理由:既判力の安定性等)
●補足:いずれの設でも、後訴で固有の抗弁提出可能
●補足:「承継人」(民執法23条1項3号)にも該当しない。執行力も拡張されず。第三者異議の訴えの負担を課すべきではない。●判例

「請求の目的物を所持する者」(115条1項4号)

●趣旨・定義:固有の法的利益を有さない者●補足:執行力も及ぶ(民執法23条1項1号)
●理由:趣旨妥当(固有の法的利益を有しないため、手続保障を認める必要性がない。)
●問題:仮装譲受人(登記名義人)は1号で。
●問題:口頭弁論終結前の仮装譲受人
●理由:仮装譲渡を覚知し訴訟承継をさせる原告の負担回避(必要性)、及び固有の実体法的利益なし(許容性)
●結論:4号
●裁判例:大阪高判昭和46年4月8日
●参考:債権者代位訴訟の判決効の拡張(対債務者)は消滅?

(定期金による賠償を命じた確定判決の変更を求める訴え)
第百十七条 口頭弁論終結前に生じた損害につき定期金による賠償を命じた確定判決について、口頭弁論終結後に、後遺障害の程度、賃金水準その他の損害額の算定の基礎となった事情に著しい変更が生じた場合には、その判決の変更を求める訴えを提起することができる。ただし、その訴えの提起の日以後に支払期限が到来する定期金に係る部分に限る。
2 前項の訴えは、第一審裁判所の管轄に専属する。

法人格否認の場合

●結論:否定(既判力・執行力とも)
●理由:訴訟の迅速・安定を害する。
●例外:第三者異議の訴えをされた場合には、当該訴えは許されない。まずは実体法上の権利等が問題となる事項なので。

☆客観的複数

【知識・実務感覚】
●趣旨:①審理の重複回避、②紛争の統一的解決(⇔デメリット:審理の複雑化・遅延)
●理論上は、全部求める場合は単純併合、非両立の場合は予備的併合、請求権競合の場合は選択的併合。しかし、実務上は、裁判所はうるさくない(当事者次第)が、選択を誤った場合の却下例もあるので軽視はしない。●認識:受験生としては理論でOK。
●被告側の利益となる事例が多いものの、被告側代理人としては、被告に不利益(訴訟の複雑化・長期化)がありえるなら、要件不充足として異議により弁論の分離を申し出る等する。ただし、分離された簡単な請求が棄却されても、控訴により審級を異にする複数審理が並行するとむしろ不利益となりかねない。判決確定・有利な和解になる場合に限られるはず。なお、以上は単純併合の話。予備的・選択的の場合、弁論分離なし。
●●視点:「訴訟の早期段階であれば、著しく訴訟を遅延させることにはならない。」、「審理対象が、実質的に重複すると言えることから、」もありうる。
「同種の訴訟手続による場合に限り」(136条)は、例えば民訴と行訴は不可、ということ。なお、判例・明文の例外はある。ただ、出ない。
●他の裁判所の法定専属管轄に属する場合は客観的併合不可(13条、7条)。ただ、出ない。

(請求の併合)
第百三十六条 数個の請求は、同種の訴訟手続による場合に限り、一の訴えですることができる。

(口頭弁論の併合等)
第百五十二条 裁判所は、口頭弁論の制限、分離若しくは併合を命じ、又はその命令を取り消すことができる
2 裁判所は、当事者を異にする事件について口頭弁論の併合を命じた場合において、その前に尋問をした証人について、尋問の機会がなかった当事者が尋問の申出をしたときは、その尋問をしなければならない。

●予備的併合

●事例:絵画の売買代金支払請求権を主位的請求、(錯誤取消し等の抗弁が容れられた等の場合に)絵画の返還請求権を予備的請求とする訴え。

●定義:予備的請求とは、択一的関係にある請求について、主位的請求認容を解除条件として、予備的請求の審判を求める請求
前提:この定義から、一審判決は全部判決であり、控訴不可分の原則(なお、39条は例外)から移審あり、との形式論理的な前提説明をサラリとは。
●問題:主位的請求を認容した第一審判決に対し、被告が控訴した場合、控訴審において、主位的請求棄却・予備的請求認容(自判)ができるか。被告の審級の利益が問題。
●結論:可能(第一審判決を取り消した上で(305条))
●理由:主位的請求と予備的請求とは択一的関係にあるので、その訴訟資料は概ね共通しており、第一審において両者審理済み・手続保障があったと言える。よって、被告の審級の利益を害さず。(●検討:「また、控訴審において、訴えの変更(297条・143条)は可能であり、予備的請求の追加的併合も可能であることとのバランス。」)
●判例:最判S33.10.14
●参考:差戻しや主位的請求の全部棄却ではないので。
●補足:不利益変更禁止の原則(304条)に反しないか、も問題となりえるが、判例・学説共、審級の利益のみを問題としている。●認識:主位的請求認容が棄却に変わり、予備的請求認容がされることは不利益ではない、ということだろう。被告の抗弁が容れられて、それを前提にした予備的請求のみ認められるのだから。●検討:そもそも被告が控訴する理由は???そもそも売買契約がない、等の主張をしていたのであれば解るが、錯誤取消し等を主張していた場合。

●問題:主位的請求棄却・予備的請求認容の場合、被告のみが上訴したとき、主位的請求の全部認容判決(自判)は可能か。
●結論:主位的請求は含まれず(最高裁S.58.3.22)。
●理由:(控訴不可分の原則により両請求とも移審しているが)①処分権主義(246条)から不利益変更禁止(296条1項・304条)、②原告は付帯控訴(293条1項)すれば良い。そのための釈明(297条・149条1項)ありえる。
●帰結:原判決(予備的請求認容)を取り消し。予備的請求棄却判決をすべき。●確認:差戻しとなる?
●判例:最判S58.3.22
●補足:原告は両敗けとなる。
●認識:決して、予備的請求認容、ではない点に注意。
●補足:予備的併合については弁論の分離不可(152条の範囲外)
●補足:原告のみ控訴の場合、両請求に理由がないとされても、予備的請求を認容する第一審判決の取消は不可(不利益変更禁止の原則)。控訴棄却の判決ができるのみ。

●補足:選択的併合について。一方請求のみ認容の場合、被告のみが控訴したときであっても、棄却された他方請求の認容可能(最判昭和58年4月14日)。理由:原告の意思は、一方が棄却されれば、他方についても審判を求めることは明らか。原告が併合形態を変更しない限り、全審級を通じて維持されているといえる。から。●認識:予備的請求は優劣を付けているから、相応の対応が必要だが、選択的併合の場合は、という話だろう。

(訴えの変更)
第百四十三条 原告は、請求の基礎に変更がない限り、口頭弁論の終結に至るまで請求又は請求の原因を変更することができる。ただし、これにより著しく訴訟手続を遅滞させることとなるときは、この限りでない
2 請求の変更は、書面でしなければならない。
3 前項の書面は、相手方に送達しなければならない。
4 裁判所は、請求又は請求の原因の変更を不当であると認めるときは、申立てにより又は職権で、その変更を許さない旨の決定をしなければならない。

(選定者に係る請求の追加)
第百四十四条 第三十条第三項の規定による原告となるべき者の選定があった場合には、その者は、口頭弁論の終結に至るまで、その選定者のために請求の追加をすることができる。
2 第三十条第三項の規定による被告となるべき者の選定があった場合には、原告は、口頭弁論の終結に至るまで、その選定者に係る請求の追加をすることができる。
3 前条第一項ただし書及び第二項から第四項までの規定は、前二項の請求の追加について準用する。

●総説

●定義:「請求又は請求の原因」は請求の趣旨・原因の一方又は双方を変更すること。
●具体例:
①請求の趣旨の変更(例:請求権の確認請求⇒給付請求)
②請求の原因の変更(例:貸金返還請求⇒別個の同額貸金返還請求)
③双方の変更(例:動産引渡請求⇒代償請求(民法422条の2))
●要件
①請求の基礎に変更がない
②事実審の口頭弁論終結前
③著しく訴訟を遅滞させない
(④請求の併合要件(「同種の訴訟手続による」(136条)、及び裁判管轄あり))●認識:書かないでOK(当然民訴のみ。裁判管轄の問題であれば明示されるはず。ゆえ。)
●補足:数量増加は該当。減少は一部取下げ。単なる攻撃防御方法の変更は非該当。追加的・交換的があるが、前者については単純・選択的・予備的いずれかを指定する必要がある。
●実務:既判力が及ばない以上、状況次第では拘らず、別訴提起すれば良い。なお、訴訟代理人のミスにより必要となる場合もある(が、出ないだろう。)。訴えを変更するリスクとしては、交換前の請求につき判断をうけられないこと、及び旧請求(特に新請求と矛盾する場合)が実質的に弱まるか、少なくとも弱い印象は受けること。
被告側としては、現請求のままでは原告敗訴可能性がある場合に行われることもあるとはいえ、請求棄却判決を得ても、実質的には訴えの変更の不服である形式上の控訴がありえることから、新請求に理由がない場合や少なくとも控訴に応じるよりは負担が小さそうな場合には、争わない戦略も十分ありえる。
●発展:判例(最判平成5年12月2日):訴え却下の訴訟判決に対する控訴審においては、原則として、訴えの変更は認められない。しかし、被告の審級の利益を害さず、かつ訴訟遅延のおそれがない場合には、例外的に認められる。●認識:143条の趣旨から。
●調査:交換的変更について、裁判所が新請求につき管轄権がなくても良いとした判例あり(最判平成5年2月18日)。●確認

●訴えの交換的変更(法的性質)

●前提:追加的(単純・選択的・予備的)は当然認められる。●確認
●問題:独自の類型か?
●結論:新請求の追加的変更、及び旧請求の取下げの複合行為
●理由:旧請求における被告の既得的地位保護。そのため同意が必要(訴えの(取下げと異なり)変更のみだと同意不要とされている)。
●判例:最判昭和32年2月28日
●批判:訴えの取下げだが、新請求の審理に従来の訴訟資料が利用可能であることは矛盾
●補足:訴えの取下げにより、実体法上、時効完成猶予効は消滅(民法147条1項1号)。新請求により時効完成猶予効は、訴えの変更申立書の裁判所提出時に生じる(147条、143条2号)。以上が原則。しかし、紛争の実質的同一性があれば、時効完成猶予効が認められる(最高裁昭和38年1月18日、その調査官解説。)。

●「請求の基礎」の同一性(143条)

