要件事実

☆総論(留意点等)

●Who、When日付!、Whom「に対し」、What、How much金額!(Why・Whereはあまり。●認識:前者は訴訟物等、後者は時折(弁済等))
●認識:要件事実の記載に条文(法律構成)不要。学習上は記載するが。
●私見・方針:条文上の文言が要件事実では「ない」場合に限り、十分性の説明をする(それ以外の場合は切りがない。)。但し、他人物売買(民法561条)、他人物賃貸借(民法559条本文、561条)も有効なので、所有権は不要、は、素朴な疑問・慣習的に書くことが多いことから、書いても良い。
●方針:不存在の証明は過大な負担となる・酷。等のKey wordで説明が付くものは、ノート不要。
●一部請求の場合、その他の部分(よって書きにより明示される)は訴訟物にならない。よって、その余りの部分を認めることは、(先行)自白にならない(判例・通説)。
「抗弁」:請求原因事実と両立し、その法律効果を●●(障害・消滅・阻止)(する・させる)事実主張
●「再抗弁」:抗弁事実と両立し、その法的効果を●●(障害・消滅・阻止)(する・させ)、かつ③請求原因事実を復活させる(忘れない!)。
●よって書きは、請求原因と請求の趣旨を結び付ける記載であり、法律上の主張(認否の対。ではない)。
●訴訟物と請求の趣旨は一対一対応ではない(例:土地明け渡しを求める請求の趣旨に対し、訴訟物は物権的請求権・債権的請求権がある等)。
●必要最小限度の事実主張が出来ていない場合は、「主張自体失当」となる。
●請求原因事実に対応する言葉として、「抗弁事実」や「再抗弁事実」がある。
●評価障害事実は、評価根拠事実(請求原因事実)に対する抗弁事実となる(通説)。
●原告から複数の再抗弁(評価障害事実を含む)が出された場合、裁判所は、まずは評価障害事実から検討する。評価根拠事実との総合判断(セット)なので。
●価値的要件(事実的要件・規範的要件とは異なる):事実的概念だが、抽象的(例:「到達」(民法97条)、弁済の提供(民法493条))。当事者間に争いがなければ、そのまま認定。争いがあれば、具体的に検討。●理解:権利自白は権利の話なので、別の話。
(争いがあるもの:引渡し(民法178条)、占有(186条)等については、規範的要件と解する説もある。)
●時的要素:「先立つ」、到来(注意:「到来」(民法412条1項)は、解釈により経過とされる)・経過、現(認定時、即ち事実審の口頭弁論終結時)・もと、善意・悪意の基準時点
(比較:「時的『因子』」は要件事実の要素ではない。あくまで特定性確保のため。)
●六何(誰が、誰に対し、いつ、どこで、何を、どのようにしたのか)の原則に照らし、事実を表現する。●私見:何を、どのように、が事実の特定・具体化のためには実際上重要。その他は大前提。●理解:結局、ケースバイケースではあるが、一定の型はある。
●過剰主張:「a+b」は、過剰主張(民訴法上制限される)の一態様。a(所有喪失の抗弁)で足りるところ、更にb(被告が所有権を取得した事実)まで主張すること等。例外:予備的主張。●確認:制限される根拠。単なる事情に過ぎない等の一般的な理論・実務か。
●過小主張:(●すなわち?)主張自体失当の一形態として、請求原因且つ再抗弁として機能する事実主張に対し、単なる抗弁を主張する場合もある。例:せり上がり(そのものへの不対応も主張自体失当となりうる)の場合で、例えば、基づく引渡しに対し同時履行の抗弁権が主張される場合がある。過小主張の場合、裁判所は主張された事実について証拠調べをする必要はない。無意味なので。
(●一つの事実が、ある訴訟物の要件事実であり、他方で別の訴訟物の要件事実でもある場合、各訴訟物ごとに判断するので問題はない。●検討:らしいが、真偽不明の場合にどうするのか?矛盾は不可避。)
●予備的主張:例:賃貸借契約終了に基づく土地明渡請求(A)訴訟において、黙示の更新(民法619条)(C)が抗弁として主張される場合の、解約申入れ(民法619条1項後段・617条1項1号)(B)の主張。
要件:(1)Cは、Aの法律効果を覆滅するが、Bのそれは覆滅させない、(2)Bは、Aと「a+b」の関係にある。
(上記例では、BがCをも含んでいる(a+b+c)が、含まない場合(a+b)もある。)
●要件事実:結論・大枠を書く。その後に各要件事実について詳しく説明する。cf.削るパターンも。
●解除の意思表示が、(遅れたものであっても)履行の後にされれば、解除は無効。事実関係を検討する際に注意。そもそも催告の存在・時期の主張を欠く場合もあり、適宜釈明処分をする必要がある場合も。●予備サンプル問題
●原告所有・被告占有で足りる(被告に占有権限がないことは請求原因としては主張不要という)点について、敢えて理由を言えば、それが原則であり、占有権限があることは例えば当事者間の契約がある場合等の例外なので、と。●認識:あまり。説明の要否・質量は、問題次第。●予備サンプル問題

●請負(請負契約に基づく報酬請求権)
①請負契約締結(民法632条)「…を報酬●円で請け負った」
②仕事の完成(「報酬は、引渡しと同時」(民法633条本文)であることから、仕事の完成は先履行。)
●同時履行の抗弁権(抗弁)「…まで、…を拒絶する。」
●引渡し(再抗弁)

●相続
(0.請求権等の発生原因事実)
①被相続人の死亡(「相続開始の時」(896条本文)、「死亡によって開始」(882条))「Aは、令和4年7月11日、死亡した」
②子であること(「子は、相続人」(887条1項))
(●補足:他の相続人の存在は、権利承継の部分的障害事由として、抗弁。非のみ説。●理由:①相続人であれば権利者であることが一応基礎付けられ、②他の存続人の不存在はときに困難)
●参考:900条は896条の定める効果の具体的内容を規定する。

1.売買契約(その1)
売買代金請求訴訟

(1)事例

売買契約に基づく代金支払請求訴訟

(2)訴訟物

【主たる請求】
売買契約に基づく代金支払請求権 1個

【附帯請求】●補足:「利息」(民法575条2項)
代金支払債務の履行遅滞に基づく損害賠償請求権(民法415条1項本文) 1個(●補足:遅延損害金説(実務)(⇔下記大審院判例)●補足:以下、遅延金損害金説による。)
(法定利息説(大判S6.5.13)による場合、「法定利息請求権 1個」。)
●確認:民法575条2項但書が存在する以上、法定利息説はあり得ないのでは?(同本文に限った解釈論を展開する実益は?)
●附帯請求は、訴訟の目的の価額に算入しない(民訴法9条2項)ゆえ、手数料変わらず有利。口頭弁論終結後の損害金については、将来給付の訴え(民訴法135条)だが、不履行の場合、通常必要性の要件は認められ、特段の立証不要。法定利率を超える請求する場合、「損害の発生及びその額」の要件事実として、法定利率を超える利率の約定、又は、遅延損害金の利率合意、の主張立証を要する。

(3)請求の趣旨

被告は、原告に対し、3000万円を支払え。

(4)請求原因

●請求原因:
売買契約締結(目的物・代金額(又はその決定方法)を確定(民法555条))。
なお、他の同様の売買契約との区別のため、締結日(時的因子に過ぎないが)を記載するのが一般的。
・補足:特約ない限り、契約成立と同時に履行期到来
・補足:「代金●円で売った」

●請求原因(「利息」(民法575条2項))
0.売買契約締結(請求原因として主張(・立証)済み)
履行期経過(●補足:帰責事由の主張立証不要(民法419条3項)。損害の発生・その数額についても、法定利率(民法404条)による場合、主張立証不要(民法419条1項本文・2項)。因果関係についても、主張立証不要(民法419条2項)。)
②基づく引渡し(●補足:せり上がりにより、履行の提供が必要となる。売買代金支払債務の場合、さらに引渡し自体まで必要(575条2項本文)。不動産の場合、移転登記のみでは足りない。)
③履行期又は引渡し時(不動産の場合、引き渡し、且つ所有権移転登記手続完了時)以降の期間の経過(●補足:通常適示省略。)。 

【代金支払債務の履行期
1.確定期限(民法412条1項)
①確定期限合意
②履行期経過(●補足:履行期限当日中の履行があれば違法とはならないことから、「到来」(民法412条1項)の文言に関わらず。)
2.不確定期限(民法412条2項)
①不確定期限合意
②不確定期限到来
③不確定期限了知(買主による)
④了知日経過
3.期限の定めなし(民法412条3項)
①催告(売主から買主に対し)
②催告期間経過(●補足:催告を受けた当日中に履行すれば違法とはならないことから、「履行の請求を受けた時」(民法412条3項)との文言に関わらず(大判T10.5.27)。)

(5)抗弁以下

【錯誤】
●動機の錯誤(抗弁)
①重要性(「法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要」(民法95条1項柱書))
・規範的要件。該当事実が②③のものと重なるなら主張不要。●認識:ほぼ不要だろう。
②基礎事情の認識が反真実(同2号)「請求原因事実の当時、…にも関わらず、…と誤信していた」等
③基礎事情の表示(同条2項)「請求原因事実の当時、…だから…と述べた」等
④取消しの意思表示(民法95条1項柱書、121条)●検討:121条は不要?理屈には合うが、省略するか。
(●認識:動機の錯誤ではない場合、②③の替わりに、表示に対応する意思の欠缺(民法95条1項1号)のみを主張・立証。)

●表意者の重過失(民法95条3項柱書)
・評価根拠事実(再抗弁)
・評価障害事実(再々抗弁)

●相手方の悪意・重過失(民法95条3項1号)
・評価根拠事実(再々抗弁)
・評価障害事実(再々々抗弁)

