民事訴訟法(R5)
【問題文】
[民事訴訟法] 〔設問1〕 〔設問2〕( と の配点の割合は、3:2)
次の文章を読んで、後記の 及び に答えなさい。〔設問1〕 〔設問2〕
【事例】
甲土地は、Xの所有である。
Yは、甲土地に乙建物を建築し、これを所有していた。Yは、その後、乙建物を3つの部分に
分けて、それぞれ、A、B、C(以下「Aら3名」という。)に賃貸した。Aら3名は、Yの承
諾を得て、それぞれが賃借していた建物の部分を各自増改築した。なお、増築した各部分は、そ
れぞれ増改築される前から存在していた部分と一体として店舗兼居宅として利用されており、増
築した各部分は構造的にも機能的にも建物としての独立性を欠き、それぞれ不可分の状態にあっ
た。
Xは、Yを被告として、甲土地の所有権に基づき、乙建物を収去して甲土地を明け渡すことを
求める訴え(①訴訟)を提起し、第一審では勝訴の判決を得た。その後、Yは控訴した。
【事実Ⅰ】
【事例】の控訴審において、Yから、乙建物はAら3名の増改築によってその形状が著しく変
更され、乙建物はAら3名の所有に属するものとなっている旨の主張がされた。真実は、増築部
分も含めて乙建物の所有権はYに帰属していたが、Xは、乙建物は増改築によって形状が著しく
変更されており、増築部分も含む乙建物はAら3名の所有に属し、Yは所有しておらず、Yとの
間で乙建物を収去して甲土地を明け渡すことを求める訴えを維持することは不可能であると誤認
して、この訴えに換えて、甲土地についてのYの賃借権の不存在を確認することを求める訴えに
変更した。
控訴審は、変更後の訴えにつき、甲土地についてYの賃借権が存在しないことを確認する判決
をし、その判決が確定した。しかし、その後、Yが、増築部分を含めて乙建物は自らの所有であ
ることを主張したので、Xは、Yに対して、甲土地の所有権に基づき乙建物を収去して甲土地を
明け渡すことを求める訴え(②訴訟)を提起し、他方、Aら3名に対しては、甲土地の所有権に
基づき乙建物から退去してその敷地部分を明け渡すことを求める訴えを提起した。
〔設問1〕
【事例】及び【事実Ⅰ】の事実関係を前提に、次の設問に答えなさい。
Yは、判例を踏まえれば、【事実Ⅰ】の下線部の訴え(②訴訟)は却下を免れないと主張してい
る。Yの主張の根拠を明らかにした上で、その主張の当否について、理由を付して答えよ。
【事実Ⅱ】(【事実Ⅰ】とは別の事実関係である。)
【事例】の第一審の判決後、かねてから乙建物を店舗兼居宅として利用したいと考えていた第
三者Dは、Yに対して、Xとの間で和解が成立するなどして乙建物を利用することができる状態
になれば借り受けたいとして、その賃借を申し入れた。Yは、Dに対して乙建物を賃貸したいと
考えたことから、控訴審において、Xとの和解を申し出た。裁判所から(a)X及びYは甲土地が
Xの所有であること及び乙建物がYの所有であることを相互に確認する、(b)XがYに甲土地を
賃貸することを相互に確認するなどの和解案が提示され、XY間で当該和解案どおりの内容の訴
訟上の和解が成立し、その旨調書に記載された。
その後、Aら3名は乙建物を退去し、Yは乙建物をDに賃貸した。
〔設問2〕
【事例】及び【事実Ⅱ】の事実関係を前提に、次の設問に答えなさい。
和解交渉の際に、Yは、Xに対して、乙建物を賃貸して生計を立てていたが、現在居住している
丙建物が取り壊されることになり、今後は自ら乙建物を店舗兼居宅として利用したいので和解に応
じてほしいとの虚偽の説明をし、Xは、Yの説明を信じ、やむを得ないと考えて、和解に応じるこ
とにした。しかし、訴訟上の和解が成立した後、Xは、丙建物が取り壊される予定はなく、Yが引
き続き丙建物に居住し、乙建物はDが店舗兼居宅として利用していることを知り、だまされたこと
に気が付いた。Xは、第一審では勝訴しており、控訴審がそのまま継続していれば、勝訴したと考
えている。Xとしては、Yに対して、乙建物を収去して甲土地を明け渡すことを求めたいと考えて
いるが、この場合には、どのような手続上の手段を採ることが考えられるか。理由を付して答え
よ。
【メモ】
●自己評価:C
・前半は気付けたが。
・各論証が甘い。特に和解。
【答案例】
第1 設問1
1.交換的変更:相手方の既得権保護(262条2項)、記録。338条5号?
2.しかし、3要件
3.不当
第2 設問2
1.267条論点(裁判所関与。文言)
2.あ:93条1項
以上