●前提:別訴提起して併合(152条)は不確定という不都合性あり。
●問題:(1)「請求の基礎に変更がない」の判断基準
●理由:同文言の趣旨は、被告が想定外の防御を強いられる不利益を回避するため
●基準:そこで、同文言は、(ア)新旧両請求の利益関係が、社会生活上共通であり、(イ)旧請求の裁判資料の流用が可能であることと解される。●確認:共通・流用は、並列か?
●類型:①被告の同意(判例)、②異議なき応訴(判例)、③被告陳述の事実(重要なら間接事実でも可)に基づく場合(判例)は、可能。
●判例:最判S39.7.10(土地・建物の所有者が提起した建物明渡請求訴訟係属中、被告が「本件建物は既に取り壊され、現存する建物は自己所有」等と主張したことから、建物収去土地明渡請求に訴えを変更する場合(上記③))
●補足:他の要件もあてはめる。(2)「口頭弁論の終結に至るまで」。(3)「著しく訴訟手続を遅滞させること」とならない(例:証拠調べ前)。
●発展:過失の態様を異にする場合、判例(旧訴訟物理論)は訴えの変更に該当しないとする。しかし、趣旨からすると、否定的に解される。●検討:どう説明するか。予見可能性を前提にした回避義務違反は、そもそも多種多様。専門訴訟では特に、被告側(善管注意義務等の内容を広く認識しているはず)にて検討されて然るべき。よって、審級の利益を害さない。なお、訴訟経済には反しない(そもそも問題とする必要もない。)。

(中間確認の訴え)
第百四十五条 裁判が訴訟の進行中に争いとなっている法律関係の成立又は不成立に係るときは、当事者は、請求を拡張して、その法律関係の確認の判決を求めることができる。ただし、その確認の請求が他の裁判所の専属管轄(当事者が第十一条の規定により合意で定めたものを除く。)に属するときは、この限りでない。
2 前項の訴訟が係属する裁判所が第六条第一項各号に定める裁判所である場合において、前項の確認の請求が同条第一項の規定により他の裁判所の専属管轄に属するときは、前項ただし書の規定は、適用しない。
3 日本の裁判所が管轄権の専属に関する規定により第一項の確認の請求について管轄権を有しないときは、当事者は、同項の確認の判決を求めることができない。
4 第百四十三条第二項及び第三項の規定は、第一項の規定による請求の拡張について準用する。

総説

●趣旨:本来請求の先決関係たる法律関係についての確認の訴え(例:所有権)
●要件:
①事実審の口頭弁論終結前
②先決性・係争性
③同種手続・他の専属管轄に属さず(145条1項但書)。
●補足:所有権の帰属時期が異なれば、先決関係ではない。●参考:司法平成28年
●補足:原告からも被告からも可能。先決関係ゆえ、請求の基礎の同一性(訴えの変更)・関連性(反訴)は当然充足する特別な場合ゆえ別条文。控訴審においても相手がの同意なく可能(297条、145条)。実質的に審級の利益を奪わない。

(反訴)
第百四十六条 被告は、本訴の目的である請求又は防御の方法と関連する請求を目的とする場合に限り、口頭弁論の終結に至るまで、本訴の係属する裁判所に反訴を提起することができる。ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
 一 反訴の目的である請求が他の裁判所の専属管轄(当事者が第十一条の規定により合意で定めたものを除く。)に属するとき。
 二 反訴の提起により著しく訴訟手続を遅滞させることとなるとき。
2 本訴の係属する裁判所が第六条第一項各号に定める裁判所である場合において、反訴の目的である請求が同項の規定により他の裁判所の専属管轄に属するときは、前項第一号の規定は、適用しない。
3 日本の裁判所が反訴の目的である請求について管轄権を有しない場合には、被告は、本訴の目的である請求又は防御の方法と密接に関連する請求を目的とする場合に限り、第一項の規定による反訴を提起することができる。ただし、日本の裁判所が管轄権の専属に関する規定により反訴の目的である請求について管轄権を有しないときは、この限りでない。
4 反訴については、訴えに関する規定による。

総説

●実務:債務不存在確認訴訟の被告が債務名義の取得のために請求訴訟を。賃料減額訴訟の被告が増額請求訴訟を(いわゆるゼロ和解(賃料据え置き)を狙う戦略として)。
●趣旨:訴えの変更が認められる原告との公平、訴訟経済、矛盾回避
●要件:
本訴の目的である請求又は防御の方法と関連する請求を目的とする場合
②事実審の口頭弁論終結前(146条1号本文)
(③専属管轄の規定に反しない(146条1号一))●方針:省略。管轄の問題なら明示あるはず。
④著しく訴訟手続を遅滞させない(146条1号二)●認識:二重起訴禁止に該当し他に手段がない場合等、要件不要とするか、緩やかに解することが必要と考えられている。
(⑤同種の訴訟手続き(136条))●方針:省略。当然。
●効果:要件不充足の場合、不適法却下(最判昭和41年11月10日)。
●定義:予備的反訴:本訴の棄却又は棄却を解除条件として審判を求める反訴(例:売買代金請求そしょの被告が、契約無効を主張しつつ、有効とされる場合の目的物引渡請求をする。所有権に基づく土地明渡請求訴訟において、所有権が自己に帰属すると主張しつつ、原告帰属とされる場合の土地賃貸借権確認請求ををする。等。)
●条文:控訴審における反訴(297条、146条)。相手方の同意(300条1号)。しかし、一審で実質的審理がされていれば、相手方の審級の利益を害さず、可能(判例)。
●補足:原告による再反訴も可能(東京地判昭和29年11月29日)。通説。例:原告:貸金返還請求。被告:超過利息の不当利得返還請求。原告:別途寄託した物の返還債務の不履行に基づく損害賠償請求。●裁判例:東京地判昭和29年11月29日。●認識:あまり
●補足:訴えの変更の要件(請求の基礎の同一性)よりは広いと考えられている。●認識:控訴審では被告の同意必要だし。●検討:そうだとすると交換的変更でも同様?
●実務:相殺の抗弁+反訴請求は多い。反訴のリスクは再反訴を受ける可能性。デメリットは審級の利益放棄。なお、要件不充足の場合、別訴提起し、併合の上申をすることが考えられる。併合が認められない場合、別裁判所で2訴訟が並行する。
●参考:要件不充足の場合、独立の訴えとして審理せよ、という有力説はあるらしい。不適法客観する判例に対して。

本訴請求やその攻防方法との関連性(146条)

●問題:①「本訴の目的である請求又は防御の方法と関連する請求を目的とする場合」(146条1項柱書)
●趣旨:併合審理により証拠資料等を同時利用することで、審理の重複回避・審判の統一を図る。●背景:請求の併合(136条)・訴えの変更(143条)をしうる原告との公平。なお、本訴の経済的目的と重複する限りで印紙不要のメリットもある。
●結論:「請求…と関連する請求」については、その権利関係又は発生原因が、本訴請求と、事実上又は法律上共通。●例:自動車衝突事故に基づく損害賠償請求の仕合い
●結論:「防御の方法と関連する請求」については、その内容又は発生原因が、本訴請求に対する抗弁事由と、事実上又は法律上共通。●例:500万の請求に対し600万の相殺の抗弁を主張。残り100万円を反訴。
(例:相殺の抗弁を提出した債権につき、相殺を超える部分を請求する場合等)
●趣旨:原告(訴えの客観的併合や訴えの変更等が認められる)との公平・矛盾判決の予防・訴訟経済(●私見参照)
●参考:300条1項・2項、控訴審
●補足:被告の同意がある場合は適法と考えれている。
●私見:二重起訴の禁止との比較(被告応訴の煩、がないだけで、残り2点は共通)。通常共同訴訟でも同様。
●補足:併合の一般的要件を充足していること(●私見:書かない場合も多いだろうが)。その他の要件にもあてはめる。但し、②「口頭弁論の終結に至るまで」(146条1項柱書)、及び③「著しく訴訟手続を遅滞させる」(146条1項2号)以外は、書かない(か、「その他の要件につき問題なく」)でOK(●確認:実際かかる手法を採用する書籍答案を確認済み。規定形式より。)。
●補足:反訴は、実質的に同時履行の抗弁を包含する(黙示の権利主張あり)と考えられるので、(当該抗弁主張がなくとも)引換給付判決(質的一部認容判決の一種)は適法。更に、反訴(実質的な抗弁)につき立証も尽くされており、本訴原告への不意打ちとならないことから、量的一部認容判決が可能。
●展開:民法202条2項との関係。防御方法の提出制限に過ぎず。反訴自体は可能、且つ妥当(被告の便宜、訴訟経済等から)。関連性あるものとして可能。

●補足:分離可能でも、被告の意思・様式行為性から、否定(新堂・上田)。
●補足:要件不充足なら訴え却下(最判昭和41年11月10日)
●補足:本訴が不適法却下されたが、反訴は補正により適法となった場合、関連性が要求されているとはいえ反訴は元来別訴によることが可能な者であり、併せて客観することは訴訟経済に反する。よって、独立した訴えとして要件具備あれば、適法な訴えとして維持されると解される。

●参照:300条1項

☆主観的複数

【知識・実務感覚】
●メリット:(訴訟資料・証拠資料を共通にすることにより(※))①審理の重複回避による訴訟経済(実務上は最大のメリット)、②紛争の統一的解決(通常共同訴訟では事実上のものにとどまる)。cf.細かくは、併合管轄(7条本文)、手数料(9条)も。(※)認識:手続保障の観点、メリット・デメリット両方になり得る。問題作成し易い、だろう。
●デメリット:①争点の増加・複雑化による訴訟の長期化。cf.細かくは、(争点の増加・複雑化がなくとも)期日調整で期日が2,3か月に1回に。等も。
●メルクマール(通常共同訴訟か、別訴か):
原則として、①38条前段の場合は通常共同訴訟
(例外:①主債務者・連帯保証人に対する訴訟で、保証人のみ強く争っている場合、主債務者に強制執行すれば足りるので別訴で。②連帯債務者2名のうち1名の共同被告に対する訴状送達見込みが低く、公示送達(110条)まで要する場合は、別訴で。)。
②38条後段の場合は別訴(そもそも各訴えにつき管轄が必要(7条ただし書き)。また、共通の争点が生じるとは限らず、最大のメリットを活かせず、むしろ長期化も)
(例外:共通の争点が生じることが見込まれる場合。①賃貸借契約書(雛型)の一条項の解釈問題、或いは②全債務者が請求を争っておらず、分割弁済の手法につき和解成立見込みあり。等)
●発想:「別訴を提起し、裁判所に対し、弁論の併合を上申する(●条)。しかし、認められるとは限らない。そこで、」フレーズ。●検討:客観的複数でも?
●発想:併合要件を欠く場合でも、独立した新訴の提起と扱われることもある。
●視点:「訴訟の早期段階であれば、著しく訴訟を遅延させることにはならない。」、「審理対象が、実質的に重複すると言えることから、」もありうる。
●(少なくとも)共同訴訟では、客観的併合の要件も充足する必要がある。●私見:書かないだろうが。

第二節 共同訴訟

(共同訴訟の要件)
第三十八条 訴訟の目的である権利又は義務が数人について共通であるとき、又は同一の事実上及び法律上の原因に基づくときは、その数人は、共同訴訟人として訴え、又は訴えられることができる。訴訟の目的である権利又は義務同種であって事実上及び法律上同種原因に基づくときも、同様とする。

(併合請求における管轄
第七条 一の訴えで数個の請求をする場合には、第四条から前条まで(第六条第三項を除く。)の規定により一の請求について管轄権を有する裁判所にその訴えを提起することができる。ただし、数人からの又は数人に対する訴えについては、第三十八条前段に定める場合に限る

●定義(前段前半):「権利又は義務が数人について共通」:訴訟物が同一、またはその基礎となる法律関係が共通(●例:共有(必要的共同訴訟か否かは別論)、数人の連帯債務者に対する請求)●認識:主債務者・保証人に対する訴えも(一般)。●理解:または、以降に該当、だろう。
●定義(前段後半):そのまま(●例:共同不法行為、建物収去(対所有者)・建物退去(賃借人)・土地明渡し、売主から買主・転得者に対する所有権移転登記抹消登記手続請求)
●定義(後段):そのまま(●例:複数の店子に対する増額賃料支払請求・明渡請求、複数土地の複数占有者を共同被告とする訴訟)
●確認:38条は40条を包含する?