●いわゆる共通錯誤(同2号)(再々抗弁)

【弁済】
●弁済(抗弁):①②一括した記載でもOK
①本旨履行(493条本文)
②ついての履行(結合関係の明示)

●第三者弁済禁止(再抗弁)
①第三者弁済禁止合意(●補足:一般的には債権者に不利益はない等から、原則許容(民法474条1項)されているため、弁済無効を主張する側が主張・立証すべき(最判S35.10.14)。)

【解除】
●催告による解除(抗弁)
0.債務の発生原因事実(請求原因事実に現れている)、及び(定めがある場合には)履行期限の経過
①催告(買主から売主に対して)(541条本文)
・期限の定めのない債務について履行期経過を基礎付ける催告と解除のための催告とは兼ねることが出来る(判例)。
②相当期間の経過(541条本文)
・催告後、客観的な相当期間が経過すれば足りる(判例)。即ち、催告期間の定め・相当性は要件事実ではない。
③解除の意思表示(買主→売主)(540条1項)
④先立つ履行提供(買→売主)(同時履行の抗弁権(533条本文)の存在効果を否定)●補足:解除以前で足りる(判例)
・「債務を履行しない」の主張・立証不要(契約締結により履行が原則)●補足:停止「期限」付き解除の意思表示
・同時履行の抗弁権(533条本文)は、公平上、違法性阻却する。解除の他、損害賠償請求の場合にも、否定する必要あり。相殺も同様。本来的履行請求の場合には不要。●私見:相手方の不利益・予測可能性等とのバランス論
●「軽微」(541条但書)(再抗弁)

●履行提供(再抗弁)
①先立つ履行提供(売主→買主)
●履行不能(再抗弁)
①先立つ履行不能
●認識:民法542条1項1号がある以上、催告による解除事由ではない旨の主張に留まる(屁理屈)。下記参照。

●解除(履行不能)(抗弁)
①先立つ履行不能(引渡し)
②解除の意思表示(買主→売主)

【契約不適合責任】
●解除(無催告)(抗弁)
①該当事由(民法564条・542条1項各号)
②解除の意思表示(買主→売主)

【手付解除】
●手付解除(抗弁)
①交付合意(民法557条1項本文)
②「交付」(民法557条1項本文)
③付返還請求権放棄の意思表示(買主⇒売主)or手付の倍額の現実の提供(売主⇒買主)
・前者について:単なる解除の意思表示により放棄の効果が生じることは妥当ではないので。●認識:後者については、倍額提供行為があるため問題なし。
④解除の意思表示(買主→売主)

●解除権留保排除合意(再抗弁)
①解除権留保排除合意(●補足:違約手付と解除権留保は両立する。よって、違約手付約定の主張は、主張自体失当。)
・「解除…できる」(民法557条1項本文)との文言から、(証約手付であることに加え)解約手付としての性質も有する。よって、それを否定する者が排除を主張・立証。
(●補足:手付は、内金とは異なる。しかし、金銭を手付とした場合、通常、代金への一部充当の特約ありと解される。)

●履行着手(再抗弁)
①先立つ履行着手(民法557条1項但書)

【履行期限】
●履行期限(抗弁)
①履行期限の合意

【同時履行】
●同時履行(抗弁)
0.同時履行関係(請求原因事実に現れている。)
①権利主張

●先履行(再抗弁)
①先履行の合意

●履行(再抗弁)
①反対給付の履行(売主→買主)(●補足:継続又は履行完了が必要。解除とは異なる。)

1.売買契約(その2)
目的物引渡訴訟

(1)事例

売買契約に基づく目的物引渡訴訟

(2)訴訟物

売買契約に基づく代金支払請求権 1個

(3)請求の趣旨

被告は、原告に対し、甲土地を引き渡せ。

(4)請求原因

●売買契約締結

(5)抗弁以下

●解除(停止期限付き)(抗弁)(●補足:停止「条件」とすると、債権者側が履行の不存在を主張・立証することとなり、通常の債務不履行解除と異なる結論となり、不公平。)
①催告
②意思表示(停止期限付き)
③停止期限の経過
④先立つ履行提供(売主→買主)
●弁済提供(再抗弁)
①先立つ弁済提供

●解除(無催告特約)(抗弁)
①履行期の経過
②無催告解除特約
③解除の意思表示
④先立つ履行提供
●弁済提供(再抗弁)
①先立つ弁済提供

2.消費貸借契約(その1)
貸金返還請求訴訟

(1)事例

貸金返還請求訴訟

(2)訴訟物

【主たる請求のみ】
消費貸借契約に基づく貸金返還請求権 1個

【+帯請求(利息)】単純併合
消費貸借契約に基づく貸金返還請求権 1個
利息契約に基づく利息支払請求権 1個

【+附帯請求(遅延損害金)】単純併合
消費貸借契約に基づく貸金返還請求権 1個
貸金返還債務の履行遅滞に基づく損害賠償請求権(415条1項本文) 1個

(3)請求の趣旨

【主たる請求のみ】
被告は、原告に対し、3000万円を支払え。

【+付帯請求(利息)】
被告は、原告に対し、3000万円及び令和3年7月1日から支払済みまで、年●パーセントの割合による金員を支払え。(●補足:請求の趣旨なので、「金員」とし、法的性質(「利息」等)は記載しない。)

【+附帯請求(遅延損害金)】
被告は、原告に対し、3000万円及び令和3年7月1日から支払済みまで、年●パーセントの割合による金員を支払え。(●補足:同上。ゆえ全く同じ記載。)

(4)請求原因

原告・被告間の金銭消費貸借契約の締結

【類型】
●弁済期の定めあり
①返還合意(民法587条)
②交付(「受け取ることによって」(民法587条))
(●補足:上記①②をまとめて「貸し付けた」と表現するのが実務)
③返還時期合意
④返還時期到来
●頻繁:消費貸借契約は、いわゆる貸借型の契約として、一定期間目的物の返還請求ができないという拘束力を有する。そこで、成立要件にあたる①②に加え、終了要件にあたる③④が必要。

●弁済期の定めなし
①契約成立(●補足:上記①②をまとめて、即ち「貸し付けた」ことを表現)
②催告(民法591条1項)
・条文の文言とは異なり、相当期間を定めることは要件ではない(判例)。
③催告後相当期間経過(民法591条1項)

●諾成的消費貸借契約
①合意(交付・返還)(587条の2第1項)
②書面(587条の2第1項)
③基づく交付(●認識:返還の前提として必要、というのが理由。)

●準消費貸借(588条)
①旧債務の発生原因事実(民法588条)(原告説)(●補足:消費貸借契約に関し貸主側が主張立証責任を負うの目的物交付に相当する要件なので。)●認識:返還合意は?となるが、言い切る模様。
(●判例(最判S43.2.16):被告説。貸主の立証困難性を理由とする。旧債務を特定するに足りる事実の主張・立証で良い。らしい。)
(●認識:旧債務の発生原因事実たる契約の類型次第だろう。)
②消費貸借の目的とする合意(民法588条)●MUST:「…をもって消費貸借の目的とするとの合意をした」
③返還時期合意
④返還時期到来
(●認識:③の合意がなかった場合、591条の話へ。なお、591条1項は、412条3項の特則。

●期限の利益喪失約款
①契約成立
②返還時期合意
③期限の利益喪失約款
④返還時期経過
⑤(特約に)基づく意思表示(当然喪失型(●補足:いわゆる「当然失期条項」)の場合には不要)

●利息天引き
①返還合意
②元本の一部交付
差額(①・②)の利息天引合意(●補足:要物契約の場合、これがなければ、②で交付した金額についてのみ契約成立することになってしまう。)
④返還時期合意
⑤返還時期到来

●法定利率
0.元本債権の発生原因事実(●補足:主たる請求の請求原因事実に現れている)
①利息契約締結(●補足:原則無利息であるため(民法589条1項)必要。法定利率を請求する場合、利率の主張立証不要(民法404条))
②(貸付時以降)一定期間経過(●補足:元本受領日から利息支払債務発生(判例))

●約定利率
0.元本債権の発生原因事実
①利息契約締結
②利率合意(●補足:「別段の意思表示」(民法404条1項)として。)
③(貸付時以降)一定期間経過

●商人間
0.元本債権の発生原因事実
①元本債権が商事債権であることを示す事実(貸主・借主双方は、請求原因①・②(●補足:ナンバリングは例示)の消費貸借契約締結当時、商人であった)(●補足:これさえあれば、当然に利息請求権は発生するため、上記「約定利率」②は不要(商法513条1項)。なお、商事法定利率は廃止。)
②(貸付時以降)一定期間最終日到来(一定期間経過)

●法定利率による算定
0.元本債権の発生原因事実
①返還時期経過(●補足:法定利率(民法404条2項)の割合による遅延損害金請求は当然可能(民法419条1項本文)。なお、適示省略が通常。)

●約定利率による算定
0.元本債権の発生原因事実
①返還時期経過
②利率合意(●補足:離縁損害金の利率約定があれば、それによる。仮にそれがなくとも、遅延損害金の利率も約定利率により算定される(民法419条1項但書)。)

●損害賠償額の予定
0.元本債権の発生原因事実
①返還時期経過
②損害賠償額予定(補足:民法420条1項)

●認識:以上、0が存在するのは、予めの利息契約そのものに相当するものはありえないため。

【よって書き記載例】
「①Xは、令和7年7月●日、Yに対し、300万円を弁済期令和8年6月30日、利息年6%、遅延損害金9%と約して貸し付けた。
②令和8年6月30日が経過した。
よって、Xは、Yに対し、消費貸借契約に基づく貸金返還請求権に基づき、元本300万円、利息契約に基づき令和7年7月1日から令和8年6月30日までの利息18万円、貸金返還債務の履行遅滞に基づく損害賠償請求権に基づき300万円に対する令和8年7月1日から支払済みまで年9%の割合による遅延損害金の支払いを求める。」

