憲法(H25)
【問題文】
202*年時点では,衆議院小選挙区選出議員における,いわゆる「世襲」議員の数が増加する
傾向にある 「世襲」議員とは,例えば,国会議員が引退する際に,その子が親と同一の選挙区か。
ら立候補して当選した場合の当選議員をいう 「世襲」議員には,立候補時において,一般の新人。
候補者に比べて,後援会組織,選挙資金,知名度等のメリットがあると言われている。このような
「世襲」議員については賛否両論があるが,政党A及び政党Bでは,世論の動向も踏まえて何らか
の対応策を採ることとし,立候補が制限される世襲の範囲や対象となる選挙区の範囲等について検
討が行われた。その結果,政党Aから甲案が,政党Bから乙案が,それぞれ法律案として国会に提
出された。
甲乙各法律案の内容は,以下のとおりである。
(甲案)政党は,その政党に所属する衆議院議員の配偶者及び三親等内の親族が,次の衆議院
議員選挙において,当該議員が選出されている小選挙区及びその小選挙区を含む都道府
県内の他の小選挙区から立候補する場合は,その者を当該政党の公認候補とすることが
できない。
(乙案)衆議院議員の配偶者及び三親等内の親族は,次の衆議院議員選挙において,当該議員
が選出されている小選挙区及びその小選挙区を含む都道府県内の他の小選挙区から立候
補することができない。
政党Cに所属する衆議院議員Dは,次の衆議院議員選挙では自らは引退した上で,長男を政党C
の公認候補として出馬させようとして,その準備を着々と進めている。Dは,甲案及び乙案のいず
れにも反対である。Dは,甲案にも乙案にも憲法上の問題があると考えている。- 3 –
〔設 問〕
Dの立場からの憲法上の主張とこれに対して想定される反論との対立点を明確にしつつ,あな
た自身の見解を述べなさい。
【メモ】
●
【答案例】
第1 Dの主張
1.●立候補の事由(15条1項)
2.制約
(1)甲案
政党の自律権(21条1項)制約を通じ。
(2)乙案
立候補ができない。
3.問題点
・権利の重要性:国民主権(前文一段、1条)を支える。44条も。
・規制態様:立候補の自由を制限。
→LRA
(1)甲案
目的は〇。しかし、断念せざるを得ず。LRA非該当。
(2)乙案
目的は〇。しかし、立候補自体不可。LRA非該当。
第2 反論
1.中間審査基準(47条から。)
2.目的は〇。かつ手段も〇(他の候補者の利益。)
第3 私見
1.LRA(民主主義の根幹に関わるため。)
2.
・目的:〇
・手段
(1)甲案
・適合性〇(他候補者の利益。)
・合理性〇(他から立候補〇。)
→LRA該当
→合憲
(2)乙案
・適合性〇(他候補者の利益。)
・合理性☓(立候補自体不可。期間なし。)
→LRA非該当
→違憲
以上