(共同訴訟人の地位)
第三十九条 共同訴訟人の一人の訴訟行為、共同訴訟人の一人に対する相手方の訴訟行為及び共同訴訟人の一人について生じた事項は、他の共同訴訟人に影響を及ぼさない。

(必要的共同訴訟)
第四十条 訴訟の目的が共同訴訟人の全員について合一にのみ確定すべき場合には、その一人の訴訟行為は、全員の利益においてのみその効力を生ずる。
2 前項に規定する場合には、共同訴訟人の一人に対する相手方の訴訟行為は、全員に対してその効力を生ずる。
3 第一項に規定する場合において、共同訴訟人の一人について訴訟手続の中断又は中止の原因があるときは、その中断又は中止は、全員についてその効力を生ずる。
4 第三十二条第一項の規定は、第一項に規定する場合において、共同訴訟人の一人が提起した上訴について他の共同訴訟人である被保佐人若しくは被補助人又は他の共同訴訟人の後見人その他の法定代理人のすべき訴訟行為について準用する。

共同訴訟人間の主張共通

●開始:共同訴訟人独立の原則(39条):「通常共同訴訟は、審判の統一等の便宜上、併合審理するに過ぎず、本来的には私的自治により個別訴訟提起可能なので」等という趣旨フレーズ
●事例:土地所有者甲から、土地上の建物所有者乙に対する土地明渡請求訴訟、かつ当該建物を賃借し居住する丙に対する建物退去土地明渡訴訟
●前提:「同一の事実上及び法律上の原因に基づく」(38条前段)として、通常共同訴訟となる。
●理由:弁論主義、及び各共同訴訟人の意思が尊重されるという共同訴訟人独立の原則(39)の趣旨から。(また、釈明権(149条)もあるから。)
●結論:否定(通説・実務)
●判例:最判昭和43年9月12日
●実務:主張していない当事者は、有利だと判断すれば、適宜援用をすべし。
●補足:黙示に主張していると認定される場合はありうる。
●検討:裁判所から見ると、裁判所にとっての原告・被告間の主張共通を認める弁論主義の第一テーゼと同様、当事者間(原告相互間・被告相互間)での問題に過ぎない。しかし、ということ?原告・被告間ですらOKとも?肯定する有力説がある?
●参考:当然の補助参加理論は否定(基準が不明確。補助参加等によれば良い。)。釈明(149条)もある。

共同訴訟人間の証拠共通

●注意:通常・必要的、両方に妥当する話。
●前提:共同訴訟人独立の原則(39条)
●事例:一方当事者が申し出て、他方当事者が援用していない証拠
●問題:弁論主義(の第3テーゼ)(職権証拠調べの禁止(●条文))に反しないか。
●理由:自由心証主義(247条)の下、一つの歴史的事実の心証は一つのみ。
●結論:肯定
●補足:であり、その認定のための証拠は制限されない。
●判例:最判S45.1.23
●実務:①証拠申出していない当事者は、有利だと判断し、かつ前提となる主張をしていない場合、援用は必要。②不利な場合もありえ、証拠力の弾劾(文書成立の真正を争う等)は許される(別問題)。なお、②の場合、準備書面に記載しておくべき。
●補足:他の共同訴訟人も証拠調べに関与可能であり手続保障あり、もメルクマール。
●認識:弁論主義は裁判所と当事者との役割分担、とは書けない。主張共通の論証と矛盾。●検討

(必要的共同訴訟)
第四十条 訴訟の目的が共同訴訟人の全員について合一にのみ確定すべき場合には、その一人の訴訟行為は、全員の利益においてのみその効力を生ずる。
2 前項に規定する場合には、共同訴訟人の一人に対する相手方の訴訟行為は、全員に対してその効力を生ずる。
3 第一項に規定する場合において、共同訴訟人の一人について訴訟手続の中断又は中止の原因があるときは、その中断又は中止は、全員についてその効力を生ずる。
4 第三十二条第一項の規定は、第一項に規定する場合において、共同訴訟人の一人が提起した上訴について他の共同訴訟人である被保佐人若しくは被補助人又は他の共同訴訟人の後見人その他の法定代理人のすべき訴訟行為について準用する。

必要的共同訴訟:「合一にのみ確定すべき場合」(40条1項)

●注意:40条1項は、全員の利益にならないものは、当該「一人」についても効力を生じない。ここに「利益」とは、経済的観点ではなく、勝訴判決獲得に客観的に役立つか。
●定義:関係者全員が当事者となって初めて当事者適格が認められる共同訴訟。●認識:当事者適格・訴訟追行権の問題。●確認:違い
●理由:民事訴訟は、①実体法上の権利・法律関係の存否等の判断のための手続である一方、②実効的な紛争解決等の固有の権能をも有する。
●結論:そこで、両者の調和の観点から、①実体法上の訴訟物たる権利・法律関係の性質(管理処分権等)を中心に、②いかなる者に当事者適格・訴訟追行権を認めるべきか(原告の足並み揃わず被告の覚知困難等を避ける)等の訴訟法上の観点をも考慮し、判断。
●認識:①については、(原告複数の場合)一人にだけ単独での権利行使認めるのは過剰やで、或いは実体に合わない登記になるで(だから必要的)、等となるか否かで判断。
●認識:②については、この場合に必要的としたら権利行使難しい(覚知困難等)で、それでも履行できるで(争う意思のない(途中でなくなった)者は訴えなくてええやん)、等となるか否かで判断。

●行為:訴えの取下げにも適用される(判例・通説)。取下げされると、他の当事者の訴えも当事者適格を欠き却下となるので。●補足:類似必要的共同訴訟では有効(帰結:262条1号)。●認識:そもそも共に訴えることが要件ではない。
●参考:共同訴訟人の一部の者に対する訴えの取下げは効力を生じない。●認識:上記とは別の話。上記は原告の訴えの取下げには適用されない、という話で、ここでは被告。
●効果:要件不充足の場合、不適法却下
●実務:判例(被告複数の場合)、境界画定訴訟を除き、不可分債務に分類可能であることから、現在では否定されるのでは?、とも言われている。●認識:出ない。
●参考:上記①については、訴訟提起は処分に類似する、等の説明があり得る。●参照:司法平成28年
●認識:統一的説明をする学説なし。判例も変遷。類型毎に考えれば良い。具体例勝負。●参考:中野等2類型:①他人間の権利関係の形成・変動、②権利・利益の共同処分
●視点:総有・合有は原則〇(保存も)。共有(狭義)者間は〇。被告?原告?原告・「持分」(⇔「共有権」全体的概念)・「保存」なら☓。不可分債権・債務(例:所有権移転登記請求)は単独で可ゆえ☓。権利全体(持分権の問題に還元できない)紛争対象なら〇。以上、絶対ではない。●方針:確定・著名判例以外、自分で考える。

●具体例:
・遺産分割協議の無効確認訴訟〇、共有物分割請求訴訟(民法256条)〇(判例・学説上の争いもほぼなし)
遺産確認の訴え〇(最判H1.3.28・最判S61.3.13・主な学説もほぼ争いなし。)●相続欠格を理由とする相続人の地位不存在確認請求訴訟も同様。
(①共有物全体が相続人の共有に属することの確認を受ける管理処分権は各相続人になし。②将来の遺産分割手続等における争いを避けるため、共有者全員間で既判力をもって遺産帰属性を確認する必要あり。)
共有持分確認の訴え
(①持分については、各共有者に管理処分権がある。②争いのある当事者間で確認されれば、紛争解決としては必要十分。他の共有者との関係では確認の利益もない。)
(共同相続による共有:①既判力の客観的範囲は持分権の確認の点にのみ生じる(持分権の取得原因たる共同相続(理由中の判断)には生じず。)、②既判力の主観的範囲は当事者のみ。)
●注意:迷いがち・記憶系:①売主となった共同相続人に対する不動産所有権移転登記請求☓(最判昭和36年12月15日)、②貸主となった共同相続人に対する賃借権確認の訴え☓(判例)、③占有者となった共同相続人に対する所有権に基づく建物収去土地明渡請求☓(最判昭和43年3月15日。不可分債務を負担。争わない相続人も被告とする固有必要的共同訴訟は不経済。全員に対し債務名義又は同意を得なければ登記できず共同相続人の保護に欠けない、等の理由。)。●例:時効取得。●実務:念のため同調者も被告に。負担とならず(出頭不要)。判決(債務名義)を得れば、印鑑証明・委任状(司法書士)の個別取得不要。数次相続による多数共同相続人の場合は広く行わている。、④所有者となった共同相続人に対する所有権に基づく抹消登記請求訴訟〇(最判昭和31年5月10日)、⑤共有持分に基づく移転登記請求訴訟は〇(判例)。●確認:⑤
●前提知識:共有(民法898条)

●問題:訴えの取下げ
●結論:原告複数・被告複数、いずれの場合も訴えの取下げには全員の合意が必要。
●理由:訴訟物は一つなので。

●問題:境界画定の訴え・入会等
●結論:非同調者を被告にすれば良い。
●理由:①権利主張者の訴権保護、②全員原告である必要までは無い。
●補足:給付の訴えの場合は、内部紛争の域を出て、原告・被告の区別が重要。
●補足:隣地所有者が共有者のうち原告のみを相手方として上訴した場合、47条4項類推適用・40条2項準用により、被告となっている共有者は被上訴人となる(最判平成11年11月9日)。

●補足:例えば弁論の分離(152条1項)ができるためには必要的共同訴訟に該当してはならない等、訴え提起以外の場面でも問題となる。
●補足:非同調者を被告として関与させる場合、管理処分の行使をしたと言えるか?という問題意識あり。●認識:敗訴した以上、結論受け入れ不可避。実益ない議論。●参考:司法平成28年
●発展:非同調者を被告として関与させる場合、訴訟係属後に権利能力なき社団の構成員が生じたときにおいて、その者が、①同調者であれば、共同訴訟参加(52条1項)(大判昭和9年7月31日)、また②非同調者であれば、主観的追加的併合(判例は否定するも、射程外)でOK。●参考:司法平成28年