(5)抗弁以下

【弁済】
●弁済(抗弁)
①金銭給付
②基づく履行(結びつき)

●代物弁済(抗弁)(債務消滅原因として)cf.所有権取得原因として、の話は別。
①代物弁済合意(「契約をした」(民法482条))「…の債務の弁済に変えて…することを合意した。」
②債務者代物所有(債務消滅の効果発生のために必要。)「①の当時」●イメージ:金銭同様
③基づく給付(対抗要件具備(動産:引渡し(178条)、不動産:登記(177条)まで)(結びつき)(「他の給付をしたとき」(民法482条))

【消滅時効】●参考:時効期間の計算上、初日不算入(判例)。
●消滅時効(時効の更新なし)(抗弁)「消滅する」(166条1項柱書)
0.権利行使可能状態(or「知った」)(請求原因事実にて。現れていない場合、特約による弁済期等を。)
①時効期間経過10年(166条1項2号)(or「知った」5年(166条1項1号))
(●必須:「行使しない」とあるが、抗弁として主張不要。147条が権利行使を時効完成の障害事由を定めていることから。)●補足:起算点は初日不算入(140条本文)。●確認:遡るのは初日まで。
②援用意思表示
(●時効の援用(145条)は、時効援用により確定的に生じる(不確定効果説・停止条件説(判例))ことから、実体法上の意思表示なので。必要。)
●時効の更新(再抗弁)
①支払猶予申込み
●援用権喪失(再抗弁)
①支払猶予申込み(●補足:時効完成を知っていたことを要する放棄の主張は過剰主張(a+b)。)

●消滅時効(時効の更新あり)(抗弁)
0.権利行使可能状態(請求原因事実にて)
時効更新事由
②時効期間経過
③援用意思表示
●時効の更新(再抗弁)
①支払猶予申込み
●援用権喪失(再抗弁)
①支払猶予申込み

【相殺】
●相殺(抗弁)
①自働債権発生原因事実(505条1項本文)
・受働債権については、請求原因において主張されているため、不要。
②自働債権弁済期到来(「双方の債務が弁済期にある」(505条1項本文)
(・消費貸借の場合、①返還時期合意がある場合、②返還時期到来。民法587条の解釈により。)
(・売買の場合、契約成立即ち弁済期到来。同時履行の抗弁権(民法533条)の存在効果を消滅させるため、履行の提供が必要。せり上がり対応。)
(・受働債権については、期限の利益放棄(民法136条2項本文)が通常可能なので、その弁済期到来は要件事実ではない。)
③意思表示(506条1項前段)
●条件・期限(再抗弁)
①意思表示条件・期限(●補足:よって効力を生じない(民法506条1項後段)旨の主張)

●代理
①代理行為
顕名(「本人のためにすることを示して」(民法99条1項))「Aは、①の際、Yのためにすることを示した。」
③(代理行為に)先立つ代理権授与(「代理人が…本人のために」(民法99条1項))「①に先立ち、」(●補足:「①の契約締結について」と(実務))
(●補足:代理権授与行為を適示(単独行為説)。代理権授与契約を適示(無名契約説)。事務処理契約締結を適示(事務処理契約説)。実務上、単に「代理権を授与した」と表現するが、いずれの説でも説明可能。)
⑤返還時期到来

●表見代理(民法110条)(●補足:有権代理の主張とは、選択的。裁判所による判断順序拘束せず。)
①基本代理権授与
②権限外の法律行為
③顕名
④善意
⑤無過失(規範的要件としての「正当な理由」)を基礎付ける具体的事実(評価根拠事実)を主張・立証。)
(観点:同種の取引形態(代理)、同種の取引内容(目的物等)、特殊事情(疑念を抱かなくとも仕方ない。●検討))
●相手方は評価障害事実を主張・立証。

●追認

●参考:112条については、有権代理構成による請求原因・それに対する代理権消滅の抗弁を前提に、予備的請求原因との理解でOK。要するに、争いあるも、民法と、或いは109・110と同様の理解でOK。●補足:有権代理の請求原因に対する消滅の抗弁に対する再抗弁、との説もあるが。

2.消費貸借契約(その2)
保証債務履行請求訴訟

(1)事例

保証債務履行請求訴訟

(2)訴訟物

保証契約に基づく保証債務履行請求権 1個
(●補足:特約なき限り、元本・利息・遅延損害金等を全て含む(民法447条1項)ため、(貸金返還請求訴訟とは異なり)あくまで1個。一部のみ請求する場合、訴訟法上も一部請求となる。)
(●補足:連帯保証の場合も訴訟物は同じ。連帯保証は、債権者の権利強化のため保証債務の補充性を奪う特約に過ぎないため。)●認識:言い切る。

(3)請求の趣旨

被告は、原告に対し、3000万円及びこれに対する令和3年7月1日から支払済みまで、年●パーセントの割合による金員を支払え。
●注意:法的性質は書かない。

(4)請求原因

①金銭消費貸借契約成立「貸し付けた」
②返還時期合意(原告・主債務者)(①に際し)
③利息契約締結(原告・主債務者)(①に際し)
④返還時期経過(●補足:この前に、②の「到来」が必要だが、適示省略が通常。また、利息については、(③に加え)貸付時以降一定期間の経過も要件事実となる(●確認:この点、一定期間の最終日の到来の適示で足りると解されている、らしい)が、それについても同様。なお、遅延損害金を請求する場合には、④に加え、損害の発生(例:確定期限以降の期間経過)及びその数額(例:法定利率超の利率による利息合意)も要件事実。しかし、前者は③において主張済み、かつ後者については適示省略が通常。)
⑤保証契約締結(①について)「保証するとの合意をした。」●MUST:主債務者が「履行しないとき」(446条1項)とあるが、立証困難ゆえ主張立証不要。
⑥書面(民法446条2項)「⑤の意思表示は書面による。」
(●補足:争いあるも、保証人保護の趣旨に照らし、⑤についての保証人の意思表示が書面上示されていれば足りる、と解される。でOK)
●補足:連帯保証であることは、催告・検索の抗弁に対する再抗弁。なぜなら、単純保証でも総額請求は可能であり、また別個の特約に基づく事実であるから。

(5)抗弁以下

【消滅時効】
●消滅時効(主債務)●補足:保証債務自体については、通常通り(上述)。
●補足:付従性(448条)・援用権者(145条)が、抗弁となる理由。要件自体は上述。保証債務と同様。
●補足:以降の遅延損害金は発生障害(消滅ではない)

【催告・検索】
●催告の抗弁(抗弁)●補足:権利抗弁
①権利主張(催告するまで履行拒絶)「…催告をするまで、…に応じない」
●連帯保証(再抗弁)
①特約(民法454条)

●検索の抗弁(抗弁)●補足:権利抗弁
①主債務者弁済資力
②主債務者財産強制執行容易
③権利主張(強制執行するまで履行拒絶)「強制執行するまで…に応じない」(●認識:だろう。検索との同等性から。)
●連帯保証(再抗弁)
①特約「…につき、連帯の約定がなされた。」

【弁済拒絶】
●弁済拒絶(抗弁)●補足:民法457条3項
①主たる債務者反対債権発生原因事実
②弁済期到来(①につき)
③権利主張(保証人)(①の限度で履行拒絶)●補足:相殺等の意思表示ではない。

【除外】
●利息債務・遅延損害金債務除外特約(抗弁)●補足:一部抗弁(障害)
①除外合意

【分別の利益】
●分別の利益(抗弁)●補足:456条・427条。●補足:一部抗弁(障害)
①保証契約(債務者・保証人(被告以外))●補足:被告自身の存在は請求原因に現れている。●検討:「契約」が(要件)事実?「合意」がベター?
②書面(保証人)
保証連帯(再抗弁)●補足:465条1項
①保証連帯の特約(被告たる保証人・その他の保証人間)
連帯保証(再抗弁)
①特約(原告・被告間)
●補足:複数の各単純保証人に対し全額請求する場合、共同保証人の存在が請求原因において現れているため、分別の利益(民法456条・427条)により、請求の一部が主張自体失当となるかに思われる。しかし、共同訴訟人独立の原則(民訴法39条)により、各保証人に対する主張は、相互に影響を及ぼさない。よって、せり上がりとはならない。もっとも、実際上は、分別の利益を基礎付ける事実が明らかとなることから、連帯の約定を請求原因事実として主張・立証する必要が生じるだろう(事実上の「せり上がり」)。ということらしい。●確認

3.不動産明渡訴訟(その1)
所有権に基づく土地明渡請求訴訟

(1)事例

所有権に基づく土地明渡請求訴訟

不法行為に基づく損害賠償請求訴訟

(2)訴訟物

【主たる請求】
所有権に基づく返還請求権としての土地明渡請求権 1個
(●補足:被侵害所有権の個数、及び侵害態様の個数、による。)

【附帯請求】単純併合
不法行為に基づく損害賠償請求権 1個
(●補足:「法律上の原因」(民法703条)のないことまで立証する必要がある(最高裁判例)ことの負担に照らし、一般的な構成。不法行為(占有開始日の後)特定日以降の損害賠償を請求する場合、一部請求となる。)

(3)請求の趣旨

被告は、原告に対し、甲土地を明け渡せ。

被告は、原告に対し、(●年●月●日から)甲土地の明渡し済みまで、1か月当り300万円の割合による金員を支払え。

(4)請求原因

【土地明渡請求】
(※)①証明困難、②権利自白〇を書いてもOK
(※)(予防はさておき)返還・妨害排除は侵害が現存している場合に発生することから、現占有、即ち口頭弁論終結時の占有が必要。

●もと所有自白
①原告もと所有
②被告現占有
(●民法188条は、事実上の推定に留まると解される。)●私見:根拠としては、単なる占有に基づくものであり、実質的根拠の弱い推定であることから。ぐらいか。)

