刑事訴訟法（Ｈ２３）

【問題文】

次の記述を読んで，後記の設問に答えなさい。
警察官は，甲が，平成２３年７月１日にＨ市内において，乙に対して覚せい剤１０グラムを３０万
円で譲渡したとの覚せい剤取締法違反被疑事件につき，甲宅を捜索して現金の出納及び甲の行動等に
関する証拠を収集するため，Ｈ地方裁判所裁判官に対し，捜索差押許可状の発付を請求した。これを
受けてＨ地方裁判所裁判官は，罪名として「覚せい剤取締法違反 ，差し押さえるべき物として「金」
銭出納簿，預金通帳，日記，手帳，メモその他本件に関係ありと思料される一切の文書及び物件」と
それぞれ記載した捜索差押許可状を発付した。
〔設問１〕
この捜索差押許可状の罪名及び差し押さえるべき物の記載は適法か。
〔設問２〕
， ， ， ，仮に 捜索差押許可状の記載が適法であったとして 警察官が この捜索差押許可状に基づき
甲宅を捜索した際に 「６／３０ ２５０万円 丙から覚せい剤１００グラム購入」と書かれた，
メモを発見した場合，これを差し押さえることができるか。
（参照条文）覚せい剤取締法
第４１条の２第１項 覚せい剤を，みだりに，所持し，譲り渡し，又は譲り受けた者（第４２条第
５号に該当する者を除く ）は，１０年以下の懲役に処する。

【メモ】

●任意捜査の限界の枠組みで判断すればOK。実際にも有力な考え方。

【答案例】

第１　設問１
１．罪名について
（１）「覚せい剤取締法違反」のみ。「罪名」（２１９条１項）違反？
●特別法違反の場合の記載
（２）あ
結論：適法
２．差し押さえるべき物について
（１）「その他…一切の…」との概括的な記載は２１９条１項違反？
●概括的な記載
（２）あ
結論：適法
第２　設問２
１．（令状審査を受けた（規１５５条４項参照））譲渡罪との関連性が必要
●関連性
２．あ（仕入れ）
結論：差押え可
以上