類似必要的共同訴訟

●問題:判決効矛盾の可能性
●理由:①判決の効力の衝突回避。②訴訟経済。③必要的共同訴訟は、訴権を制限するものであり、限定の必要あり。他方、④通常共同訴訟においても、証拠共通の原則を通じ、一定の合一確定は確保できる。
●結論:判決効が拡張される場合に限り、認める。●実務:それ以外にない。
●具体例:法律上:株主総会決議取消訴訟(会社法831条)等。解釈上:①株主代表訴訟(会社法847条)(最判平成12年7月7日)(第三者効について明文ないが)、②複数債権者による債権者代位訴訟(民法423条)(多数説)。債務者を通じ判決効拡張。
●展開:事実上判決が矛盾するに過ぎない場合は通常共同訴訟(38条)。
●判例:類似必要的共同訴訟を肯定(最判昭和43年12月20日)
●応用:同一事故の複数被害者の損賠賠償請求(区々な認定が不合理)や数人による順次登記の抹消登記請求(全員に勝訴しないと実益なし)であっても第三者効ないため非該当。その場合、通常共同訴訟+併合によることが考えられる(実務)。

遺産確認の訴え

●問題:確認の利益ある?
●定義:「当該財産が現に被相続人の遺産に属すること、換言すれば、当該財産が現に共同相続人による遺産分割前の共有関係にあることの確認を求める訴え」(最判S61.3.13)
●理由:それに続く遺産分割審判の手続、及びその確定後において、当該財産の遺産帰属性を争うことを許さない(既判力(114条1項)を以って確定)。よって、共同相続人間の紛争解決に資する(確認の利益あり)。適法。対象選択・方法選択として妥当。●参考:共有持分確認の訴えでは、相続に基づくかが確定されない。

●問題:訴訟形態は?
●理由:①実体法的観点:共有物として、管理処分権は共同相続人全員に帰属。②手続法的観点:遺産分割の審判は全員参加しなければ無効。その前提としての遺産帰属についても全員参加が望ましい。
●結論:固有必要的共同訴訟(最高裁H1.3.28)
●展開:自己の相続分全部を譲渡した者は必要性が無いため当事者適格なし。

上訴(必要的共同訴訟)

●問題:確定遮断し上訴審移審?
●理由:全員がそろって始めて訴訟遂行権・当事者適格が認められる。上訴は「利益」(40条1項)になる。
●結論:共同訴訟人の一人が上訴すれば、全員に対する関係で判決の確定が遮断され、当該訴訟は全体として上訴審に移審し、上訴審の判決の効力は上訴しなかった共同訴訟人にも及ぶ。

●問題:上訴しなかった共同訴訟人の地位は?
●理由:●●●
●結論:原則として、上訴人となる(判例・通説)。
●判例:最判昭和58年4月1日
●理由:ただし、審判範囲、審理態様、判決効に影響ない以上、その意思なき者を上訴人とする必要性がない場合もある。
●結論:その場合、自ら上訴しなかった共同訴訟人は、上訴人にはならない。
●判例:最判平成12年7月7日(但し、類似必要的共同訴訟のうち、株主代表訴訟のような代位訴訟的類型に限定された判決と解されている模様。例外。)。
●検討:●認識:類似必要的共同訴訟は、そもそも共に訴える必要性がなく、判決効が及べば良い。処分権主義の観点から、上訴人とする必要性・相当性がない。


●参考:共同被告の一方が上訴し、原告が上訴・付帯上訴しなくとも、合一確定に必要な限度で、他方に不利益変更可能(最高裁H22.3.16)。

(同時審判の申出がある共同訴訟)
第四十一条 共同被告の一方に対する訴訟の目的である権利と共同被告の他方に対する訴訟の目的である権利とが法律上併存し得ない関係にある場合において、原告の申出があったときは、弁論及び裁判は、分離しないでしなければならない
2 前項の申出は、控訴審の口頭弁論の終結の時までにしなければならない。
3 第一項の場合において、各共同被告に係る控訴事件が同一の控訴裁判所に各別に係属するときは、弁論及び裁判は、併合してしなければならない。

同時審判申出共同訴訟(41条)

●趣旨:原告の両敗けを防止し、事実上審判の統一を図る。
●具体例:民法717条(所有者(占有者の免責が認められなければ所有者は責任を負わない)と占有者(必要な注意をすれば免責される)、有権代理と民法117条(無権代理人の責任)
●補足:事実上両立し得ない場合(例:相手方が法人か個人か不明な場合に両者を訴える場合、不法行為の共同被告のいずれかが加害者等)、は適用なし。●認識:事案次第では、両方、もありえるから。
●補足:「弁論及び裁判は、分離しないでしなければならない 」点以外は、通常共同訴訟(必要的共同訴訟ではない)。よって、上訴を含め、共同訴訟人独立の原則(39条)が妥当。
●認識:一方のみによる上訴等、「係属」(41条3項)しない場合は、原告の両勝ちとなるがやむを得ない。

●展開:両勝ちは趣旨に反せず許容(●確認:ニュアンス「せざるを得ない」?)。
●具体例:相手方(原告)から、本人・無権代理人(被告)に対する同時審判申出共同訴訟において、本人との関係では、「有権代理」との心証。他方、無権代理人については、欠席により擬制自白(159条3項本文・1項)が成立。本人に対する請求認容、及び無権代理人に対する請求認容とすることが許される。共同訴訟人独立の原則(39条)により、40条2項は適用されないので、原告が主張する代理権の存在は無権代理人との関係では無効。
●結論:この場合、本人による「無権代理」との主張については、無権代理人には影響せず。
●理由:自白について弁論主義の第2テーゼ、及び共同訴訟人独立の原則(「訴訟行為」(39条))から。
●参考:このようば場合の審判統一のため、「当然の補助参加理論」もあるようだが、基準が不明確(cf.43条1項による申出と比較し)ゆえ不採用。
●検討:各々強制執行まで可能だが、別途不当利得返還訴訟???

●展開:上訴
●具体例:上記無権代理人の例で、逆に「無権代理」との心証を抱いた場合において、本人に対する請求棄却。無権代理人に対する請求認容し、相手方が本人に対してのみ控訴。
●結論:その場合、無権代理人をも共同被告として判決することは許されない。
●理由:共同訴訟人独立の原則(「訴訟行為」’(39条))。
●補足:控訴審で第一審判決取消し・請求認容となった場合、相手方の両勝ちとなるが、上記同様、許容される。

訴えの主観的予備的併合

●前提:●認識:主観的単純併合、主観的選択的併合は当然認められる。
●具体例:民法117条1項、717条1項本文・但書
●問題:審判の統一、審判の重複回避、訴訟経済に適う?
●定義:非両立請求につき、主位的被告に対する請求認容を解除条件とする、予備的被告に対する請求
●理由:①予備的被告の立場を不当に不安定にする一方、②上訴の場合の合一確定が保証されず(39条)、③紛争の統一的解決は、事実上、同時審判申出共同訴訟(41条)で図り得る。
●結論:否定(最判S43.3.8)

訴えの主観的追加的併合(明文なし)

●前提:明文(第三者によるもの:訴訟参加(47条乃至49条・51条前段)・共同訴訟参加(52条1項)、第三者に対するもの:引受承継(50条、51条後段)等)
●問題:審判の統一の利益があるのでは?
●理由:①新訴における旧訴の資料利用の可否が不明であり、必ずしも訴訟経済に適わず、②むしろ訴訟を複雑化・遅延させる。●認識:遅延は時期次第(判例も「時期いかんによっては」とする。)
●結論:否定(最高裁S62.7.17)
●帰結:別訴提起し、弁論併合(152条1項)を促すことで対応。ただし、同一の裁判所での訴訟係属が前提(別の裁判所に係属するものを併合することはありえず。)。●認識:明文なし。
●実務:事実上・法律上の関連性や訴訟経済を考慮し、広く行われている。ただし、審理が相当程度進行していれば、併合決定されない。早めに!
(なお、管轄の点、原始的併合管轄(7条本文)の適用はなく、別訴は別裁判所係属の可能性あり。その場合、裁量移送(17条)申立て(ハードル高い)。本訴裁判所への訴え提起は、応訴(12条)なき限り、管轄違いで本来的裁判所に移送される(16条)。
●注意:原告複数となる場合も。判例によれば、明文にあたらない限り、後から共同訴訟参加できない。●事例:詐欺集団に対する一被害者からの訴訟に後から参加は52条不可。主観的追加的併合も不可。152条1項のみ。●認識:原始的になら、38条後段により可能。
●参考:多数説(兼子・新堂等):①38条の要件充足、②第一審、ならOK。

第三節 訴訟参加

(補助参加)
第四十二条 訴訟の結果について利害関係を有する第三者は、当事者の一方を補助するため、その訴訟に参加することができる。

(補助参加の申出)
第四十三条 補助参加の申出は、参加の趣旨及び理由を明らかにして、補助参加により訴訟行為をすべき裁判所にしなければならない。
2 補助参加の申出は、補助参加人としてすることができる訴訟行為とともにすることができる。

(補助参加についての異議等)
第四十四条 当事者が補助参加について異議を述べたときは、裁判所は、補助参加の許否について、決定で、裁判をする。この場合においては、補助参加人は、参加の理由を疎明しなければならない。
2 前項の異議は、当事者がこれを述べないで弁論をし、又は弁論準備手続において申述をした後は、述べることができない。
3 第一項の裁判に対しては、即時抗告をすることができる。

(補助参加人の訴訟行為)
第四十五条 補助参加人は、訴訟について、攻撃又は防御の方法の提出、異議の申立て、上訴の提起、再審の訴えの提起その他一切の訴訟行為をすることができる。ただし、補助参加の時における訴訟の程度に従いすることができないものは、この限りでない。
2 補助参加人の訴訟行為は、被参加人の訴訟行為と抵触するときは、その効力を有しない。
3 補助参加人は、補助参加について異議があった場合においても、補助参加を許さない裁判が確定するまでの間は、訴訟行為をすることができる。
4 補助参加人の訴訟行為は、補助参加を許さない裁判が確定した場合においても、当事者が援用したときは、その効力を有する。

(補助参加人に対する裁判の効力)
第四十六条 補助参加に係る訴訟の裁判は、次に掲げる場合を除き、補助参加人に対してもその効力を有する。
 一 前条第一項ただし書の規定により補助参加人が訴訟行為をすることができなかったとき。
 二 前条第二項の規定により補助参加人の訴訟行為が効力を有しなかったとき。
 三 被参加人が補助参加人の訴訟行為を妨げたとき。
 四 被参加人が補助参加人のすることができない訴訟行為を故意又は過失によってしなかったとき。

補助参加(42条)

●事例:主債務者・保証人・共同不法行為者
●趣旨:①参加人の手続保障、②被参加人の有利な訴訟、及び敗訴の場合、参加人との後訴での解決準則獲得、③紛争の統一的処理、後訴を事実上予防。
●要件:他人間での継続中(※)の「訴訟の結果」(42条)につき、「利害関係」(42条)を有する。
●視点:独立性(45条1項本文)・従属性(45条1項ただし書き)●認識:キーワードとして使用
●補足:形成権の行使までは認められない(明文規定(民法457条2項)がある場合を除き、権利者の意思重視。)●確認:新債権法で全て否定?
●補足:共同不法行為の場合、原告の側に補助参加し、他の共同被告人に対する請求棄却判決に対する控訴提起が可能(最判昭和51年3月30日)。
●補足:当事者から異議がなければ利益なくとも可(44条1項・2項)。異議があっても、即時抗告可能(44条3項)で確定まで時間がかかるため、訴訟を止めないよう訴訟行為可能(45条3項)。
●補足:(※)再審開始決定(346条)による復活もありえるため、再審の訴え提起(340条1項参照)とともに申出も可。