(●補足:占有については、現占有説(理由:占有は(所有権等の権利と異なり)事実状態として変化し易いことから、もと占有による現占有の推認力が弱い。民法186条2項も2つの時点を問題としている。)。●確認:権利自白の場合は、「もと所有説」と呼ぶ?(いわゆる権利関係不変の公理から、敢えてそう呼ぶ必要性がない、ということか。)

(●確認:占有が事実概念。しかし、代理占有(民法181条)が認められる等、「所持」(民法180条)は相当程度観念化。よって、争いある場合には、「所持」の具体的な内容を主張・立証。例:「カキ料理の店舗として、毎年11月頃から3月頃にかけて使用している。」等。

●前主もと所有自白
①前主もと所有
②売買契約(前主・原告)
③被告現占有

●現所有自白
①原告現所有
②被告現占有

【損害賠償請求】
①原告もと所有(●補足:被侵害利益の存在。適示不要。主たる請求にて適示済み)
②被告過去占有
③被告現占有(●補足:適示不要。主たる請求にて指摘済み。なお、②③セットで加害行為(土地占有継続)(民法186条2項参照)。)
④故意(●補足:実務上適示なしが通常。①③⑤から(事実上)推定。)
⑤損害の発生・数額
⑥因果関係(●補足:実務上適示なしが通常。①③⑤から(事実上)推定。)

【記載例】
「①Xは、令和7年7月1日当時、甲土地を所有していた。
②Yは、令和7年7月1日当時、甲土地を占有していた。
③Yは、現在、甲土地を占有している。
④甲土地の令和7年7月1日以降の賃料相当額は、1か月30万円である。」

(5)抗弁以下

【所有権喪失】
●所有権喪失の抗弁(抗弁)
①売買契約(原告・第三者)
●虚偽表示(再抗弁)
①通謀虚偽表示(原告・第三者)
●解除(再抗弁)
①催告(原告→第三者)
②相当期間の経過
③解除の意思表示(原告→第三者)
④先立つ履行提供
●所有権留保(再抗弁)
①所有権留保特約
●弁済(再々抗弁)(●補足:所有権留保(再抗弁)に対して)●検討:解除に対しても?
①弁済(第三者→原告)

【対抗要件】
●対抗要件の抗弁(抗弁)
(・第三者抗弁説☓(例えば地上権のような正当な権限を有する第三者性を主張する場合においても、意図せず対抗要件の抗弁となる。)
(・事実抗弁説☓(第三者の側が消極的事実立証。登記以外の場合に酷。)
(・権利抗弁説(下記①・②)〇(①正当な利益を有する第三者であることを基礎付ける事実・②権利主張)
①売買契約(前主・被告)(●補足:正当な利益を有する第三者であることを基礎付ける事実)(177条)
②権利(抗弁)主張(●補足:対抗要件の有無を争う旨)「Xが対抗要件を具備するまで、Xの所有権取得を認めない。」●権利抗弁説
(理由:対抗要件の有無を問題とする意思を明らかにし、かつ対抗要件を具備した者にその主張立証責任を負わせることが、公平であるため)
●対抗要件具備(再抗弁)
①対抗要件具備

【対抗要件具備による所有権喪失】●補足:抗弁となる理由、を敢えて言えば、一物一権主義の下、確定的所有権取得するため。●認識:あまり●予備サンプル
●対抗要件具備による所有権喪失の抗弁(抗弁)
①売買契約(前主・被告)
(●補足:前主の目的物所有の事実は請求原因段階で現れている。)
②基づく登記
●占有権限の抗弁(抗弁)(●補足:主たる請求原因3に対して)●検討:1も?2も?
①賃貸借契約(原告・被告)(民法601条)
②基づく引渡し(関連性。無関係に占有している場合は非該当なので。)

(●補足:対抗要件の抗弁(主張者が「第三者」)。対抗要件具備による所有権喪失の抗弁(喪失者が「第三者」)

3.不動産明渡訴訟(その2)
所有権に基づく建物収去土地明渡訴訟

(1)事例

建物収去土地明渡請求訴訟

(2)訴訟物

所有権に基づく返還請求権としての土地明渡請求権 1個

(3)請求の趣旨

被告は、原告に対し、乙建物を収去して甲土地を明け渡せ。
(返還請求権のみが発生。但し、別個の不動産に対する執行法上制約(民執法168条1項参照)への対応として履行態様・執行方法を明示(旧1個説(「判例」))。動産の場合は執行官による取り除きができる(民執法168条5項)が、建物収去については代替執行による必要がある(171条)ので。
(・補足:執行方法の違いを根拠に、2個説はあるが、一人による一土地に対する侵害は態様として1つしかありえない。)
(・補足:新1個説もあるが、物権的請求権に関する伝統的3分類との関係や根拠が不明。)

(4)請求原因

①原告土地現所有
②土地上建物現在存在
③被告建物もと所有
(●補足:主文により建物収去をするため、仮に占有に争いがなくとも、②・③が必要。「被告現占有」だけでは足りない。)

(5)抗弁以下

【所有権喪失】
●所有権喪失の抗弁(抗弁)
①売買契約(建物)(被告・第三者)
●登記保持(再抗弁)(●補足:最判H6.2.8の話。)
①意思に基づく移転登記(建物)(被告)
②登記保持(被告)

4.不動産登記訴訟(その1)
所有権移転登記抹消登記手続請求訴訟

(1)事例

所有権移転登記抹消登記手続請求訴訟

(2)訴訟物

所有権に基づく妨害排除請求権としての所有権移転登記抹消登記(●補足:講学上の用語例に従い「手続」略)請求権 1個(●補足:占有以外の方法により物権を侵害するものとして。)
(●補足:訴訟物は、 所有権移転登記手続請求訴訟(真正な登記名義の回復を原因とする抹消に代わる) と同じ( 所有権に基づく妨害排除請求権) 。請求の趣旨は、異なる。)

(3)請求の趣旨

被告は、原告に対し、甲土地について、別紙登記目録記載の所有権移転登記の抹消登記手続をせよ。

(4)請求原因

①原告もと所有
②登記(被告名義)(●補足:登記の記載(名称、受付日・番号、原因等)を具体的に記載し特定する。)

(5)抗弁以下

●所有権喪失(抗弁)
①売買契約(原告・被告)

●解除(再抗弁)
詳細略

4.不動産登記訴訟(その2)
所有権移転登記手続請求訴訟
(真正な登記名義の回復を原因とする抹消に代わる)

(1)事例

真正な登記名義の回復を原因とする抹消に代わる所有権移転登記手続訴訟(●補足:登記が、原告→第三者→被告、等)(●補足:真正な登記名義の回復を原因とする(「抹消に代わる」ではない)所有権移転登記手続請求訴訟と同じ。)

(2)訴訟物

所有権に基づく妨害排除請求権としての所有権移転登記請求権 1個
(●補足: 訴訟物は、所有権移転登記抹消登記手続請求訴訟と同じ( 所有権に基づく妨害排除請求権 )。請求の趣旨は、異なる。)

(3)請求の趣旨

被告は、原告に対し、甲土地について、真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続をせよ。
(●補足:抹消登記とは異なり、①登記権利者の明示(「原告に対し」)、及び②登記原因(「真正な登記名義の回復」)の明示が必要。)

(4)請求原因

①原告もと所有
②登記(被告名義)

(5)抗弁以下

●所有権喪失(抗弁)
①売買契約(原告・被告)

●解除(再抗弁)
詳細略

4.不動産登記訴訟(その3)
所有権移転登記手続請求訴訟
(時効取得を原因とする)

(1)事例

時効取得を原因とする抹消に代わる所有権移転登記手続請求訴訟

(2)訴訟物

所有権に基づく妨害排除請求権としての所有権移転登記請求権 1個

(3)請求の趣旨

被告は、原告に対し、甲土地について、令和3年7月1日時効取得を原因とする所有権移転登記手続をせよ。
(●補足:移転登記のため、登記権利者(「甲」)、及び登記原因(起算日における時効取得)の明示が必要。)

(4)請求原因

【長期取得時効】(民法162条1項)
(●補足:所有の意思・平穏・公然は、占有の事実により推定(暫定真実、民法186条1項)。)
①占有(時効期間開始時)
②占有(時効期間経過時)(●補足:①②により、占有継続(20年間)は、法律上の事実推定される。民法186条2項。)
③援用の意思表示(時効期間経過後)(●補足:不確定効果説(停止条件説)(判例)に基づき、実体法上の要件である。)
④登記(被告名義)
(●補足:自己物の時効取得も成立するため(最判S42.7.21)●認識:事実状態の尊重から、という理由。、「他人の物」(民法162条1項)は、要件事実ではない。)

【短期取得時効】(民法162条2項)「所有の意思」・「平穏」「公然」・「他人の物」・「10年間」・「善意」・「無過失」
(●補足:善意(占有開始時)は、占有の事実により推定(暫定真実、民法186条1項)。)
①占有(時効期間開始時)
②占有(時効期間経過時)
無過失(占有開始時)(●補足:推定されないため(cf.即時取得(民法192条))、評価根拠事実の主張・立証が必要。)
④援用の意思表示(時効期間経過後)
⑤登記(被告名義)

(5)抗弁以下

【自然中断】
●自然中断(抗弁)
①占有中止(民法164条)

【他主占有】
●他主占有権限(抗弁)
①賃貸借契約に基づく占有

●他主占有事情(抗弁)
①固定資産税の未納

【対抗要件具備による所有権喪失】
●対抗要件具備による所有権喪失(抗弁)
①前主所有(時効完成時、及び被告取得時)●検討:「時効完成時」は必要?なければ、否認?そうすると、自白?)
②被告所有権取得原因事実(時効完成後)
③対抗要件具備(被告)