「訴訟の結果」(42条)

●結論:主文で判断される訴訟物たる権利・法律関係の存否によって、参加人の地位が論理的に決定される場合に限られる。判決理由中の判断を含む。むしろそこが通常。●認識:現在の通説・多数説
●理由:①紛争解決の実行性、他方、①参加を広く認めると訴訟が複雑化。②基準の明確性、③「結果」との文言解釈として自然、(また④自ら当事者となるべき、とも)
●判例:不明。最決H13.1.30は、理由中の判断も含むように読めるらしい。最決H13.2.20は、主文限定に読めるらしい。基準の明確性・広く第三者の参加を認めることによる訴訟の複雑化防止等のため。●実務:事案に即した判断でOK。
●判例:共同不法行為者の一人が、第一審で敗訴・確定。他方、補助参加人として、被害者を控訴人とする控訴を提起(最判昭和51年3月30日)。非限定説との評価が多いが。

「利害関係」(42条)

●結論:「『法律上の利害関係』を有する場合」に限られる(最高裁S39.1.23)。直接権利義務影響・効力までは不要だが。
●定義:訴訟の判決が参加申出人の私法上又は公法上の法的地位又は法的利益に影響を及ぼすおそれがある場合に限られる(最高裁H13.1.30)。
●理由:趣旨(特に③)から。
●事例:土地所有権の争いがある場合、当事者の一般債権者は債権回収が困難になるという事実上の不利益に留まる。但し、債権者代位権(民法423条)の行使が可能な債権者については、利害関係が認められる(大決大11.7.17)。●検討:ほとんど該当するのでは?民法423も一般債権者では?対立概念は?
●認識:訴訟の結果、の論点との一貫性はない。訴訟の結果で理由中の判断まで含むとしても、この点で事実上の、までは拡げることはない。

「効力」(46条柱書)

●事例:債権者・保証人間の保証債務履行請求訴訟において主債務者が保証人側に補助参加。
(1)保証人・主債務者に対する第一審判決の判決正本送達後、保証人は2週間不作為、主債務者は控訴。●認識:補助参加人は判決正本送達を受けるが名宛人ではない。期日の呼出し(94条1項)は受ける。
(2)保証人敗訴判決確定後、保証人から主債務者に対する求償金請求訴訟提起。保証人が、主債務の存在を疑わせる重要な証拠(主債務者は不知)を所持しつつ①訴訟での提出懈怠が判明。主債務者は、当該求償金請求の訴訟において主債務の存在を争うことができるか。
●参照:民法459条1項等
●結論:(既判力とは異なる特殊な効力であり)同一当事者間で共同して訴訟を遂行し、敗訴した者相互間の責任分担原理である衡平・禁反言に基づき認められる効力(最高裁S45.10.22)。
●理由:判決効が、参加人に対しては種々の制約を受ける(46条)一方、単に訴訟告知を受けた者について生じる(53条4項)等、画一的に生じ法的安定性を図る既判力の本質に反する。
●内容:①訴訟物たる権利関係、及び②判決理由中の事実認定や先決的権利義務の存否判断等にも及ぶ(最判昭和45年10月22日)が、③それは、判決の主文を導き出すために必要な主要事実に係る認定及び法律判断に限られる(最判平成14年1月22日)。●認識:傍論としての事実認定・法律判断等には及ばず。
②被参加人敗訴の場合、参加人と被参加人との後訴に限り作用。●注意:46条各号については、「あれがなければ勝っていたかも」と言える。
③当事者の援用を待って判断(職権調査事項ではない)。
●結論:上記「事例」について。
(1)は、不可(●判例:最判S50.7.3)。参加人の従属性(45条2項)。訴訟追行権は被参加人に帰属。上記②。なお、呼出し・正本送達等から認める学説も多数。
(2)は、(●認識:まず、付従性(民法448条)による保証債務消滅のため、重要な証拠だと認定がベター。)原則不可(上記論点。主債務の存在(理由中)及び保証債務の存在(主文)等を争えず。)。しかし、所持しつつ、が問題。46条各号の趣旨は、敗訴責任の公平な分担が妥当しないから。4号「補助参加人のすることができない訴訟行為」・「過失」(4号)あり。よって、同号により争える。

●検討:42条と同じ?だからこそ参加可能?同じではなく、手続参加自体と、参加後に可能な行為に基づく責任分担は別。①参加〇・責任〇(通常)、②参加〇・責任☓(出来なかった行為)、③参加☓・責任〇(訴訟告知)、④参加☓・責任☓(自然)
●補足:補助参加人ができる訴訟行為についての例外(45条2項)の趣旨:補助参加は、被参加人の訴訟行為と抵触しない限度で補助参加人に不利益な訴訟結果が生じることを防止するための制度であり、補助参加人は被参加人の従たる立場に立つに過ぎない。具体例:被参加人が既に自白した事実については争えない。●補足:45条1項但書確認。
●比較:独立当事者参加の場合、「利益においてのみ」(47条4項、40条1項)。例えば権利主張参加する参加人は、自己の権利を主張して参加した独立した当事者ゆえ。●認識:47条が40条を引用するも、独立当事者参加は必要的共同訴訟ではない。固有は勿論、類似でもない。●検討:必要的共同訴訟の場合も、独立当事者参加必須ではない。係属中の訴訟が訴え却下になるものであり、参加の前提を欠く。
●具体例:補助参加人の否認した事実つき、その後に被参加人が自白(46条3号)。被参加人しか知らない主張・証拠の不提出、実体法上の権利行使せず(参加人行使につき消極説前提)。(46条4号)。
●補足:被参加人の実体法上の権利行使の可否(相殺・取消・解除・時効援用等)。判例なし。消極説(通説):根拠なし。積極説(当然予想。撤回可能で被参加人に不利益なし。)。●認識:あまり(消極説からも、被参加人が否定しなければ黙示的追認とも。積極説からも、被参加人が反する行為をすれば失効など。)

(訴訟告知)
第五十三条 当事者は、訴訟の係属中、参加することができる第三者にその訴訟の告知をすることができる。
2 訴訟告知を受けた者は、更に訴訟告知をすることができる。
3 訴訟告知は、その理由及び訴訟の程度を記載した書面を裁判所に提出してしなければならない。
4 訴訟告知を受けた者が参加しなかった場合においても、第四十六条の規定の適用については、参加することができた時に参加したものとみなす。

訴訟告知(53条)

●事例:債権者代位訴訟における告知(民法423条の6)。詐害行為取消訴訟における債権者から債務者に対する告知(民法424条の7第2項)。債務者に被告適格はない(民法424条の7第1項)。認容判決が出れば、受益者から反対給付返還請求等を受けうる(民法423条の5)。株主代表訴訟の株主から会社に対する告知(会社法849条3項)。
●趣旨:①被告知者の参加による有利な訴訟展開、不参加でも参加的効力(46条)(告知者の利益)、②被告知者の手続保障、③紛争の統一的解決
●効果:必要な告知を欠いた場合、訴えの適法性には影響しないという説と、訴えが不適法却下となるとする説もある。●認識:どちらでも。出ない。
●展開:補助参加(42条)、独立当事者参加(47条)、共同訴訟参加(52条)がありえる。が、敗訴責任分担が目的であり、補助参加が主。●理解:他は、独立しているため、必要性が低い。
●補足:催告・要求ではない。参加した効果、は生じない(参加したことになる訳ではない。)。補助参加人も可能(「当事者」との文言に関わらず。)。
●実務:結果として、訴訟告知の効果(53条4項)が生じないような場合も、裁判所が事前判断する訳ではないことから、送達はすべきとされている。

●問題:被告知者は告知者の相手方に参加できるか。
●結論:肯定
●理由:趣旨②

●判例(最決平成13年1月30日):売買契約に基づく商品代金支払請求訴訟。被告は第三者が注文、と主張。原告が当該第三者に訴訟告知。原告の請求棄却後、原告が第三者に対し訴訟提起。参加的効力否定。別の第三者が購入した可能性あり。訴訟の結果に利害関係を有すると言えず。また、理由中の判断で、買主は当該第三者ると判示したが、傍論。参加的効力を否定。
●判例(最判平成元年10月27日):交通事故被害者が加害者を訴え、加害者が共同不法行為者であるとして病院に訴訟告知:被害者側に参加。訴訟告知による参加的効力も、補助参加による参加的効力も否定。病院の過失を認めた前訴判示部分は傍論と。なお、加害者も病院も全部賠償義務を負う異時的不法行為。
●実務:参加的効力が認められないと考えれば参加せず。交通事故と無関係な治療・障害等でなければ、治療上の過失の有無にかかわらず、交通事故との相当因果関係肯定が通常ゆえ。仮に加害者が病院も一部負担を主張するなら、別訴で求償。保険で対応される。求償請求が認められるか不安なし。不参加が不安なら、原告側に参加が通常。原告が病院の責任を問わないなら、医療過誤の審理は無意味と、早期の審理終了を上申(理由中の判断に医療過誤の記載がされないよう監視)。上記判例では、医療過誤が認められないと主張立証。なお、訴訟長期化を避けたい原告が異議を述べれば利益否定。可能性それなりにあり。それはそれで良い。参加的効力なし。(なお、被告のみに対し、求償債務不存在確認請求を立て独立当事者参加もあるが、過失審理の必要性が低く。判断されても傍論。権利が害されるかは補助参加以上に疑わしく。印紙代を考えると不合理だろう。らしい)。

●問題:相手方に補助参加した場合にも、参加的効力(53条4項、46条)が生じるか。
●結論:否定(通説)●参考:仙台高判昭和55年1月28日は肯定
●理由:趣旨②、および訴訟共同遂行による公平上の敗訴責任負担という参加的効力発生の前提を欠く。(③があるので、告知者のためだけの制度ではない。)
●帰結:補助参加による判決効のみ。●検討:具体的には?
●参考:共同被告人の一人が原告側に参加する等も可能(最高裁判例)。
●確認:新債権法とのからみ(民法423・424条)

共同訴訟的補助参加

●事例:詐害行為取消訴訟(民法424条)の債務者(返還請求を受けないよう、詐害行為ではない、と)、取締役選任決議取消しの訴えに当該取締役が補助参加、遺言執行者を当事者とする訴訟に相続人が
●定義:判決の効力が及ぶ第三者による補助参加(明文なし。解釈論)。●注意:あくまで補助参加。
●趣旨:独立の当事者適格を有するなら共同訴訟参加(52条)で足りるが、有しない第三者であるがゆえに手続保障上の実益。
●要件:争いあり。①広く既判力等が第三者に及ぶことのみ、②被参加人の敗訴判決の効力が及び、且つ第三者の権利・法律上の利益が侵害、まで要求する。●認識:どちらでも。
●内容:独立性が強化。必要的共同訴訟人(40条)に準じた地位を有する。①被参加人の利益になるなら抵触行為可能(40条1項)(最判昭和40年6月24日)、②ただし、46条の制約なき効力あり(抵触する行為ができなかったと効力を免れることは不可)。●具体例:①について、上訴後、被参加人が取り下げても、上訴の効力失われず(同判例)。なお、通常の補助参加では、効力なくなる。なお、上訴期間も参加人基準(福岡高判昭和49年3月12日)。なお、通常の補助参加では、被参加人基準。
●帰結:被参加人の行為と抵触する行為:可。上訴期間の独立計算:される。参加人の中断・中止事由が手続全体に及ぶか:及ぶ(通説)。訴えの取下げや請求の放棄・認諾:不可。●認識:基本的には全ての訴訟行為ができる、と認識。
●機能:補助参加(42条)と共同訴訟参加(52条)の間隙を埋める。
●補足:債務者(・全債権者)に対する効力がある(民法425条。相対的構成の排除。)ことから、従来の債務者は補助参加(42条)のみだったが。