【対抗要件】
●対抗要件(抗弁)
①前主所有(時効完成時、及び被告取得時)
②被告所有権取得原因事実(時効完成後)
③被告権利主張

4.不動産登記訴訟(その4)
抵当権設定登記抹消登記手続請求訴訟

(1)事例

抵当権設定登記抹消登記手続請求訴訟

(2)訴訟物

所有権に基づく妨害排除請求権としての抵当権設定登記抹消登記請求権 1個

(3)請求の趣旨

被告は、甲土地について、別紙登記目録記載の抵当権設定登記の抹消登記手続をせよ。

(4)請求原因

①原告所有(●補足:現or抵当権設定契約締結当時等。当事者の主張内容次第。)●検討:「もと」はある?
②抵当権設定登記(被告名義)「同土地について、Y名義の本件抵当権設定登記がある。」
(抹消登記が必要であるから、妨害状態たる登記内容を具体的に明らかにする必要がある(登記目録等を使用)。占有とは異なる。)
(●補足:登記には事実上の推定力しかない(最判S34.1.8)ので、「抵当権の不存在」の主張・立証は不要。)

(5)抗弁以下

【登記保持権限】
●登記保持権限(抵当権)(抗弁)
①被担保債権の発生原因事実(・付従性から)●利息・損害金MUST:「…を利息年●%、損害金年●%の約定で貸し付けた。」
②ためにする抵当権設定契約(原告・被告)(・結び付き)「①の債務を担保するため」
③原告土地所有(抵当権設定当時)(●補足:②が物権行為(物権契約)であることから。)
(・補足:請求原因段階での自白が成立している場合には不要。)●補足:虚偽表示の場合、「知らなかった。」と。
④基づく登記(関連性。手続的適法性)
●弁済(再抗弁)
①被担保債務の弁済
●消滅時効(再抗弁)
①期間の経過(●補足:起算点(権利行使可能時)は、抗弁の①により既に主張(・立証)されているため、主張(・立証)不要。)
②援用の意思表示

4.不動産登記訴訟(その5)
承認請求訴訟
(登記上利害関係を有する第三者に対する)

(1)事例

登記上利害関係を有する第三者に対する承認請求訴訟
(●補足:原告→被告1(所有権移転登記抹消登記手続請求訴訟)・→被告2(当該手続に対する承諾請求訴訟)(●補足:権利に関する登記の抹消には、登記上の利害関係者の承諾(に代わる裁判)が必要(不登法68条)。なお、登記実務上、抵当権設定登記抹消登記手続請求訴訟の認容判決は、当該承諾(に代わる裁判)には該当しないと解されている。)●検討:理由

(2)訴訟物

【被告1】
所有権に基づく妨害排除請求権としての所有権移転登記抹消登記請求権 1個

【被告2】
所有権に基づく妨害排除請求権としての承諾請求権 1個

(3)請求の趣旨

【被告1】
被告は、甲土地について、別紙登記目録記載の所有権移転登記の抹消登記手続をせよ。

【被告2】
被告は、原告に対し、別紙登記目録記載の所有権移転登記の抹消登記手続に対する承諾をせよ。

(4)請求原因

【被告1】
①原告もと所有
②所有権移転登記(被告名義)

【被告2】
①原告もと所有
②所有権移転登記(被告1名義)(●補足:①②により、所有権に基づく妨害排除請求権が基礎付けられる。)
③抵当権設定登記(被告2名義)
④登記名義(被告1)(③の登記申請受付当時)(●補足:③と併せて被告2の利害関係を明らかにするため、被告2の登記上の利益と妨害事由たる登記との結び付きを明らかにする。)●認識:登記の世界の話のみ。●検討:論理

(5)抗弁以下

【登記保持権限】
●所有権喪失(抗弁)被告1・2から。●検討:被告2の論理
①売買契約(原告・被告1)
●虚偽表示(再抗弁)

【善意の第三者】
●所有権喪失(●補足:(再抗弁ではなく)請求原因の法律効果を妨げる予備的抗弁(所有権喪失の抗弁との関係上「a+b」)。虚偽表示の再抗弁を前提とする。)(●補足:法定承継取得説(最判S42.10.31)
①被担保債権の発生原因事実
②ためにする抵当権設定契約
(登記が有効となるためには、債権額・利息・損害金の定め等の表示が実体関係を符合する必要がある(重要)。具体的事実を主張する必要あり。)
③善意(●補足:抵当権設定者が無権利者であることを前提に、それに代わるもの。)
④基づく登記(●参考:争いがなければ、この程度。あれば、実体との関連性、及び手続的適法性が必要。)

(●順次取得説(再々抗弁))
①被担保債権の発生原因事実
②抵当権設定契約
③善意
(●補足:この説では「基づく登記」は不要。抗弁(所有権喪失)の効果を復活させるに留まるので。登記請求権の発生を直接障害するのではないので。)
●認識:前主・後主という話ではない。●検討

4.不動産登記訴訟(その6)
所有権移転登記手続請求訴訟
(真正な登記名義の回復を原因とする)

(1)事例

真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続請求訴訟

(2)訴訟物

所有権に基づく妨害排除請求権としての所有権移転移転登記請求権 1個
(●補足:真正な登記名義の回復を原因とする「抹消に代わる」所有権移転登記手続請求訴訟と同じ。)

(3)請求の趣旨

被告は、原告に対し、甲土地について、真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続をせよ。

(4)請求原因

①前主もと所有
②不動産売買契約(前主・原告)
③登記(被告名義)

(5)抗弁以下

【対抗要件】
●対抗要件(抗弁)
①売買契約(前主・被告)
②権利主張
●対抗要件具備(抗弁)
①対抗要件具備

【所有権喪失】
●対抗予見具備による所有権喪(抗弁)
①売買契約(前主・被告)
②基づく登記

4.不動産登記訴訟(その7)
所有権移転登記手続訴訟
(売買契約に基づく)

(1)事例

【債権的登記請求権】
売買契約に基づく所有権移転登記手続請求訴訟

【物権的登記請求権】
所有権に基づく所有権移転登記手続請求訴訟

【物権変動的登記請求権】
売買契約に基づく積極的物権変動に基づく所有権移転手続請求訴訟●●●確認

(2)訴訟物

売買契約に基づく所有権移転移転登記請求権 1個

所有権に基づく妨害排除請求権としての所有権移転登記請求権 1個

売買契約に基づく積極的物権変動的登記請求権としての所有権移転登記請求権 1個

(3)請求の趣旨

被告は、原告に対し、甲土地について、令和3年7月1日売買を原因とする所有権移転登記手続をせよ。

被告は、原告に対し、甲土地について、令和3年7月1日売買を原因とする所有権移転登記手続をせよ。●認識:物権的登記請求権独自の記載なし。

被告は、原告に対し、甲土地について、令和3年7月1日売買を原因とする所有権移転登記手続をせよ。●認識:物権変動的登記請求権独自の記載なし。

(4)請求原因

①売買契約(原告・被告)

①被告もと所有
②売買契約(原告・被告)
③登記(被告名義)
(●補足:②(債権的登記請求権の要件事実)を包含するが、訴訟物が異なるため、「a+b」ではない。実務上は、負担の少ない債権的登記請求が多い。)

①被告もと所有
②売買契約(原告・被告)
③登記(被告名義)
(●補足:②(債権的登記請求権の要件事実)を包含し、且つ物権的登記請求権と同じだが、訴訟物が異なるため、「a+b」ではない。実務上は、負担の少ない債権的登記請求が多い。)

(5)抗弁以下

(●補足:下記2抗弁は、3請求に共通。)

【虚偽表示】
●虚偽表示(抗弁)
①「●と●は、請求原因①の売買契約につき、売買の意思があるかのように仮装する合意をした。」(●方針:この表現(大切)で行く。)

【解除】
●債務不履行解除(抗弁)

5.賃貸借契約訴訟(その1(のみ))
不動産明渡請求訴訟
(賃貸借契約終了に基づく)

(1)事例

賃貸借契約終了に基づく不動産明渡請求訴訟(土地明渡請求訴訟)

賃貸借契約終了に基づく不動産明渡請求訴訟(建物収去土地明渡請求訴訟)

(2)訴訟物

【主たる請求】
賃貸借契約の終了に基づく目的物返還請求権としての土地明渡請求権 1個(●補足:目的物返還義務に基づくものであり(●ポイント)、終了原因自体に基づくものではないので、終了原因の種類・数は問わない。個々の終了原因は攻撃防御方法に過ぎない。)(●補足:明渡しは、引渡し(占有移転)の中で特に、物の直接的支配を移転させること。)

【主たる請求】
賃貸借契約の終了に基づく目的物返還請求権としての建物収去土地明渡請求権 1個(●補足:賃借人は、原状回復した上での目的物返還義務を負うところ、当該義務の中に収去義務も包含されることから、1個。)

【附帯請求】
目的物返還義務の履行遅滞に基づく損害賠償請求権 1個

(3)請求の趣旨

被告は、原告に対し、甲土地を明け渡せ。

被告は、原告に対し、乙建物を収去して甲土地を明け渡せ。

【附帯請求】
被告は、原告に対し、令和3年7月1日から前記明渡済みまで、1か月30万円の割合による金員を支払え。

(4)請求原因(その1)(基本型)

①賃貸借契約
(●補足:目的物の特定・賃料額の合意が必要。更に返還合意が必要だが、「賃貸する」は、返還合意を含むと解される。なお、期間の定めは要件ではない(民法601条)。)
②基づく引渡し「①の契約に基づき」
(●補足:返還請求の前提として必要。物権的返還請求権とは異なり、占有は要件とならない。)
③賃貸借契約終了
(●補足:契約終了により、初めて貸主の目的物返還請求権が発生するため。●補足:この原因として、例の3種類がある。後述。))