(独立当事者参加)
第四十七条 訴訟の結果によって権利が害されることを主張する第三者又は訴訟の目的の全部若しくは一部が自己の権利であることを主張する第三者は、その訴訟の当事者の双方又は一方を相手方として、当事者としてその訴訟に参加することができる。
2 前項の規定による参加の申出は、書面でしなければならない。
3 前項の書面は、当事者双方に送達しなければならない。
4 第四十条第一項から第三項までの規定は第一項の訴訟の当事者及び同項の規定によりその訴訟に参加した者について、第四十三条の規定は同項の規定による参加の申出について準用する。

独立当事者参加(47条)

●具体例:原告→被告:(知らない間に登記移転されたと)所有権確認・所有権移転登記抹消登記手続請求。被告から買い受けた第三者が参加する場合
(補助参加では、各種制約あり。また、請求を立てないため、仮に補助参加した被告が勝訴しても、原告に所有権がないことのみが確認。被告に所有権があるとは判断されず。終局的解決にならず。)
●趣旨:訴訟物に関する三者間の法律関係の統一的解決(、及び審理重複による当事者・裁判所の負担軽減、並びに第三者の手続保障)
●趣旨:紛争の統一的解決のため、40条1項乃至3項準用(47条4項)。なお、一部判決不可。
●補足:一人の上訴により確定遮断され、上訴審に移審(最判昭和50年3月13日)。
●判例:債権者代位訴訟可能(最判昭和48年4月24日):権利保護のため必要性あり。合一確定される。なお、3つの弊害なく、二重起訴の禁止にも反しない。
●補足:片面的独立当事者参加は明文で認められている(「一方」(47条1項))。訴訟追行・裁判資料統一のため、40条準用。
●補足:従来の訴訟当事者の一方すら共同関係を持たないことから、共同訴訟参加(52条)と区別される。
●補足:補助参加とは異なり、当事者の異議に関わりなく、訴訟要件を調査(47条4項は、44条を準用せず。)。
●実務:保険会社:いわゆる不熱心訴訟(被告モラハザ)への補助参加多い。保険金詐欺的訴訟では、補助参加では抵触行為ができない等から、独立当事者参加。最初は前者、疑義発生なら後者、も可能。
●論点:仮登記の本登記請求は権利主張参加の理由となるか?●認識:あまり

独立当事者参加(参加の利益)

●問題:「訴訟の結果によって権利が害される」(47条1項前段)(詐害防止参加)●認識:馴れ合い訴訟の場合。●確認:のみ?●:具体例:保険会社(保険金詐欺)
●結論:補助参加の「訴訟の結果」同様(主文で判断される訴訟物たる権利・法律関係の存否によって、参加人の地位が論理的に決定される場合に限られる。判決理由中の判断を含む。)
●問題:詐害意思
●結論:同様当事者間に詐害意思があると客観的に認められる場合
●理由:詐害再審制度を事前制度化し、当事者としての参加を認め、詐害判決を予防しようとした趣旨に相応するため。
●具体例:主張立証の懈怠、期日欠席、不合理な自白等
●確認:実務上あまり。でもなさそう?
●実務:保険会社のケース
●具体例:所有権移転登記抹消手続請求訴訟における被告に対する差押債権者

●事例:甲乙建物賃貸。甲自己使用のため返還請求を検討。乙は妻子と居住。友人丙に部屋を間貸。現在、乙から丙に対する明渡請求訴訟係属中。
●前提:①乙丙に対し各々訴訟提起可能。②併合提起も可能(「同一の事実上及び法律上の原因に基づく」(38条1項前段))。しかし、通常共同訴訟の一般的限界あり。●検討:各法律構成次第では他文言も可能。③共同訴訟参加(52条)は不可。合一確定の必要性がない。仮にあるとしても(●確認)、乙には明渡しを求められず、丙が明渡す相手方も乙であり、目的を達せず。④補助参加(42条)しうるが(●検討:乙から丙に対する明渡請求権の存否が甲からの明渡請求の論理的前提となる?逆では?)、債務名義(民執法23条1項)を取得できず、別途乙に対し訴訟提起必要。迂遠。●補足:妻子は、主観的範囲の論点を書いて、固有の利益を有さないということで問題なし。
●問題:「訴訟の目的の全部若しくは一部が自己の権利であることを主張する」(47条1項後段)(権利主張参加)
●結論:本訴請求と参加人の請求(の趣旨)が実体法上論理的に両立し得ない関係にある場合
●理由:①同一の権利関係を巡る三面訴訟を矛盾なく解決する制度趣旨から機会は広く(そうでないなら他の方法で)。(②併合要件であり、参加申出書の記載のみを手掛かりにすべき。)
●検討:上記事例では、⑤として、論理的に両立し得ないので可能。●検討:上記③との関係は?矛盾?必要的共同訴訟の要請と論理的両立性との関係が?
●参考:反対説(訴訟物レベルでの非両立)●認識:民法423で債権者が事実上の優先弁済を受けると、債務者は給付を受けられない、のは請求の趣旨レベル。訴訟物では勝訴したのと同じなので。なお、当事者適格の非両立性、は、債権法改正後は存在しない。

●補足:二重起訴には該当しない(必要性あり。かつ趣旨から。)。
●補足:債権者代位訴訟(民法423条)。債務者の当事者適格は問題とならない(民法423条の5。判例変更)。しかし、別訴提起は既判力に抵触(115条1項2号)しうることから、二重起訴禁止(142条)に該当。よって、代位訴訟への参加のみ認められる(債権法改正前後で変わらず)。債権法改正前は、補助参加(共同訴訟的補助参加)のみ認められていた。しかし、その後は、類似必要的共同訴訟になると解されている(実務)。なお、債権者の当事者適格(被保全債権の存在)を争って独立当事者参加(47条)可能である点は、債権法改正前後で変わらず。なお、他の債権者についても、被代位債権という訴訟物が同じであることから二重起訴禁止に係り、共同訴訟参加となる点、同じ。
●判例:最判S48.4.24(及び大判S14.5.16)を確認。代位債権者の当事者定格の是非次第とも読める?●認識:判旨は、民法423条の6の内容を前提とせず、その場合に債務者を不利に扱う?

独立当事者参加(自白・放棄・認諾・和解・取下げ)

●問題:自白
●結論:参加人が争う限り、原被告間でも効力を生じない(通説)。
●理由:三当事者間の訴訟を矛盾なく解決するため。

●問題:請求の放棄・認諾
●結論:認められず(通説)。
●理由:三当事者間の訴訟を矛盾なく解決するため。

●問題:和解
●結論:無効説(仙台高判昭和55年5月30日):原告・被告間の和解について、訴訟参加人に対して無効と。
(明文で片面的独立当事者参加が認められていなかった時代のもの。3面関係の維持をする必要があるという考え方。)
●確認:東高判H3.12.17(無効:三当事者間の訴訟を矛盾なく解決するため。)
●展開:無効なので、法律違反として、控訴により是正。原判決を取消し、差戻し(上記仙台高判)。
●展開:残る当事者の同意を得れば、和解・取下げ可能と(上記仙台高判)。
●展開:残る訴訟は、①本訴原告・参加人間、②本訴被告・参加人間の通常共同訴訟(上記仙台高判)。
●反対説:47条4項(40条1項乃至3項準用)適用。理由:片面的独立当事者参加が認められ、三面訴訟でなくとも可。
●参考:反対説(残る当事者に不利でなければ有効。批判:基準不明確。)

●問題:取下げ。
●理由:被告については、通常通り。参加人については、牽制・矛盾判決回避のための参加人の利益。
●結論:被告・参加人の同意が必要(最判昭和60年3月15日)
●帰結:参加人と原告・被告双方との間の請求(双面的参加)、参加人の原告又は被告に対する請求(片面的参加)が、残る。
●応用:参加の取下げ、についても同様の処理。但し、双面的参加の場合、一方に対する請求のみ同意を得て取り下げるときには、片面的となるのみ(参加の取下げではない)。

独立当事者参加(上訴との関係)

●場面:敗訴者の一人のみが上訴(原告から被告に対する請求棄却。参加人から原告・被告に対する請求認容。被告のみが控訴)
●判例:第一審で債権譲渡の第一譲受人が勝訴、第二譲受人のみが控訴(最判昭和48年7月20日)

●問題:他方(原告)は、上訴人?
●理由:一律に決められず。
●結論:合一確定の必要性共同関係の擬制可能性を踏まえ、決定される(判例)。
●帰結:上記具体例で、原告→被告(土地所有権確認)で参加人→原告・被告(同じ確認)の場合、控訴審で参加人の控訴人に対する請求棄却(第一審判決変更)。合一確定のため、参加人の原告に対する請求を棄却に変更する必要。被告・原告に共同関係が擬制される。原告は控訴人(40条1項準用)。
●一判例:被上訴人(最判S50.3.13)●理由:上訴人とは争う関係にあり、①敗訴の場合の訴訟費用分担(61条)するなど、立場的に不自然であり、②47条4項・40条2項から、「一人に対する」「全員に対して効力」(40条1項ではない)

●問題:控訴取下げ
●結論:上訴した者のみで取下げ可能。
●理由:(前提:被控訴人の同意不要(292条2項は、261条2項を準用せず。)。控訴審の係属は遡及消滅(292条2項、262条1項)し、不利益なし。)
あくまで判決の合一性確保のため移審したのみ、控訴の係属が遡及消滅する以上、自ら控訴していない一審原告の同意は不要。
●批判:下記結論と矛盾

●問題:他方の請求(原告から被告に対する請求)は審判対象か。
●結論:肯定(最判48.7.20)。全てが確定遮断・移審する。原告→被告。参加人→原告も。
●理由:同一の権利関係を巡る三面訴訟の矛盾なき解決を優先(上記批判参照)。

●問題:他方に有利な判決変更可能か。不利益変更禁止の原則との関係。
●結論:合一確定に必要な限度で可(最判S48.7.20)
●理由:(296条1項、304条よりも)本制度の趣旨を優先。
●認識:被上訴人説の原則貫徹による不都合(不可能)について必要最小限の修正。●検討:理由不明
●具体例:原告請求棄却・参加人の請求認容の場合、被告のみが上訴。上訴審が、原告の請求に理由ありと判断すれば、参加人の請求を棄却することは許されるが、原告の請求を認容することまでは許されない。合一確定の目的が達成される(上訴当事者の地位に影響しない)ので。