①賃貸借契約(原告・被告)
②基づく引渡し
③賃貸借契約の終了
④建物の存在(②の後、③の時までに、建築。③の時、存在。)(●補足:建物収去を求める場合のみ。)

【賃料債権】
①賃貸借契約
②基づく引渡し(賃料は、目的物を使用収益可能な状態に置いたことの対価として発生することから。①②が必要。)
③一定期間経過(賃料は、目的物引渡し後、時間の経過に伴い発生するものであるから。)
④支払時期到来(民法614条)(●補足:民法614条は目的物の種類毎の支払時期を定めるが、①から明らかな場合は適示不要。また、そもそも④は③に含まれることから、通常適示省略。)

【附帯請求】
①賃貸借契約
②基づく引渡し
③賃貸借契約終了
④建物の存在(●補足:建物収去を求める場合のみ。)
⑤損害の発生・数額(●補足:損害の発生は、当然として適示しないのが通常。数額は、賃料相当額とするのが通常。)

(4)請求原因(その1)
期間満了

●存続期間満了(民法)
①存続期間の合意「●の契約に際し」
②存続期間の経過
(以上、50年以下の場合)●参照:民法604条1項
or
①50年の経過

●存続期間満了(借地借家法)
①建物所有目的の合意(●参照:借地借家法2条1号)
②30年の経過
or
(以下、30年超の場合)●参照:借地借家法3条本文・但書
①建物所有目的の合意(●参照:借地借家法2条1号)
②存続期間の合意
③存続期間の経過

●補足:原告が、(1)建物所有目的につき自認(●確認:先行自白?)した上で主張とする場合、及び(2)民法上の主張に対する建物所有目的の抗弁に対し借地借家法上の主張とする場合、とがある。

(5)抗弁以下(その1)
期間満了

●建物所有目的(抗弁)●補足:主たる目的である必要あり(最判S42.12.5)。
①建物所有目的の合意(借地借家法2条1号)cf.30年(3条本文)
●一時使用(再抗弁)
①一時使用の合意(●補足:借地借家法25条)(●補足:一時使用=合意+客観的事情(両方必要(折衷説))。9条潜脱防止。)●確認:判例は不明確?
②一時使用の評価根拠事実
●一時使用の評価障害事実(再々抗弁)●上とのバランス検討
①一時使用の評価障害事実

●黙示の更新(抗弁)●参照:民法617条1項
①土地使用の継続「令和4年7月11日以後も」
②悪意(賃貸人)「令和4年7月11日頃」
③相当期間の経過(「②から」)
④異議を述べなかった(「③の期間内に」)
●更新合意の不成立(再抗弁)
①更新合意の不成立(●参照: 「推定」(民法617条1項) )●認識:その後、その他の期間の定めのない賃貸借契約同様、解約申入れ(後述)をする場合には、別個の予備的請求原因となる。

●法定更新(抗弁)●補足:借地借家法上の期間満了の請求原因に対して。●参照:借地借家法5条2項・1項本文
①土地使用継続
②建物の存在
●遅滞なき異議(再抗弁)
①遅滞なき異議(●参照:借地借家法5条2項・1項但書)
②正当事由の評価根拠事実(●参照:借地借家法6条)(●補足:土地を必要とする(将来)事情が原則。それだけでは判断できない場合に初めて付随的要素(例:立退料、過去・現在の利用状況等)も考慮。)
●正当事由の評価障害事実(再々抗弁)
①正当事由の評価障害事実

(4)請求原因(その2)
解約申入れ

●解約申入れ(●参照:民法617条1項1号)
①解約申入れの意思表示
②1年の経過

●解約申入れ(予備的請求原因)(●補足:期間満了→黙示の更新の抗弁に対して)●検討:再抗弁ではない理由
①解約申入れの意思表示
②1年の経過
③建物の存在

(5)抗弁以下(その2)
解約申入れ

〔略〕(●建物所有目的(抗弁)→一時使用(再抗弁)→一時使用の評価障害事実(再々抗弁))

(4)請求原因(その3)
解除

●解除(賃料不払い・特約なし)
①一定期間の経過(●補足:「各末日が経過」)(●補足:基づく引渡しをした上での。賃貸借契約における対価関係(●確認:有償契約性?)に照らし、目的物を使用可能状態に置く必要がある。)
②支払時期の経過(●補足:「各末日が経過」。履行遅滞の前提として必要。)(●参照:「宅地」(民法614条))●方針:①②の内、②のみでOK。前払いなら①は不存在。条文通り後払いなら①は余分。
③催告(参考:通常1,2週間)(541条本文)●MUST:例の説明(明文ある以上)
④相当期間の経過
⑤解除の意思表示(540条1項)
●MUST:「履行しない」は(例えば立証困難なので)要件ではない、と説明を。明文あるので。

●解除(賃料不払い・賃料前払特約)●補足:上記②の支払時期(民法614条)が経過している場合、本特約の主張・立証は無意味。
①賃料前払特約
②支払時期の経過
③催告(賃貸人→賃借人)
④相当期間の経過
⑤解除の意思表示

●解除(賃料不払い・無催告解除特約)
①一定期間の経過
②支払時期の経過
③無催告解除特約
背信性の評価根拠事実(●補足:最判S43.11.21)
⑤解除の意思表示

●解除(増改築・増改築禁止特約・無催告解除特約)
①増改築禁止特約
②無催告解除特約
③増改築(●補足:不作為義務なので、その履行の立証の困難性に照らし、その違反を主張する側が義務に反する作為について主張・立証。)
④解除の意思表示

(5)抗弁以下(その3)
解除

●弁済の提供(抗弁)
①弁済の提供(注意:争いがあれば、具体的に)
(「催告後」(無催告解除特約がない場合には(●補足:「前」であれば、請求原因事実の積極否認となる(●確認)。))・「解除の意思表示前」)

●期限の合意(抗弁)

●注意:敷金返還請求権との相殺は、主張自体失当(622条の2第1項1号)。

●信頼関係不破壊(抗弁) ●補足:解除(増改築・増改築禁止特約・無催告解除特約)の請求原因事実に対して。 ●補足:最判S41.4.21
①信頼関係不破壊の評価根拠事実

●信頼関係不破壊の評価障害事実(再抗弁)
①信頼関係不破壊の評価障害事実

6.動産関係訴訟
動産引渡請求訴訟
(所有権に基づく)

(1)事例

所有権に基づく動産引渡請求訴訟
●注意:土地・建物のような区別をしない。適用法令が同じなので。●らしい。が、考える。

(2)訴訟物

所有権に基づく返還請求権としての甲絵画引渡請求権 1個

【附帯請求】
不法行為に基づく損害賠償請求権 1個

【代償請求】
不法行為に基づく損害賠償請求権 1個
(●補足:強制執行不奏功への備えであり、引渡請求の訴訟物とは、現在・将来で時点を異にし両立する。よって、単純併合。)

(3)請求の趣旨

被告は、原告に対し、甲絵画を引き渡せ。

被告は、原告に対し、令和3年7月1日から甲絵画の引渡済みまで、1か月当り3万円の割合による金員を支払え。

被告は、原告に対し、60万円を支払え。

(4)請求原因

●原告もと所有自白
①原告もと所有
②被告現占有

●前主もと所有自白
①前主もと所有
②売買契約(前主・原告)
③被告現占有

●原告現占有自白
①原告現所有
②被告現占有

【付帯請求】
0.原告もと所有(主たる請求の請求原因において自白(主張・立証)済み))
①被告過去占有
0.被告現占有 (主たる請求の請求原因において自白(主張・立証)済み))
②故意・過失
③損害(賃料相当額)
④因果関係(0・①・0と③との間)

【代償請求】
0.原告もと所有(主たる請求にて)
0.被告現占有(主たる請求にて)
①損害の発生・数額(●補足:事実真の口頭弁論終結時の時価。動産の時価の容易な可変性から、執行不奏功時点での時価は立証困難なので。)
(●補足:故意・過失は、通常の損害賠償請求における「事実上の推定」に加え、執行不奏功の事実からも推定される。)

(5)抗弁以下

【所有権喪失】

【対抗要件】

【対抗要件具備による所有権喪失】●参考:結論は即時取得による所有権喪失の抗弁と同じ。
(●補足:不動産と基本的には共通。但し、動産なので二重の対抗要件具備がありえるため、先立つ対抗要件具備の主張立証が必要となりうる。)

【代物弁済】(所有権取得原因として)cf.債務消滅原因としては、は別の話。
●代物弁済による所有権喪失(抗弁)
(●補足:債務消滅とは異なり、所有権移転については、対抗要件具備までは不要。契約締結の意思表示のみにより効果が生じるので(最判S57.6.4)。)
①対象債務の発生原因事実(●補足:請求原因事実には、含まれていないので、独立に主張・立証が必要。その点、消費貸借契約における抗弁(債務消滅)とは異なる。)
②代物弁済契約(原告・被告)(民法482条)
③原告代物所有(②時点)(●補足:請求原因において主張・立証されている場合、主張・立証不要。)

【即時取得】
●即時取得による所有権喪失(抗弁)●参考:結論は対抗要件具備による所有権喪失の抗弁と同じ。
(●補足:平穏・公然・善意(民法192条)(cf.⇔強暴・隠避・悪意)の主張・立証不要(暫定真実・民法186条1項)。無過失(民法192条)の主張・立証不要(前主の占有が適法な権利に基づくと推定されることから(民法188条)、推定される(最判S41.6.9)。
(●方針:略(前主による占有は、下記②の基づく引渡しに含まれるため、独立して主張・立証不要。))
①取引行為
②基づく引渡し
・参考:自己物・占有改定の論点あり。

●悪意(再抗弁)
①悪意(被告)(●補足:判断時期は占有取得時。また、「善意」は、相手方が権利者であると誤信すること(最判S41.6.9)。その反対解釈として、無権利者であると(知っていた場合は勿論)「半信半疑」なら悪意となる。)●認識:「善意」については、例えば無権代理においては、(真実である)「無権代理人である」と「知らない」という消極的信頼であるのに対し、ここでは、(真実ではない)「権利者である」と積極的信頼まで求める点において、全く異なる(より厳しい)。

●過失(再抗弁)(前主が権利者であると信じたことにつき)
①過失(被告)の評価根拠事実

●過失の評価障害事実(再々抗弁)
①過失(被告)の評価障害事実

(●補足:「過失」=(1)調査確認義務の存在・内容+(2)調査確認義務の懈怠)

●論証:過失は規範的評価であり、それ自体を主要事実とすると相手方への不意打ちとなる可能性があることから、それを基礎付ける具体的事実が主要事実であると解される。

【解除の第三者】(対抗関係説)(●認識・検討:予備的抗弁の方が「積み重ね」的であり、「再々抗弁」は「覆し」的。)
●所有権喪失(抗弁)
①売買契約(原告・後主)
●債務不履行解除(再抗弁)
①催告(原告→後主)
②相当期間経過
③意思表示(原告→後主)
④先立つ反対債務履行

●対抗要件具備による所有権喪失(予備的抗弁1)(●補足:解除の前後を問わず対抗関係(最判S35.11.29)。)
0.売買契約(原告・後主)
①売買契約(後主・被告)
②対抗要件具備
●先立つ対抗要件具備(再抗弁)
①先立つ対抗要件具備

●対抗要件(予備的抗弁2)
0.売買契約(原告・後主)
①売買契約(後主・被告)
②権利主張
●対抗要件具備(再抗弁)
①対抗要件具備

【解除の第三者】(権利保護要件説)
●所有権喪失(抗弁)
①売買契約(原告・後主)
●債務不履行解除(再抗弁)
①催告(原告→後主)
②相当期間経過
③意思表示(原告→後主)
④先立つ反対債務履行
●解除前の第三者(再々抗弁)
①売買契約(後主・被告)
②対抗要件具備
③解除前の第三者

【占有権限】
●占有権限(抗弁)
①賃貸借契約(原告・被告)
②基づく引渡し

7.債権譲渡関係訴訟
譲受債権請求訴訟

(1)事例

譲受債権請求訴訟

(2)訴訟物

AY間の売買契約に基づく代金支払請求権 1個
(●補足:「AY間の」はMUST。債権譲渡は帰属主体のみ変更する法律行為に過ぎず、債権の同一性は変更なし。)

(3)請求の趣旨

被告は、原告に対し、3000万円を支払え。

(4)請求原因

①譲受債権の発生原因事実(●補足:貸借型の場合、終了事由(返還時期の合意・到来)の主張・立証まで必要。)
②債権(①)の取得原因事実(●補足:のみで足りる。なぜなら、準物権行為の独自性否定(債権譲渡は不要式の意思表示)。また、契約の中の債権譲渡の合意部分のみの主張は不可能。契約の法的性質を現す事実は不可分一体(冒頭規定説)。)
●注意:「債権譲渡した」は☓。「売った。」等と。

(5)抗弁以下

【譲渡制限特約】
●譲渡制限特約(抗弁)
①譲渡制限特約「請求原因事実①の際」
(①原則譲渡自由(466条1項本文)且つ有効(同2項)、②466条3項が、同1項・2項の後に置かれている条文構造からは、例外と解するのが自然。)
②悪意・重過失(評価根拠事実)「請求原因事実②の際」
③履行拒絶の主張’(権利抗弁)
●「又は債務の消滅事由」?:別の抗弁(弁済)では?民法468条1項

【債務者対抗要件】
●債務者対抗要件の抗弁(抗弁)
①権利主張「AがYに対し通知し、又はYが承諾するまで、Xを債権者と認めない。」
●債務者対抗要件具備(再抗弁)
①通知(譲渡人→債務者)・承諾(債務者→譲渡人or譲受人)●留意:第三者不在のため確定日付不要
(●補足:通知は、債権譲渡以後であることが時的要素。あらかじめの通知は無効(●認識:だろう)(最判S28.5.29)。)

【譲渡人について生じた事由】
●弁済(抗弁)
①弁済
●先立つ債務者対抗要件具備(再抗弁)
①先立つ通知・承諾

【第三者対抗要件】
●第三者対抗要件の抗弁(抗弁)●検討:第三者対抗要件を債務者が主張する点、違和感あり。ただ、いずれの譲受人も他に優先できない状態を基礎とする抗弁、らしい。抗弁、というよりは、事実に基づく権利主張、か。
①債権の取得原因事実(第三者)
②通知(①以後)・承諾(債務者→譲渡人or第三者)
③権利主張

●第三者対抗要件具備(再抗弁)
①通知・承諾(確定日付)

【二重譲受人への弁済】
●債権の二重譲受人への弁済(抗弁)
①債権の取得原因事実(第三者)
②弁済(債務者→第三者)

弁済に先立つ第三者対抗要件具備(再抗弁)
①弁済に先立つ通知・承諾(確定日付)

●弁済に先立つ第三者対抗要件具備(再々抗弁)
弁済に先立つ通知・承諾(確定日付)

第三者対抗要件具備に先立つ第三者対抗要件具備(再々々抗弁)
①第三者対抗要件具備に先立つ第三者対抗要件具備

【受領権者としての外観を有する者への弁済】
●受領権者としての外観を有する者に対する弁済(抗弁)
①弁済(債務者→第三者)
②受領権者としての外観(基礎付ける事実)
③善意(債務者)
④無過失(評価根拠事実)

●無過失の評価障害事実(再抗弁)
①無過失(評価障害事実)

【第三者対抗要件具備による債権喪失】
●第三者対抗要件具備による債権喪失(抗弁)
①債権の取得原因事実(第三者)
②通知・承諾(確定日付)

●第三者対抗要件具備(再抗弁)(●補足:同日or先後関係不明)(●補足:この再抗弁の時点では、「先立つ」(’時的要素)は不要。動産(排他性あり)とは異なり、債権(相対性あり)の場合、優劣関係がなくとも全額請求できる。債務者との間では各々が完全な権利者(最判S55.1.11)。)
①通知・承諾(確定日付)

●先立つ第三者対抗要件具備(再々抗弁)(●補足:主張しないのが通常。上記2つの抗弁・再抗弁における時的因子により、先後関係は既に明らかになっている。)
①先立つ第三者対抗要件具備
(●検討:債権に関する対抗要件の抗弁・債権喪失の抗弁との関係性)

8.債権者代位訴訟
債権者代位訴訟

(1)事例

債権者代位訴訟

(2)訴訟物

AY間の売買契約に基づく代金支払請求権 1個
(●補足:「AY間の」はMUST。債権譲渡は帰属主体のみ変更する法律行為に過ぎず、債権の同一性は変更なし。)

(3)請求の趣旨

被告は、原告に対し、3000万円を支払え。

(4)請求原因

①譲受債権の発生原因事実(●補足:貸借型の場合、終了事由(返還時期の合意・到来)の主張・立証まで必要。)
②債権(①)の取得原因事実(●補足:のみで足りる。なぜなら、準物権行為の独自性否定(債権譲渡は不要式の意思表示)。また、契約の中の債権譲渡の合意部分のみの主張は不可能。契約の法的性質を現す事実は不可分一体(冒頭規定説)。)
●注意:「債権譲渡した」は☓。「売った。」等と。

(5)抗弁以下

【譲渡制限特約】
●譲渡制限特約(抗弁)
①譲渡制限特約「請求原因事実①の際」
(①原則譲渡自由(466条1項本文)且つ有効(同2項)、②466条3項が、同1項・2項の後に置かれている条文構造からは、例外と解するのが自然。)
②悪意・重過失(評価根拠事実)「請求原因事実②の際」
③履行拒絶の主張’(権利抗弁)
●「又は債務の消滅事由」?:別の抗弁(弁済)では?民法468条1項

【債務者対抗要件】
●債務者対抗要件の抗弁(抗弁)
①権利主張「AがYに対し通知し、又はYが承諾するまで、Xを債権者と認めない。」
●債務者対抗要件具備(再抗弁)
①通知(譲渡人→債務者)・承諾(債務者→譲渡人or譲受人)●留意:第三者不在のため確定日付不要
(●補足:通知は、債権譲渡以後であることが時的要素。あらかじめの通知は無効(●認識:だろう)(最判S28.5.29)。)

【譲渡人について生じた事由】
●弁済(抗弁)
①弁済
●先立つ債務者対抗要件具備(再抗弁)
①先立つ通知・承諾

【第三者対抗要件】
●第三者対抗要件の抗弁(抗弁)●検討:第三者対抗要件を債務者が主張する点、違和感あり。ただ、いずれの譲受人も他に優先できない状態を基礎とする抗弁、らしい。抗弁、というよりは、事実に基づく権利主張、か。
①債権の取得原因事実(第三者)
②通知(①以後)・承諾(債務者→譲渡人or第三者)
③権利主張

●第三者対抗要件具備(再抗弁)
①通知・承諾(確定日付)

【二重譲受人への弁済】
●債権の二重譲受人への弁済(抗弁)
①債権の取得原因事実(第三者)
②弁済(債務者→第三者)

弁済に先立つ第三者対抗要件具備(再抗弁)
①弁済に先立つ通知・承諾(確定日付)

●弁済に先立つ第三者対抗要件具備(再々抗弁)
弁済に先立つ通知・承諾(確定日付)

第三者対抗要件具備に先立つ第三者対抗要件具備(再々々抗弁)
①第三者対抗要件具備に先立つ第三者対抗要件具備

【受領権者としての外観を有する者への弁済】
●受領権者としての外観を有する者に対する弁済(抗弁)
①弁済(債務者→第三者)
②受領権者としての外観(基礎付ける事実)
③善意(債務者)
④無過失(評価根拠事実)