●問題:類似必要的共同訴訟の場合。●具体例:株主代表訴訟(会社法847条)(法115条2号)●固有必要的共同訴訟の場合、40条1項により全員が上訴人に。確定遮断・移審。有利なので。
●結論:類似必要的共同訴訟の場合は別論。上訴人とはならない。明文なき任意的訴訟担当。
●理由:①各株主の個別的利益の問題ではなく、影響なし。②意思を失った者に強制不能。

●問題:上告審での参加
●結論:否定(最高裁S47.7.15)
●理由:定立された請求につき事実審理できず。下級審で敗訴しておらず上告の利益なし。

(訴訟脱退)
第四十八条 前条第一項の規定により自己の権利を主張するため訴訟に参加した者がある場合には、参加前の原告又は被告は、相手方の承諾を得て訴訟から脱退することができる。この場合において、判決は、脱退した当事者に対してもその効力を有する。

当事者の脱退(48条)

●趣旨:原告又は被告の離脱をみとめつつ、紛争解決は確保する。
●問題:「相手方」
●結論:相手方当事者(参加人は含まれず。)●判例
●理由:①文言、②48条後段から参加人には不利益なし。

●問題:効果は?
●結論:①残存当事者・参加人間の訴訟の結果に従うとの条件付放棄・認諾に基づく効力、及び②その論理的帰結となる法的効果
●理由:①残存者に訴訟遂行(●確認:追行?)を委ねた脱退当事者の合理的意思解釈、②紛争の一回的解決のため法定効果を認める必要性
●帰結:参加人勝訴の場合(請求認諾)、相手方勝訴の場合(原告なら放棄、被告なら認諾)。空白部分は上記②で。
●確認:反対説(制度上合理的な効果(紛争の一回的解決を含む))との違い。●推測:あまり
●補足:訴えの取下げとは異なり、主張・立証は裁判資料となり続ける。
●具体例:原告脱退(原告→被告:貸金返還請求訴訟、参加人:差押え・転付命令を受けたと。原告が認め脱退。参加人→被告の請求認容ならそのまま。棄却でも、放棄した以上はダメ。らしい(実務)。●検討)。被告脱退(原告→被告:建物所有権に基づく明渡請求、参加人→原告:所有権確認、→被告:明渡請求。被告は所有者に明け渡すと脱退。棄却でも認容でもそのまま。)

(共同訴訟参加)
第五十二条 訴訟の目的が当事者の一方及び第三者について合一にのみ確定すべき場合には、その第三者は、共同訴訟人としてその訴訟に参加することができる。
2 第四十三条並びに第四十七条第二項及び第三項の規定は、前項の規定による参加の申出について準用する。

共同訴訟参加(52条)

●前提:明文ある主観的追加的併合
●事例:債権者代位訴訟(民法423条)の債務者、詐害行為取消訴訟(民法424条)の他の債権者、株主代表訴訟、株主総会決議取消訴訟
●定義:①当該訴訟につき当事者適格を有し、かつ②判決の効力を受ける場合
●趣旨:・・・
●要件:参加者に当事者適格があること。●検討:要件ではなく、前提?。訴訟の係属中であること(明文なし?)。控訴審でも可能(争いなし)。上告審については争いあるも。判決効が及ぶこと、原告と同一請求を定立するのみ(相手方の審級の利益害さず)。ゆえ認めるのが通説。
●補足:当事者適格はあるので、共同訴訟的補助参加ではない。
●効果:類似必要的共同訴訟となる(いずれの従前当事者とも共同訴訟関係には立たない。●確認)。40条の規律を受ける。
●実務:先行訴訟の請求内容に依存ない場合、請求を立てる必要性なく、補助参加で足りる。
●補足:債権者代位訴訟の場合、原告の当事者適格(債権の存在)を争う場合、独立当事者参加(47条)もありえる。共同訴訟参加を含め、可能かは議論があるところ。

●問題:固有必要的共同訴訟で当事者が欠落していた場合
●結論:共同訴訟参加により瑕疵治癒(大判S9.7.31)

●補足:(債務者・)全債権者に対する効力がある(民法425条。相対的構成の排除。)ことから、従来の他の債権者では問題にならなかったが。なお、債権者は各々詐害行為取消権を有するため、別訴提起は二重起訴禁止(142条)に反しない。cf.債権者代位訴訟(民法423)との違い。

(権利承継人の訴訟参加の場合における時効の完成猶予等)
第四十九条 訴訟の係属中その訴訟の目的である権利の全部又は一部を譲り受けたことを主張する者が第四十七条第一項の規定により訴訟参加をしたときは、時効の完成猶予に関しては、当該訴訟の係属の初めに、裁判上の請求があったものとみなす。
2 前項に規定する場合には、その参加は、訴訟の係属の初めに遡って法律上の期間の遵守の効力を生ずる。

(義務承継人の訴訟引受け)
第五十条 訴訟の係属中第三者がその訴訟の目的である義務の全部又は一部を承継したときは、裁判所は、当事者の申立てにより、決定で、その第三者に訴訟を引き受けさせることができる。
2 裁判所は、前項の決定をする場合には、当事者及び第三者を審尋しなければならない。
3 第四十一条第一項及び第三項並びに前二条の規定は、第一項の規定により訴訟を引き受けさせる決定があった場合について準用する。

(義務承継人の訴訟参加及び権利承継人の訴訟引受け)
第五十一条 第四十七条から第四十九条までの規定は訴訟の係属中その訴訟の目的である義務の全部又は一部を承継したことを主張する第三者の訴訟参加について、前条の規定は訴訟の係属中第三者がその訴訟の目的である権利の全部又は一部を譲り受けた場合について準用する。

訴訟承継(49条・50条・51条)

●事例:
・債権の譲受人(権利(物権・債権)承継人による参加承継)(原告(譲渡人)と争いなければ、債務者に対してのみ請求を立てれば足りる。譲渡人は被告の承諾を得て脱退可能(48条))
・所有権に基づく土地明渡請求訴訟における土地占有の承継者(義務承継人による参加承継。対原告:明渡義務不存在確認訴訟。対被告:占有権限確認訴訟。)●規律・展開は上記権利承継人の場合と同様。
・義務承継人に対する引受承継:承継人に対し要請求定立(同時に。通説)。同時審判申出共同訴訟となる(争いあり●認識:あまり)。●実益:既存の訴訟状態が不利なら自主的承継期待できず。既存被告は原告の同意を得て脱退(48条)可。●実務:不覚知が多く執行力が及ばない(民執法23条1項3号)ゆえ、要仮処分(民保法62条参照)。債務名義に承継執行文(民執法27条2項)を受け強制執行可能。
・権利承継人に対する引受承継:規律・展開は上記義務承継人と同様。ただ、義務不存在確認請求を定立した場合、承継人が請求の訴え提起すれば訴えの利益消滅。残った原告の請求とは同時審判申出に(争いあり●認識:あまり)。●実益:対抗要件を備えない権利譲受人は不利ゆえ積極的参加せず。貸金不存在と考える被告にはメリットあり。敗訴後、承継人から別訴提起されるのが面倒なので、は一応ありうる。

●認識:独立当事者参加(47条)で学ぶ形態の一部は、権利首相参加承継の一部か。●確認:それは原始的で、ここでは後発的参加の場合か?
●比較:独立当事者参加では従前の訴訟状態に拘束されないが、参加承継では拘束される。馴れ合い訴訟等では、例外的に拘束されないとの判断も。●認識:明文なし?

●趣旨:訴訟承継主義
●効果:訴訟状態帰属効
●補足:上告審における参加不可(大判昭和13年12月26日)

●前提:被承継人が当事者であり続けるか否かは別問題
●内容:当然承継(明文なし(124条1項が前提とする)、特定承継(参加承継(49条1項・51条前段)、引受承継(50条1項、51条後段))
●補足:時効完成猶予・期間遵守効は承継人に及ぶ(参加承継(49条1項・2項、51条前段)、引受承継(50条3項、51条後段))。

●趣旨(特定承継):従来の訴訟状態(主張・立証の結果)をし、紛争を実効的に解決する。
(実質的根拠:①相手方当事者の既得的地位の保護、②承継人の実体法上の地位との整合性、③被承継人による代替的手続保障(訴訟承継主義(⇔当事者恒定主義))●根拠:49条、115条1項3号

●効果(参加承継):
①当事者に(権利承継人(49条、47条):●注意:被承継人の原告たる地位に変化なし。交替ではなく、参加。義務承継人(51条前段、47条)。●注意点同じ。当然承継(交替)と混同☓!)
②必要的共同訴訟に(47条4項、40条1項乃至3項)原則として参加前の訴訟状態に拘束される。(権利承継人(49条、47条)、義務承継人(51条前段、47条))
●効果(引受承継):
①当事者とできる(義務承継人(50条1項)、権利承継人(51条後段、50条1項)
②同時審判申出共同訴訟の規定準用(義務承継人(50条3項、41条1項、同3項)、権利承継人(51条後段、50条3項、41条1項、同3項)

●問題:「承継人」
●理由:①紛争を実効的に解決するため。②訴訟物以外の関連する法律関係(基礎となる権利・派生する権利等)も含めるのが紛争の一回的解決に適う。●認識:代替的手続き保障があったことが前提。だろう。
●結論:紛争主体たる地位の移転を受けた者
●判例:最判昭和41年3月22日:債権的請求・物権的請求関係なし。●確認:「生成中の既判力」ゆえ115条3項と同じ、とは言えないはず。既判力の客観的範囲より広いので。
●展開:権利者を引き込む場合、債務不存在確認請求を定立する(51条後段、50条)。引き込まれた者は、当事者となる。
●参考:判例(最高裁S41.3.22)は、「紛争の主体たる地位の移転」と。●自己認識:適格承継説(訴訟物限定)「『当事者適格』を伝来的に取得した者」説から乗り換え
●検討:具体的な認定
●効果:承継人は当事者となる。承継時点の地位をそのまま承継(拘束力あり)。●確認:実体法上の譲渡の時点(兼子説)が通説の模様だが。
ただし、固有の攻撃防御方法は提出しうる他。参加承継の場合、(原則自らの意思で参加したとはいえ)従前の訴訟が馴れ合いの場合、相手方の信義則違反の場合は例外。引受承継の場合、尚更例外余地あり。
●参考:引受承継の申立ては、事実審の口頭弁論終結時までに(最決S37.10.12)。●認識:参加承継も同じだろう。

●認識:
①独立当事者参加には必要的共同訴訟における手続規定(及び補助参加の申出手続)準用(47条4項、40条1項から3項(及び43条))。(が、当然、必要的共同訴訟になる訳ではない。)。権利承継人の参加承継(49条1項)の場合、そもそも49条が独立当事者参加(47条1項)を予定ゆえ、その条文(48条も)が適用。なお、独立当事者参加は参加承継に限られず。が、参加承継は必ず独立当事者参加。

②義務承継人の引受承継(50条1項)の場合、「権利」「主張」参加(47条後段)ではなく(●特に検討)、50条3項準用の「前二条」(48条、49条)は(1項において47条1項に言及しているものの)訴訟脱退(48条)及び時効の完成猶予・期間遵守(49条1項・2項)の点に限定(独立当事者参加とならず)。50条3項では、同時審判申出共同訴訟の規定(41条1項・3項)が準用され、弁論の分離禁止(41条1項)や控訴審での併合義務(41条3項)あり。そもそも独立当事者参加とならず、それらの規律を準用する必要性あり。(なお、当然、必要的共同訴訟になる訳ではない。通常共同訴訟。)
●確認:権利者による参加承継の場合、弁論の分離禁止・併合義務付けはされないのか?47条の制度趣旨から、当然されるはず。不文の前提か?