●無過失の評価障害事実(再抗弁)
①無過失(評価障害事実)

【第三者対抗要件具備による債権喪失】
●第三者対抗要件具備による債権喪失(抗弁)
①債権の取得原因事実(第三者)
②通知・承諾(確定日付)

●第三者対抗要件具備(再抗弁)(●補足:同日or先後関係不明)(●補足:この再抗弁の時点では、「先立つ」(’時的要素)は不要。動産(排他性あり)とは異なり、債権(相対性あり)の場合、優劣関係がなくとも全額請求できる。債務者との間では各々が完全な権利者(最判S55.1.11)。)
①通知・承諾(確定日付)

●先立つ第三者対抗要件具備(再々抗弁)(●補足:主張しないのが通常。上記2つの抗弁・再抗弁における時的因子により、先後関係は既に明らかになっている。)
①先立つ第三者対抗要件具備
(●検討:債権に関する対抗要件の抗弁・債権喪失の抗弁との関係性)

9.詐害行為取消訴訟
詐害行為取消訴訟

(1)事例

詐害行為取消訴訟

(2)訴訟物

AY間の売買契約に基づく代金支払請求権 1個
(●補足:「AY間の」はMUST。債権譲渡は帰属主体のみ変更する法律行為に過ぎず、債権の同一性は変更なし。)

(3)請求の趣旨

被告は、原告に対し、3000万円を支払え。

(4)請求原因

①譲受債権の発生原因事実(●補足:貸借型の場合、終了事由(返還時期の合意・到来)の主張・立証まで必要。)
②債権(①)の取得原因事実(●補足:のみで足りる。なぜなら、準物権行為の独自性否定(債権譲渡は不要式の意思表示)。また、契約の中の債権譲渡の合意部分のみの主張は不可能。契約の法的性質を現す事実は不可分一体(冒頭規定説)。)
●注意:「債権譲渡した」は☓。「売った。」等と。

(5)抗弁以下

【譲渡制限特約】
●譲渡制限特約(抗弁)
①譲渡制限特約「請求原因事実①の際」
(①原則譲渡自由(466条1項本文)且つ有効(同2項)、②466条3項が、同1項・2項の後に置かれている条文構造からは、例外と解するのが自然。)
②悪意・重過失(評価根拠事実)「請求原因事実②の際」
③履行拒絶の主張’(権利抗弁)
●「又は債務の消滅事由」?:別の抗弁(弁済)では?民法468条1項

【債務者対抗要件】
●債務者対抗要件の抗弁(抗弁)
①権利主張「AがYに対し通知し、又はYが承諾するまで、Xを債権者と認めない。」
●債務者対抗要件具備(再抗弁)
①通知(譲渡人→債務者)・承諾(債務者→譲渡人or譲受人)●留意:第三者不在のため確定日付不要
(●補足:通知は、債権譲渡以後であることが時的要素。あらかじめの通知は無効(●認識:だろう)(最判S28.5.29)。)

【譲渡人について生じた事由】
●弁済(抗弁)
①弁済
●先立つ債務者対抗要件具備(再抗弁)
①先立つ通知・承諾

【第三者対抗要件】
●第三者対抗要件の抗弁(抗弁)●検討:第三者対抗要件を債務者が主張する点、違和感あり。ただ、いずれの譲受人も他に優先できない状態を基礎とする抗弁、らしい。抗弁、というよりは、事実に基づく権利主張、か。
①債権の取得原因事実(第三者)
②通知(①以後)・承諾(債務者→譲渡人or第三者)
③権利主張

●第三者対抗要件具備(再抗弁)
①通知・承諾(確定日付)

【二重譲受人への弁済】
●債権の二重譲受人への弁済(抗弁)
①債権の取得原因事実(第三者)
②弁済(債務者→第三者)

弁済に先立つ第三者対抗要件具備(再抗弁)
①弁済に先立つ通知・承諾(確定日付)

●弁済に先立つ第三者対抗要件具備(再々抗弁)
弁済に先立つ通知・承諾(確定日付)

第三者対抗要件具備に先立つ第三者対抗要件具備(再々々抗弁)
①第三者対抗要件具備に先立つ第三者対抗要件具備

【受領権者としての外観を有する者への弁済】
●受領権者としての外観を有する者に対する弁済(抗弁)
①弁済(債務者→第三者)
②受領権者としての外観(基礎付ける事実)
③善意(債務者)
④無過失(評価根拠事実)

●無過失の評価障害事実(再抗弁)
①無過失(評価障害事実)

【第三者対抗要件具備による債権喪失】
●第三者対抗要件具備による債権喪失(抗弁)
①債権の取得原因事実(第三者)
②通知・承諾(確定日付)

●第三者対抗要件具備(再抗弁)(●補足:同日or先後関係不明)(●補足:この再抗弁の時点では、「先立つ」(’時的要素)は不要。動産(排他性あり)とは異なり、債権(相対性あり)の場合、優劣関係がなくとも全額請求できる。債務者との間では各々が完全な権利者(最判S55.1.11)。)
①通知・承諾(確定日付)

●先立つ第三者対抗要件具備(再々抗弁)(●補足:主張しないのが通常。上記2つの抗弁・再抗弁における時的因子により、先後関係は既に明らかになっている。)
①先立つ第三者対抗要件具備
(●検討:債権に関する対抗要件の抗弁・債権喪失の抗弁との関係性)

10.請負関係訴訟
請負関係訴訟

(1)事例

請負関係訴訟

(2)訴訟物

AY間の売買契約に基づく代金支払請求権 1個
(●補足:「AY間の」はMUST。債権譲渡は帰属主体のみ変更する法律行為に過ぎず、債権の同一性は変更なし。)

(3)請求の趣旨

被告は、原告に対し、3000万円を支払え。

(4)請求原因

①譲受債権の発生原因事実(●補足:貸借型の場合、終了事由(返還時期の合意・到来)の主張・立証まで必要。)
②債権(①)の取得原因事実(●補足:のみで足りる。なぜなら、準物権行為の独自性否定(債権譲渡は不要式の意思表示)。また、契約の中の債権譲渡の合意部分のみの主張は不可能。契約の法的性質を現す事実は不可分一体(冒頭規定説)。)
●注意:「債権譲渡した」は☓。「売った。」等と。

(5)抗弁以下

【譲渡制限特約】
●譲渡制限特約(抗弁)
①譲渡制限特約「請求原因事実①の際」
(①原則譲渡自由(466条1項本文)且つ有効(同2項)、②466条3項が、同1項・2項の後に置かれている条文構造からは、例外と解するのが自然。)
②悪意・重過失(評価根拠事実)「請求原因事実②の際」
③履行拒絶の主張’(権利抗弁)
●「又は債務の消滅事由」?:別の抗弁(弁済)では?民法468条1項

【債務者対抗要件】
●債務者対抗要件の抗弁(抗弁)
①権利主張「AがYに対し通知し、又はYが承諾するまで、Xを債権者と認めない。」
●債務者対抗要件具備(再抗弁)
①通知(譲渡人→債務者)・承諾(債務者→譲渡人or譲受人)●留意:第三者不在のため確定日付不要
(●補足:通知は、債権譲渡以後であることが時的要素。あらかじめの通知は無効(●認識:だろう)(最判S28.5.29)。)

【譲渡人について生じた事由】
●弁済(抗弁)
①弁済
●先立つ債務者対抗要件具備(再抗弁)
①先立つ通知・承諾

【第三者対抗要件】
●第三者対抗要件の抗弁(抗弁)●検討:第三者対抗要件を債務者が主張する点、違和感あり。ただ、いずれの譲受人も他に優先できない状態を基礎とする抗弁、らしい。抗弁、というよりは、事実に基づく権利主張、か。
①債権の取得原因事実(第三者)
②通知(①以後)・承諾(債務者→譲渡人or第三者)
③権利主張

●第三者対抗要件具備(再抗弁)
①通知・承諾(確定日付)

【二重譲受人への弁済】
●債権の二重譲受人への弁済(抗弁)
①債権の取得原因事実(第三者)
②弁済(債務者→第三者)

弁済に先立つ第三者対抗要件具備(再抗弁)
①弁済に先立つ通知・承諾(確定日付)

●弁済に先立つ第三者対抗要件具備(再々抗弁)
弁済に先立つ通知・承諾(確定日付)

第三者対抗要件具備に先立つ第三者対抗要件具備(再々々抗弁)
①第三者対抗要件具備に先立つ第三者対抗要件具備

【受領権者としての外観を有する者への弁済】
●受領権者としての外観を有する者に対する弁済(抗弁)
①弁済(債務者→第三者)
②受領権者としての外観(基礎付ける事実)
③善意(債務者)
④無過失(評価根拠事実)

●無過失の評価障害事実(再抗弁)
①無過失(評価障害事実)

【第三者対抗要件具備による債権喪失】
●第三者対抗要件具備による債権喪失(抗弁)
①債権の取得原因事実(第三者)
②通知・承諾(確定日付)

●第三者対抗要件具備(再抗弁)(●補足:同日or先後関係不明)(●補足:この再抗弁の時点では、「先立つ」(’時的要素)は不要。動産(排他性あり)とは異なり、債権(相対性あり)の場合、優劣関係がなくとも全額請求できる。債務者との間では各々が完全な権利者(最判S55.1.11)。)
①通知・承諾(確定日付)

●先立つ第三者対抗要件具備(再々抗弁)(●補足:主張しないのが通常。上記2つの抗弁・再抗弁における時的因子により、先後関係は既に明らかになっている。)
①先立つ第三者対抗要件具備
(●検討:債権に関する対抗要件の抗弁・債権喪失の抗弁との関係性)

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