③51条は、上記を前提に、義務承継人の参加承継(51条前段)は、47条から49条までを準用している。また、権利承継人の引受承継(51条後段)は、50条を準用している。

なお、条文上、参加承継は「訴訟参加」、引受承継は「訴訟引受け」となっている。というよりも、条文スタートで、各々前者が講学上の概念、だろう。

●参考:権利承継の場合、前主からの引受申立てを認めない裁判例あり(東京高決昭和54年9月28日)。●認識:義務も権利もない模様。百選確認。

訴訟承継

●問題:原告側の承継あり(51条後段・50条)。被告が引受承継の申立てをした。請求の定立を要するか。
●諸説:①債務不存在確認請求等を定立(●一応これで),②引受申立てを包含、③原告から被告への請求の擬制
●考慮要素:被告の受動的地位。他方、承継人が請求を定立しない場合に困る。擬制も変。

●実務:引受決定があった場合、引受申立人が引受人に対する請求を定立する必要があるか争いあり。実務では、請求の趣旨訂正書を提出する扱いが多いらしい。●認識:参加承継の場合、47なので請求定立は必須。
●問題:被承継人からの申立ての可否(義務承継の場合もありえる)
●結論:肯定(最判昭和52年3月18日):権利承継の事案
●理由:①承継人からの責任追及に備える必要、②「当事者」とのみ規定
●反対説:東京高決昭和54年9月28日。権利承継の事案)も有力。

●問題:引受決定後に承継の事実が存在しないと判明した場合(例:債権譲渡が不存在と判明)、定立された請求についての裁判は?
●諸説:①訴え却下(当事者適格を欠くゆえ)(東京高決S40.6.24)、②(請求棄却等の)本案判決(紛争の一回的・実効的解決のため)(大阪高判S39.4.10)、③引受決定取消し・申立て却下(引受けの要件は先決されるべき問題であるがゆえ)(●認識:学説)。
●補足:②の場合、上述の問題では、①②は請求認容、③は請求棄却。●私見:とりあえずこれ。
●確認:債権者代位訴訟で債権者の債権が不存在(当事者適格がない)と判断された場合との整合性

任意的当事者変更

●前提:当事者としての同一性に変更がない「表示の訂正」とは別問題。同一性に変更ある場合、訴状の補充・訂正の話。その場合、基本的には本論点に準じれば良いが、訴状送達による訴訟係属前であれば、「表示の訂正」として処理する事務もある模様。)
●問題:法的性質
●結論:新訴の主観的追加的併合(新訴提起と弁論併合)と旧訴の取下げ(261の要件充足すべき)の複合行為。よって、両要件充足が必要。
●理由:明文ない特殊な行為を認めるのは不当。新たなの手続保障(よって第一審係属中であること。下記③の例外あれば可)。
●効果:旧訴状を補正して利用(印紙そのまま)。時効の完成猶予あり。出訴期間遵守あり。
●展開:裁判資料(主張・証拠調べの結果)の流用。原則不可(新当事者の手続保障)。例外として、①新当事者の追認(原則は新訴だが)、②旧当事者の訴訟行為が信義則(2条)上可能(例:自白、(時機に後れた)攻撃防御方法の提出)、③新当事者が実質的に手続に関与していた。旧訴との分断回避。
●補足:明文なき任意的当事者変更は、この限りで認められる。

☆上訴・再審

(附帯控訴)
第二百九十三条 被控訴人は、控訴権が消滅した後であっても、口頭弁論の終結に至るまで、附帯控訴をすることができる。
2 附帯控訴は、控訴の取下げがあったとき、又は不適法として控訴の却下があったときは、その効力を失う。ただし、控訴の要件を備えるものは、独立した控訴とみなす。
3 附帯控訴については、控訴に関する規定による。ただし、附帯控訴の提起は、附帯控訴状を控訴裁判所に提出してすることができる。


(第一審判決についての仮執行の宣言)
第二百九十四条 控訴裁判所は、第一審判決について不服の申立てがない部分に限り、申立てにより、決定で、仮執行の宣言をすることができる。

(口頭弁論の範囲等)
第二百九十六条 口頭弁論は、当事者が第一審判決の変更を求める限度においてのみ、これをする。 2 当事者は、第一審における口頭弁論の結果を陳述しなければならない。

第一審の訴訟手続の規定の準用
第二百九十七条 前編第一章から第七章までの規定は、特別の定めがある場合を除き、控訴審の訴訟手続について準用する。ただし、第二百六十九条の規定は、この限りでない。

(反訴の提起等)
第三百条 控訴審においては、反訴の提起は、相手方の同意がある場合に限り、することができる。

2 相手方が異議を述べないで反訴の本案について弁論をしたときは、反訴の提起に同意したものとみなす。
3 前二項の規定は、選定者に係る請求の追加について準用する。

(第一審判決の取消し及び変更の範囲)
第三百四条 第一審判決の取消し及び変更は、不服申立ての限度においてのみ、これをすることができる。

控訴(概要)

●基礎:2週間以内(285条本文)
●結論:形式的不服説(申立て内容と判決主文とを(質・量につき)比較し、後者が前者に及ばない場合)●判例(大判S18.12.13)・通説
●理由:①自ら審判対象を設定し(246条)、勝訴した者については、(より有利な判決を求めるために)裁判の取消しを認める必要性は低い。②基準の明確性。
●展開:判決理由中の判断に関する不服は非該当(最判S31.4.3)。
●展開:相殺の抗弁が容れられて勝訴した被告については、反対債権を犠牲にしている点、かつその点について既判力まで生じる点から、実質的な敗訴であり、控訴の利益は認められる。●検討:これは、「実質」か、あくまで「形式」か。●認識:上記括弧内の理由は、相殺の抗弁の審理・判断は(原則として裁判所の裁量であることに対する例外として)最後に審理すべきである、という場合の理由ではあるが、ここでもか?●検討:で良いだろう。
●参考:実体的不服説(実体法上、より有利か否か)

●条文:控訴不可分の原則(304条)(293条・294条参照)

●条文:不利益変更禁止の原則(296条1項・304条):判決対象に関する規制(審理範囲の規制ではない。)。

●問題:付帯控訴の法的性質
●結論:(控訴ではなく)控訴審における特殊な攻撃防御方法
●理由:①控訴とは別の性質(293条1項)、②控訴人の申立て範囲設定の自由との公平上認められた審判範囲拡張権。
●上訴の追完(97条)「責めに帰することができない事由」等:確定判決の不正取得・公示送達・再審との比較等で出て来る。無過失が必要。相手方の悪意・重過失等を総合考慮して判断。

●控訴期間は、「…判決書の送達を受けた日から二週間..の不変期間内」(258条本文)

相殺と不利益変更禁止の原則

●問題:相殺の抗弁を容れて請求棄却判決。原告のみ控訴。訴求債権の不存在判明。請求棄却可能?
●理由:不利益変更の禁止(296条1項、304条)に反する。
●結論:付帯控訴(293条1項)なき限り判決変更不可。
●参考:控訴審における審判対象は訴求債権・反対債権とも。反対債権のみだと訴訟物がない。反対債権・訴求債権共に不存在と認定されても請求認容となる。●検討

二章 上告

(上告裁判所)
第三百十一条 上告は、高等裁判所が第二審又は第一審としてした終局判決に対しては最高裁判所に、地方裁判所が第二審としてした終局判決に対しては高等裁判所にすることができる。
2 第二百八十一条第一項ただし書の場合には、地方裁判所の判決に対しては最高裁判所に、簡易裁判所の判決に対しては高等裁判所に、直ちに上告をすることができる。

(上告の理由)
第三百十二条 上告は、判決に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があることを理由とするときに、することができる。
2 上告は、次に掲げる事由があることを理由とするときも、することができる。ただし、第四号に掲げる事由については、第三十四条第二項(第五十九条において準用する場合を含む。)の規定による追認があったときは、この限りでない。
 一 法律に従って判決裁判所を構成しなかったこと。
 二 法律により判決に関与することができない裁判官が判決に関与したこと。 二の二 日本の裁判所の管轄権の専属に関する規定に違反したこと。
 三 専属管轄に関する規定に違反したこと(第六条第一項各号に定める裁判所が第一審の終局判決をした場合において当該訴訟が同項の規定により他の裁判所の専属管轄に属するときを除く。)。
 四 法定代理権、訴訟代理権又は代理人が訴訟行為をするのに必要な授権を欠いたこと。
 五 口頭弁論の公開の規定に違反したこと。
 六 判決に理由を付せず、又は理由に食違いがあること。
3 高等裁判所にする上告は、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があることを理由とするときも、することができる。

第四編 再審

(再審の事由)
第三百三十八条 次に掲げる事由がある場合には、確定した終局判決に対し、再審の訴えをもって、不服を申し立てることができる。ただし、当事者が控訴若しくは上告によりその事由を主張したとき、又はこれを知りながら主張しなかったときは、この限りでない。
一 法律に従って判決裁判所を構成しなかったこと。
二 法律により判決に関与することができない裁判官が判決に関与したこと。
三 法定代理権、訴訟代理権又は代理人が訴訟行為をするのに必要な授権を欠いたこと。
四 判決に関与した裁判官が事件について職務に関する罪を犯したこと。
五 刑事上罰すべき他人の行為により、自白をするに至ったこと又は判決に影響を及ぼすべき攻撃若しくは防御の方法を提出することを妨げられたこと。
六 判決の証拠となった文書その他の物件が偽造又は変造されたものであったこと。
七 証人、鑑定人、通訳人又は宣誓した当事者若しくは法定代理人の虚偽の陳述が判決の証拠となったこと。
八 判決の基礎となった民事若しくは刑事の判決その他の裁判又は行政処分が後の裁判又は行政処分により変更されたこと。
九 判決に影響を及ぼすべき重要な事項について判断の遺脱があったこと。
十 不服の申立てに係る判決が前に確定した判決と抵触すること。
2 前項第四号から第七号までに掲げる事由がある場合においては、罰すべき行為について、有罪の判決若しくは過料の裁判が確定したとき、又は証拠がないという理由以外の理由により有罪の確定判決若しくは過料の確定裁判を得ることができないときに限り、再審の訴えを提起することができる。
3 控訴審において事件につき本案判決をしたときは、第一審の判決に対し再審の訴えを提起することができない。

  • X
未分類

前の記事

民法
未分類

次の記事

民事保全法